関越道事故のバス、指示書と違うルート走行
「運転手、休憩中に突っ伏していた」乗客証言も
群馬県藤岡市の関越自動車道で7人が死亡した高速ツアーバス事故で群馬県警は30日までに、自動車運転過失致死傷容疑で、河野化山運転手(43)の逮捕状を取った。重傷を負って入院しており、回復を待ち逮捕する。
県警は同日、千葉県印西市のバス運行会社「陸援隊」と、同じ敷地内にある針生裕美秀社長(55)の自宅を家宅捜索。事故車両も一部復元して実況見分し、座席を並べて衝突時の状況を調べた。
ツアー会社「ハーヴェストホールディングス」(大阪府豊中市)によると、「運行指示書」には上信越自動車道を通るルートが書かれていたことも判明。県警は押収した運行記録計を分析するとともに、勤務日報や就業規則、運転手の健康診断結果から管理上の問題がなかったかどうかや、走行距離が約30キロ長い関越道ルートを使った理由を調べる。
同社によると、走行ルートは運行指示書に記載しているが、天候や道路の状況などから運転手の判断による変更を認めており、連絡も必要としていなかった。針生社長もハーヴェスト社に「なぜ関越道を行ったのか分からない」と話している。
乗客からは「運転手が休憩中に突っ伏して寝ていた」との指摘もある。
国土交通省関東運輸局は30日、陸援隊の特別監査に入り、近畿運輸局もハーヴェスト社を立ち入り検査した。
県警によると、バスが衝突した関越道の防音壁は車体(全長12メートル)の前方左から10.5メートルまで貫いていた。死亡した7人のうち6人は、左側1列目から5列目までに座っていた。
バスは28日夜、JR金沢駅を出発し、約400キロ離れた関越道藤岡ジャンクション付近を通過していた29日午前4時40分ごろ、左側の鋼板製の防音壁に正面から衝突。男女7人が死亡し、女性3人が重体、運転手を含む36人が重軽傷を負った。〔共同〕