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 ニューイヤー駅伝は1月1日、群馬県庁前発着の7区間100キロで行われる。過去21回の優勝を誇る旭化成は新監督で16年ぶりの優勝を目指す。

 宗茂氏と宗猛氏(ともに61)。日本マラソン史に偉大な足跡を残した兄弟が20年以上指揮を執ってきたチームを、今季から西政幸監督(49)が率いる。しかしその1年目は苦境に立たされている。

 九州予選は過去最低順位の5位。09年世界陸上1万メートル代表だった岩井勇輝さんが引退し、大西智也(27)と深津卓也(27)の1万メートル27分台2人を故障で欠いた。1区で10位と出遅れると、2区を走った主将の佐々木悟(29)が5位まで押し上げたが、それ以降はその順位をキープするのが精一杯だった。

 大西は元日の本番には間に合う予定だが、深津の復活は厳しい状況。さらに旭化成は外国人選手不在のため、2区で遅れることも覚悟しないといけない。西監督は「1年目からガツンと行きたかったのですが優勝争いは難しい。どうしのいで(強力選手が加入する)来年につなげるか」と思案している。

 しかし明るい材料もある。左ヒザを手術した堀端宏行(28)が九州予選で1年ぶりにレースに復帰。世界陸上マラソンの連続代表が、本番では最長区間の4区に意欲を見せている。さらに、九州予選の1週間後に鎧坂哲哉(24)が1万メートルで27分38秒99と、来夏の北京世界陸上標準記録を突破する走りを見せた。この記録は米重修一さんが1988年に記録した旭化成記録を26年ぶりに更新するものだった。

 入社3年目の鎧坂は前回大会では3区で区間賞。「旭化成のユニフォームを着て、日本人には一度も駅伝の区間順位で負けていない」と話す。3区の鎧坂で一気に順位を上げ、堀端が最長区間で粘りの走りをすれば8位入賞圏も見えてくる。