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相次ぐスマートメーター設置拒否 米電力会社の憂鬱

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日経テクノロジーオンライン

日本では電力自由化に向けて、スマートメーターの設置がようやく本格化しつつある。

ところが、先行する米国では、至る所でスマートメーターの導入に「待った」がかかっている。サービス向上とコスト削減に貢献すると言われるスマートメーター。なぜ、導入を拒否する事例が後を絶たないのか。

電力契約数の32%に設置済み

スマートメーターは、双方向通信機能を備えた電力消費量を測定するシステムである。従来のアナログメーターとの大きな違いは、測定した電力消費量をリアルタイムで無線送信できることや、電力会社がリモートでサービスの接続・切断などができること。さらに、電力供給量の制御も可能だ。

ワシントンDCに拠点を置くIEE (Innovation Electricity Efficiency)研究所が2013年8月に発表したレポートによると、2013年7月時点で4600万台以上のスマートメーターが米国で設置済みという。これは全米の電力契約数の約32%に当たる。

米国連邦政府は「米国再生・再投資法(America Recovery and Reinvestment Act)」に基づき、「スマートグリッド投資補助金(Smart Grid Investment Grant:SGIG)」を創設し、スマートメーターに対する開発支援を積極的に行っている。

しかし、具体的なメーターの導入政策や制度は、州レベルで規定されている。西海岸のカリフォルニア州や東海岸のフロリダ州、バーモント州、電力自由化が進むテキサス州などでは、早くから導入が進められてきた。これらの州の電力会社は、サービス区域全域でスマートメーター導入を既に完了している。

今後2015年までに、50州のうちの19州で、スマートメーターの導入率が50%以上を超えるとIEEは予測している。

電力会社と消費者双方に利点あるが…

カリフォルニア州サンディエゴ市の電力会社San Diego Gas&Electric(SDG&E)は、米国で最初にスマートメーターの完全導入を達成した電力会社である。カリフォルニア州公益事業委員会(California Public Utilities Commissions)の承認の下で、SDG&Eは約5.7億米ドルを費やし、2007年よりスマートメーターの導入を始めた。

現在では管轄内で約142万台のスマートメーターが設置されている。カリフォルニア州で一番大きい電力会社Pacific Gas&Electric(PG&E)も、563万台のスマートメーターを数年前に導入済みである。

スマートメーターの双方向通信機能により、月に1回の割合で検針員がユーザー宅に訪問する検針作業や、引越し時に現地で実施する配線接続作業が不要になった。電力会社にとっては、スマートメーターの導入により、人件費の削減と運営の効率化が期待できる。さらに、スマートメーターで電力使用量をリアルタイムで監視できるため,電力の流れを細かく把握し,送電量をより的確に調整できるようになる。

一方で消費者は、デジタル化によりリアルタイムに電力消費量を把握・分析できるようになった。いわゆる、電力消費量の「見える化」により、節電・電気料金削減のツールを得たことになる。

細かな使用データが一目瞭然

SDG&Eを例に取ってみよう。SDG&EのWebサイトに行き、自分のアカウントにログインすると、様々な電力消費のデータが表示される。日別や月別の電気使用量と料金の一覧表示、過去のデータとの比較グラフ、Excel(エクセル)ファイルのデータダウンロードが可能だ。さらに、住所や住宅タイプが似ている家庭との電気使用量の比較、家電別の電気使用量などのデータなどが集まっている。

このほか、月初からこれまでに使用した電力量や、あと何kWh使用すると次の料金段階に移行してしまうか(省エネルギー推進などの目的から、電気の使用量に応じて料金単価に格差を設けた制度がある。使用量が増えると単価が割高になる)、あと何日で使用期間が終わるかなども分かり、消費者の節電を促している。

1日の電気消費量の設定や、月ごとの節電ゴールなども設定でき、進捗度合いを電子メールで自動的に知らせてくる。SDG&Eは2014年夏、ある特定の日の指定時間内に電気消費量を削減したり需要をシフトした顧客に、電気料金ディスカウントを実施することで、リアルタイムのデータ収集機能を生かした。

2万ユーザーが撤去要望

そんな中、スマートメーターの設置を拒むユーザーが続出し、問題になっている。例えばメリーランド州の電力会社PEPCOは、これまでに約57万台のスマートメーターを設置したが、1000件以上のスマートメーター撤去の要望が来ているという。

同州のBaltimore Gas&Electricも、120万の電力契約口のうち、2万件が同じようにスマートメーター撤去を希望した。

こうした中、州公益事業委員会がスマートメーター導入を承認したメリーランド州は、「スマートメーターを導入しないと特別料金を課す」という方針を打ち出した。2013年6月にスマートメーターの導入を承認したばかりのイリノイ州でも、似たような事態が発生している。

さらにスマートメーターの導入率が高い、カリフォルニア州やネバタ州、オレゴン州でも、市町村レベルで問題化している。

スマートメーターから発火

なぜ消費者は、スマートメーターの導入を拒むのか。消費者の中には、スマートメーターは電磁波を使って情報を送信するので、電磁波による健康被害の懸念や盗聴の可能性、プライバシーの侵害、データの正確性、さらに火災の可能性などを反対の理由に挙げている。

反対派は、スマートメーター設置は「合法的ではない」と主張する。確かに、スマートメーターの設置を法的に定めている州は存在しない。

ネバダ州では、スマートメーターが発火して火災に発展したという報告が、これまでに9件あった。ネバダ州の電力会社NV Energyは、15分ごとに使用量を計測するスマートメーターを、これまで州内に110万台設置した。州公益事業委員会は、電力会社と地元の消防機関から得た情報を基に、メーターの安全性に関する調査を行っている。

2014年7月末には、オレゴン州の電力会社Portland General Electricが、火災発生の懸念から、7万台のスマートメーターを取り替えることになった。

取り替える対象になったメーターは、米国ノースカロライナ州のSensusが製造した「2S Gen3 RD」というモデルである。このメーターは、主に賃貸住宅向けに2010~2012年に設置された。製品自体にリコールはかかっていないが、電力会社は安全性を重んじて、自主交換に動いた。

ペンシルバニア州の電力会社PECO Energyも、設置したSensusのスマートメーターが過熱・発火して火災が生じたために、全てのスマートメーターを自主的に取り替えた。フロリダ州の電力会社Lakeland Electricも、2014年8月に1万台以上のSenus製スマートメーターを取り替えると発表した。

使わないと月10米ドル負担増

サンディエゴのSDG&Eは、「スマートメーターが健康を害する電磁波を放出している」と懸念を持つ消費者から、既に導入したメーターの撤去要請を受けている。

SDG&Eは、米Itronからスマートメーター「OpenWay」を調達した。OpenWayが利用する周波数帯は900MHzで、携帯電話より少し高い周波数の電磁波が放出される。

SDG&Eは「連邦通信委員会(U.S. Federal Communications Commission (FCC)) の電磁波による人体影響のガイドラインを遵守し、FCCの基準の周波数リミットに従って運用されている」「スマートメーターの電磁波が健康に与える影響はない」と発表している。

カリフォルニア州のPG&Eの消費者グループの一部は、スマートメーターの撤退をカリフォルニア州公益事業委員会に要求した。公益事業委員会は協議の末、電力会社がスマートメーターを一方的に設置するのではなく、消費者にスマートメーターを使用しない「オプション」を与える規制を2011年に設けた。ただし、スマートメーターを使用しない場合、まず最初に75米ドルをPG&Eに一括で支払い、その後、月額10米ドルを支払わなくてはならない。

消費者グループは「スマートメーターを使わないのに、なぜ特別料金を取るのか」と非難する。使用しない場合に発する料金は、スマートメーターからアナログメーターへの交換コストと、メーター検針の人件費、メインテナンス費をカバーするためである。

メリーランド州の公益事業委員会も、2014年2月に同様の規制を出した。スマートメーターの設置を拒否する顧客は、まず75米ドルを払い、月額11~17米ドル(州内の電力会社のサービス地域に依存する)を払い続けなくてはならない。フロリダ州やイリノイ州でもアナログメーターに替える場合、手数料と使用料金を払わなくてはならない。

遠隔操作でアナログに切り替え

過去4年の討論の末、メーン州の公益事業委員会は2014年9月、家庭に設置されたスマートメーターから発生する電磁波は「健康に害を与えるものではなく安全である」と宣言した。この州でもスマートメーターを設置したくない、またはスマートメーターをアナログのメーターに付け替えたいと要望する電力消費者は、手数料を払わなくてはならない。

ちなみに、製造したスマートメーターが発火事故を起こしたSensuは、2014年夏、次世代のスマートメーターを市場に投入した。「iConA Generation 4」というモデルで、無線通信機能のオン/オフを電力会社が遠隔から制御できる。

これはスマートメーターが持つ無線通信機能による健康被害の懸念や、ネットワークセキュリティーの心配から、スマートメーターの設置撤去を希望する顧客が現れた場合に、メーターを取り換えずにアナログモードにスイッチできる機能である。これにより、電力会社がメーターを取り替える必要がなくなる。

(ジャーナリスト Junko Movellan)

[日経テクノロジーオンライン2014年10月2日付の記事を基に再構成]

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