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「算定式を勝手に変更」、日本通信がドコモを訴えた譲れない事情

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仮想移動体通信事業者(MVNO)の日本通信は19日、携帯電話回線の卸売料金が不当であるとして、回線を借りているNTTドコモに算定式の見直しや過払い金の返還を求める訴訟を東京地方裁判所に起こした。NTTドコモなどの回線を借りて自社サービスとして第3世代携帯電話(3G)やLTE方式の通信サービスを展開するMVNOは、月々の通信料金を抑えたい消費者の支持を集めて急成長。参入企業は増えているが、回線を貸し出すNTTドコモと借り受けるMVNOの間で利害が交錯する不協和音が世に漏れ出した。

「MVNOビジネスは成り立たなくなる」

「二百数十社もの企業が夢を抱いてMVNOビジネスに参入してきているのに、このままでは夢が破られてしまう」(日本通信の三田聖二社長)――。

今回日本通信が問題としたのは、回線の卸売料金に当たる「接続料」の算定式。日本通信によると、同社とNTTドコモは08年のMVNO契約時に、接続料の計算基準となる「算定式」を決め、算定式に当てはめる代入値を毎年の運営状況や設備投資の状況などに応じて変えていく仕組みで合意していた。

しかし10年度の接続料を協議していた11年1月、NTTドコモからの提示額を不審に思った日本通信が算出根拠を問い合わせたところ、合意していたはずの算出式をドコモが一方的に変更していたことが判明したという。「算定方法がおかしいとNTTドコモへ金曜日に申し入れたところ、翌週の月曜日に『総務省に接続約款を届け出た』という連絡が来た。一方的に算定式を変更し、しかも申し入れに対して協議もせず届け出た」と日本通信の福田尚久専務は憤る。

さらに、12年1月ころから本格化した11年度の接続料協議の場でも、NTTドコモがさらに別の算定式を提示してくるといった行為が続いたとする。日本通信は総務省に仲裁を依頼するなどして当初の算定式に戻すよう働きかけたものの、4月13日にNTTドコモが正式発表した11年度の接続料も当初の算定式と異なるものだったことから訴訟に踏み切った。

MVNOとは NTTドコモやイー・アクセス、UQコミュニケーションズなどの携帯電話事業者から3GやLTE回線の卸売りを受け、自社ブランドの通信サービスとして展開する事業者である。NTTドコモのMVNOの場合、端末から基地局への無線通信部や、基地局からゲートウエイと呼ばれる分岐点までの中継回線を借りる仕組みだ。
 MVNOは利用する回線の太さ(帯域幅)に応じて、「接続料」と呼ばれる卸売料金をNTTドコモに支払う。消費者に対して提供するサービス内容や料金体系は、MVNOが自由に設定できる。消費者が利用する端末と、ゲートウエイからインターネットにつながる基幹回線は、MVNOが自前で準備する。大半のMVNOサービスは「090」や「080」の番号で音声通話をかけられないデータ通信専用回線だが、オプションで音声通話サービスを提供するMVNOもある。

 交渉の過程で日本通信は、当初の算定式とドコモが一方的に変更した算定式の差額の支払いを停止したものの、NTTドコモから「差額を支払わなければ回線を遮断する」と言われたため、10年度分と11年度分についてはNTTドコモから請求された全額を支払ったという。

この2年分の過払い金は8000万円。仮に請求が棄却されても経営に影響が出る金額ではなく、同社サービスを利用中の消費者にも影響はないとしているが、「MVNOとの協議もなくNTTドコモが一方的に接続料を上げることを一度でも認めてしまえば、何億何十億と値上げする道ができてしまい、MVNOビジネスは成り立たなくなる」(福田専務)として、当初の算定式を順守するよう求めていく。

接続料の「適正水準」は霧の中

これに対してNTTドコモは、ネットワークの高度化に伴い接続料は年々下がっていると反論。日本通信向けには08年に10Mビット/秒当たり1267万円としていた接続料は、09年に940万円、10年度に746万円、11年度には484万円と大幅に低減しているとする。その上で、「現在の算定式では実績コストすら回収できていないのも事実で、見直しが求められる。日本通信にも度重なる説明をしてきたが、理解いただけず遺憾」(NTTドコモ広報部)としている。

 日本通信はMVNOビジネスの草分けとして知られており、2001年にDDIポケット(現ウィルコム)の回線を利用したMVNOサービスを開始。08年8月にはNTTドコモの3G回線を利用したMVNOを始めた。当初はネット利用頻度の高い上級者向けに複数の料金体系を用意し、11年からは小売大手のイオンや家電量販店大手のヨドバシカメラと組んで「月額980円で使い放題」や「月額基本料0円」など、幅広い消費者を対象にした格安3Gプランを展開。NTTドコモのMVNOを始めた当初は赤字が続いていたが、10年10~12月期に四半期ベースの営業損益で黒字転換を果たすなど経営が安定し始めている。
 こうした状況を受け、他社もNTTドコモのMVNOに参入。NTTぷららやソネットエンタテインメント(So-net)、ドリーム・トレイン・インターネット(DTI)など、既に自前のインターネット接続回線を持つプロバイダー各社が、NTTドコモより安い月額3000円弱の3Gサービスを展開。12年には、時間帯や通信速度に条件を付けながらも、NECビッグローブが月額1770円、インターネットイニシアティブ(IIJ)が同945円といった格安サービスを設けて消費者の人気を集めている。

 焦点の算定式について、NTTドコモの相互接続に関する約款では公表されておらず、日本通信も「NTTドコモとの機密保持契約がある」として公表していない。ただ、日本通信では「もともとの算定式に含まれている項目を改めて+αとして徴収するような、不自然な追加項目がある」(福田専務)と主張している。

電気通信事業法では、MVNOの接続料を届け出制としており、その算出に当たっては「適正な原価に適正な利潤を加えたもの」でなければならないとしている。NTTドコモが優越的な地位を乱用して、MVNOに高額な接続料を求めるのを防ぐための規定だが、肝心の「適正な原価」「適正な利潤」は霧の中。しかも毎年大幅に変動するとあっては、今回の訴訟を経ても、適正水準をガラス張りにするには困難が伴う。総務省が仲裁するなどして抜本的な見直しをしなければ、今後もこうした訴訟が続発する可能性がある。

スマホの主要機能がMVNOでは使えず

MVNOビジネスをめぐる火種は、接続料だけではない。

NTTドコモのMVNOの場合、端末としてMVNO各社が用意するモバイルルーターなどに加え、NTTドコモが販売するスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)を利用することができる。しかしNTTドコモのスマホにMVNOのSIMカードを挿した場合、スマホの一部機能が利用できなくなる仕様となっている。

利用できなくなっているのは「テザリング」と呼ばれる機能。スマホを無線LANの親機として、パソコンやiPod touch、携帯型ゲーム機などをスマホ経由でインターネットに接続する機能だ。NTTドコモの現行のスマホではこの機能が標準搭載されており、スマホがモバイルルーターの機能を兼ねられるとしてビジネスマンなどに人気の機能だ。この機能が、MVNOのSIMカードを挿したときは正常に機能せず、インターネット接続できなくなっている。

NTTドコモは、消費者が誤った接続先(APN)を利用して多額の通信料を請求されるのを防ぐための措置としているが、「端末は本来、買った消費者のものであるはず。あるSIMカードを挿したら使えて、別のSIMカードでは使えないというのは消費者の利便性を損ねている。消費者が使いたいようにするべきだ」(福田専務)と改善を求めた。

(電子報道部 金子寛人)

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