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世界の技術を先導 シンガポール、水ビジネス大国に

編集委員 宮内禎一

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 水資源の多くを隣国マレーシアに頼ってきたシンガポールが、水自給率の向上に本格的に取り組み始めて約15年が経過した。弱点の克服という当初の目標を超えて、水処理技術を自国産業の競争力強化につなげる戦略が軌道に乗っている。

2002年時点の淡水供給力は世界で170番目

「ここだけで国内の水需要の10%をまかなえます」。カジノを擁する統合型リゾート(IR)や高層オフィスが林立するシンガポール中心部のマリーナ湾。同国政府は2008年、湾の入り口に長さ約350メートルの堰(せき)を設けて海と仕切り、約240ヘクタールの淡水の貯水池「マリーナ・バラージ」を整備した。

貯水池、下水再生水、海水淡水化――。堰のたもとには、同国が力を入れてきた水政策の歴史と内容をわかりやすく説明する施設があり、小中学生や市民が学びに訪れる。

降水量は多いシンガポールだが、国土が狭くて保水力が乏しく、マレーシアから水を輸入してしのいできた。2002年の国連報告書ではシンガポールの淡水供給力は世界190カ国中、170番目。政府は水問題の解決を最重要課題とし、遮二無二に対策を推進してきた。

第1が貯水。「雨粒を一滴たりとも無駄にしない」方針から貯水池を17カ所に拡大し、国土の3分の2の地域に降る雨を確保できるようにした。

第2が下水再生水。通常の下水処理水をマイクロフィルターと逆浸透膜でろ過して紫外線で殺菌処理した高度処理水「ニューウオーター」の研究開発を1998年に開始し、03年に最初のプラントが稼働した。現在は16年稼働を目指し5番目のニューウオーター施設を中国企業と合弁で建設中だ。ニューウオーターは半導体工場など工業用のほか、一部は貯水池にも供給している。

シンガポールの水需要に占める再生水などの割合
現  在2030年2060年
再生水「ニューウオーター」30%50%55%
海水淡水化10%20%25%
降水・輸入水など 60%30%20%

第3が海水淡水化。05年に初の施設が稼働し、13年に2番目の施設も完成した。現在はニューウオーターで需要の30%、海水淡水化で10%を占める。水需要がほぼ倍増するとみられる60年にはこの割合をそれぞれ55%、25%に高める目標を掲げている。

対策を担当する公益事業庁(PUB)は、研究開発への資金援助や海外企業の誘致によりシンガポールを水処理技術のハブ(拠点)にしようと戦略的に動いてきた。シンガポールの水処理会社「ハイフラックス」は01年に初のニューウオータープラント建設に参加して以来急成長し、海水淡水化事業にも進出。今や中国やインド、中東など世界中の事業に参加している。

世界の水処理関連150社と26研究所が関係

PUBは04年、下水処理場に隣接する水ビジネスの育成施設「ウオーターハブ」を整備した。最新鋭の機器を備え、隣の下水処理場では実証実験もできるため、世界から水処理関連企業が集まってきている。

シンガポールには現在、旭化成や東レなど水処理関係の企業150社と26の研究所が関係する世界でも最先端の技術ハブになっている。PUBのモー・ティンリャン上級副局長は「水の増産と質の向上、低コスト化が研究開発の3大テーマ。シンガポールに拠点を置き、東南アジア、中国、インド、中東などへの跳躍台にしてほしい」と語る。

海外から進出した企業の最新事例として、明電舎がシンガポール西部の工場地帯、ジュロン地区のPUB敷地内に昨春設けた施設をみてみよう。

どす黒い工場廃水をためたタンクからは卵が腐ったような臭いが漂う。ここには石油化学、薬品、食品など周辺の300以上の工場から廃水が集まってくる。4時間貯留して液を均質化。その後、嫌気処理、微生物処理、活性汚泥処理を経て、同社のセラミック平膜で最終処理し、工業用水に再生する。PUBとの2年間の実証プラントで、補助金も得ている。

処理能力は1日4500立方メートル。丈夫で長持ちなうえ、オイルでも目詰まりしないセラミック平膜は工場廃水の処理に効果を発揮する。シンガポールからオーストラリア、東南アジア、中東市場などを念頭に、同社は今夏にも平膜の組み立て工場をジュロン地区に建設する計画だ。

明電シンガポールの杉井守社長は「シンガポールのウオーターハブには世界の様々な最先端技術が集まるほか、定期的に開かれる国際見本市にも世界中から水処理関係者がやってくる」と語る。

世界的な人口増加や発展途上国の経済成長で、水不足に陥る地域が今後一層増えるのは確実。アジア開発銀行(ADB)の試算によると、2010~20年に水処理関係のインフラに投じられる金額はアジアだけで4000億ドル(約48兆円)に上る。

補助金や税制優遇、共同研究機会の提供、国際見本市の開催など、シンガポールは総合力で水処理技術の拠点化をさらに進め、成長分野の需要を取り込もうとしている。

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