「一つの中国」の原則を確認 中台首脳会談
【シンガポール=共同】中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統はシンガポールで7日午後、1949年の中台分断後初となる歴史的な首脳会談を行った。第2次大戦後、60年代まで砲火を交える激しい敵対状態に陥った中台の首脳が、分断から66年を経て歴史的握手を交わし、台湾海峡の平和と発展の重要性を確認した。来年1月の台湾総統選で優勢に立つ独立志向の最大野党、民主進歩党(民進党)をけん制した。
会談では「一つの中国」の原則の下、その解釈は各自に委ねるとした「92年合意」を再確認。総統選で8年ぶりに政権奪取する可能性が高まる民進党が「一つの中国」の原則を認めていないことを念頭に、習氏は原則維持の重要性を強調。「両岸(中台)が共に努力して、正しい発展の方向を維持することを希望する」と述べた。
習氏は会談冒頭で「両岸関係の歴史的な一ページを開いた」とあいさつ。「両岸の中国人には自分の問題を解決する能力と知恵がある」と述べ、米国などの台湾問題への関与をけん制した。馬氏は「現在の両岸関係は49年以降で最も平和な時代」との認識を示した。
馬氏の与党、国民党と中国共産党は互いに相手の主権を認めず、自らが唯一の合法政府だとの立場。台湾が求める「対等な関係」に中国が一定の配慮をし、「両岸の指導者」同士として会談。「国家主席」と「総統」の肩書を使わず、日本語で「さん」を意味する「先生」と呼び合った。
会談終了後、台湾は馬氏、中国は国務院(政府)台湾事務弁公室の張志軍主任(閣僚級)が個別に記者会見する予定。
習氏は公式訪問のため6、7両日にシンガポールを訪問。馬氏は日帰りで同国を訪れた。