2020年東京五輪・パラリンピックを見据えた大相撲の国際文化交流イベント「大相撲beyond2020場所」が4日、東京・両国国技館で開かれ、外国人や障がい者らを中心とした招待客約2300人が「大相撲」を堪能した。

 中でも最高位の日馬富士と鶴竜の両横綱が並んで上段(気迫)中段(攻撃)下段(防御)の3つの型をつくる「三段構え」が、貴乃花と曙が96年4月の伊勢神宮奉納相撲で行って以来、20年ぶりに披露された。

 国技館の落成式や奉納相撲など、重要な行事で披露されてきた型に、日馬富士は「故九重親方(元横綱千代の富士)と北の湖親方(元横綱)のビデオを何回も見て、土俵の上でも練習してきました」と言い、鶴竜は「名誉あること。横綱全員がやったことではない。この時代にできたことがうれしい」と感激していた。

 イベントではまず、親方衆がもぎりを務める本場所と違って、チケットのコードをかざすだけで入場できるタッチ方式を導入。国技館のエントランスで十両力士らが出迎えて、和装のスタッフが案内した。

 さらに館内では、聴覚障がい者向けに手話やモニターなどを土俵前に設置し、視覚障がい者向けに点字のプログラムを配布。外国人向けには日本語と英語でアナウンスを実施した。

 日馬富士は「2020年東京五輪、日本を世界中が注目している。日本の伝統と文化を通じて、世界の皆さまにもっと日本という国を知ってもらって、歴史と文化を大事にしているところを見てもらえたらいい」。八角理事長(元横綱北勝海)は「三段構えを横綱がしっかりした形で見せていただいたと思う。伝統文化を受け継ぐ者として、外国の人にも十分理解していただいたのでは。今後、さらに相撲道にまい進していく所存です」とコメントした。