自民、消費税「当面10%」 衆院選マニフェスト原案
自民党は9日、仙台市で全国政調会長会議を開き、次期衆院選のマニフェスト(政権公約)の原案を発表した。消費税率は2010年参院選公約を踏襲し「当面10%」とした。年金は現行制度の基本を堅持しながら無年金、低年金対策などを見直す方針を示し、最低保障年金の創設を目指す民主党との違いを明確にした。憲法を改正し自衛権を明記し、自衛隊を「自衛軍」と位置付けることも盛り込んだ。
原案は、消費税率を当面10%とすることで財政を安定させ、持続可能な社会保障制度の確立を目指すとした。引き上げの具体的時期や手法には踏み込まなかった。ただ自民党が税率10%を明示したことで、野田佳彦首相が政治生命をかける消費増税関連法案の国会論戦にも影響しそうだ。
茂木敏充政調会長が全国政調会長会議で「日本の再起のための政策」と題する原案を提示。5月の連休明けには第2弾も公表する。自民党は今国会中の衆院解散・総選挙を求めており、党内論議を通じて早期に成案をまとめたい考えだ。
原案は社会保障で最低保障年金を認めないほか、受給者の増大が問題となっている生活保護を抜本的に見直す考えを盛り込み、「給付水準の10%引き下げ」を提案した。
行政改革では政府に「行革推進会議」を新設し、省庁再々編も視野に入れた中央省庁改革を「真の政治主導」で実行する方針を示した。地方公務員を含めた公務員総人件費の2割削減も掲げた。今回の原案は国会議員の定数削減など政治改革の具体案に触れていない。
デフレ脱却策として政府と日銀が政策協定で2%の物価目標を設定するなど大胆な金融緩和に取り組むことを提起した。法人税は20%台への引き下げを目指すとした。
環太平洋経済連携協定(TPP)は党内の意見が分かれていることを踏まえ「『聖域なき関税撤廃』を前提とする交渉参加に反対」と曖昧な表現にした。原子力政策の方向性は「10年で結論」と判断を先送りした。
改憲に関してはテロや大災害などの緊急事態に首相の権限を一時的に強化する緊急事態条項の新設も盛り込んだ。地方制度改革では大都市制度の見直しや特別区設置のための地方自治法改正をうたい、大阪市の橋下徹市長が率いる大阪維新の会の主張にも配慮した。