公社管理の有料道路を民営化 特区法改正で
政府は地方の道路公社が管理する有料道路の民営化を盛り込んだ構造改革特別区域法の改正案を2014年10月31日に閣議決定した。特区に限って公共機関が施設を所有したまま運営権を民間事業者に売却する「コンセッション」を設定できるようになる。これまで、道路整備特別措置法に基づく有料道路については、コンセッションが認められていなかった。
愛知県は既に、愛知県道路公社が管理する総延長72.5kmの有料道路8路線について、民営化の意向を示している。改正案が成立すれば、有料道路の民営化が愛知県でいち早く実現する。
法案成立後、15年1月中旬に構造改革特区の計画認定申請を開始する予定だ。民営化の本格的な始動は15年度以降になる。
国家戦略特別区域と構造改革特別区域の違い
構造改革特別区域制度は、実情に合わなくなった国の規制に対して、地域限定で構造改革を進め、地域を活性化させることを目的に、小泉内閣時の2003年に導入された。
例えば、今までの規制の特例措置として、金沢市が申請した「地域特性に応じた道路標識設置事業」がある。道路標識の全国一律の寸法や文字の大きさを、周辺環境に調和するように半分のサイズに縮小できるようになった。
14年10月31日には、構造改革特区法のほか、国家戦略特別区域法の改正案も閣議決定された。安倍内閣の成長戦略の一つである同制度も、規制改革などの施策を推進する。ただし、規制緩和の対象選定などに国が主体的に関与するのが、構造改革特区と異なる点だ。
これまでに東京圏や関西圏、新潟市、兵庫県養父市、福岡市、沖縄県が特区に認定されている。都市再生やまちづくりの分野では、「道路の占用基準の緩和」や「容積率・用途などの土地利用規制の見直し」で、経済活動の活発化や産業の国際競争力の強化を図る。
例えば、福岡市では「国家戦略道路占用事業」を計画している。天神地区や博多地区などで、公道を活用した賑わい創出のためのイベントなどを開催する。
(日経コンストラクション 真鍋政彦)
[ケンプラッツ 2014年11月13日掲載]