中国版新幹線、安く・遅く 飛行機とのすみ分け狙う
中国で6月にデビュー予定の北京―上海間の旅客専用高速鉄道が「グリーン車」を縮小する方向となった。政府系英字紙チャイナ・デーリーが21日報じた。一般座席を増やし、乗客がより手ごろなチケットを入手しやすくする。
当初は飛行機のファーストクラスに匹敵する高級車両を用意し、ビジネス需要をライバルの旅客機から奪う算段だった。しかし、年初に登場した上海―成都(四川省)間の高速鉄道が1人当たり2330元(約2万9400円)の高級寝台車を発売したところ「ぜいたくすぎる」と批判が起き、3月には寝台車を一般車両に切り替えた。
先週には盛光祖・新鉄道相が人民日報のインタビューで、高速鉄道のスピードを当初目標の時速350キロから300キロに落とすと表明したばかり。北京―上海間の高速鉄道は昨年末の試験運転で時速486キロを記録するなど「速さ」を前面に打ち出していたが、鉄道相は「安全」「安さ」の方がより重要と指摘した。
路線転換の背景には国内航空各社への配慮もあるようだ。武漢(湖北省)―合肥(安徽省)間の高速鉄道が開業したために運休に追い込まれる航空路線も出た。これらを踏まえ、航空機と鉄道の競合促進よりも、速度や価格で差を出すことで共存を目指すようだ。
(北京=森安健)