ブタの膵臓再生に成功 東大と明大、移植用臓器作製に道
東京大学の中内啓光教授と明治大学の長嶋比呂志教授らは、生まれつき膵臓(すいぞう)が無いブタを活用し、他のブタの膵臓を作ることに成功した。再生医療用にヒトの臓器を動物の体内で作る研究の基礎となる成果。米科学アカデミー紀要(PNAS)に19日掲載される。
研究チームは遺伝子操作で膵臓を持たないブタを作った。その胎児から体細胞を採取し、クローン技術を用いて胚を作った。この胚に、正常な膵臓を作れるブタから作った胚を入れた。
代理母となるブタの子宮に胚を入れ、出産させた。生まれたブタの体内には膵臓ができて機能しており、正常なブタの細胞から作られたのを確認した。
チームはマウスの体内でラットの膵臓を作るのにも成功している。将来はヒトのiPS細胞を使い、移植用の膵臓をブタに作らせる研究も検討中だ。膵臓は血糖を調整するインスリンを作る働きがあるため、移植すれば糖尿病患者などの症状を改善できる可能性がある。ただ国内ではヒトiPS細胞を注入したブタの胚を子宮に戻して発育させる研究は禁止されている。