海上保安庁長官に初の現場出身 尖閣問題を意識
政府は海上保安庁の北村隆志長官(59)が退任し、後任に佐藤雄二海上保安監(59)を充てる人事を固めた。8月1日付で発令する。佐藤氏は海上保安大学校卒で、現場出身を長官に起用するのは初めて。沖縄県の尖閣諸島を巡る中国との対立が続くなか、海上保安の現場に詳しい佐藤氏をトップに据えるのが適切と判断したようだ。
海保長官は国土交通省の事務系キャリア官僚が就くのが慣例だった。今回の人事には、現場重視の姿勢を打ち出したい安倍政権の意向がにじむ。尖閣周辺の海域では中国との緊張関係が続く。海保生え抜きの佐藤氏の登用で島しょ防衛を強化する姿勢を示すとともに、現場職員の士気を高める狙いもありそうだ。
安倍晋三首相は17日に沖縄県石垣島の石垣海上保安部などを訪問。尖閣問題を念頭に「諸君の先頭に立って領土、領海、領空を断固として守り抜く決意だ」と述べている。
佐藤 雄二氏(さとう・ゆうじ)77年(昭52年)海上保安大学校卒、海上保安庁へ。12年警備救難部長。13年海上保安監。神奈川県出身。