元大関千代大海(34)の引退ならびに年寄「佐ノ山」襲名披露相撲が2日、東京・両国国技館で行われた。358人がはさみを入れた断髪式に、母美恵さん(67)も参加した。師匠九重親方(元横綱千代の富士)の止めばさみの直前、千代大海がいったん土俵から降りてイスに座り、待ち受けていた美恵さんが心を込めてはさみを入れた。

 「入門のきっかけをつくってくれたおふくろに、何が何でもはさみを入れてほしいと思った。伝えたのは昨日の夜です」。中学まで札付きのワルだったのは、有名な話。「親孝行がしたい」と言って入門してから17年がたった。

 つらい時は「男だろ?

 前を見て、歩かんかい」と気合を入れられた。美恵さんは「最高の親孝行です。前は『クソばばあ』だったのが『長生きしろよ』と言ってくれる」と振り返った。今後は、親方として第2の千代大海を育てる一方、嫁取りも視野にある。「結婚?

 残念ながら、今日という日に間に合いませんでした」と苦笑いだったが、母は「心配してない。縁ですから」とフォローしていた。【佐々木一郎】