<オールスターゲーム:全パ1-1全セ>◇第1戦◇19日◇札幌ドーム

 2人の運命に引き寄せられるようだった。マウンド上の西武菊池雄星投手(22)は、笑顔で大谷の好プレーをたたえた。6回1死二塁、バレンティンの痛烈な打球をキャッチした左翼大谷がノーステップで二塁へ返球。アウトにはならなかったが、慌てて帰塁した西岡が思わず苦笑いを浮かべるほどだった。「(大谷が)投げると思わなかったので、びっくりした。強烈な打球を捕って、(走者を)刺しにいってくれた。改めていい後輩だなと」。ベンチ前ではグラブタッチで迎えた。

 6回、大谷からのバトンを受け、球宴初マウンドに上がった。ブルペンでは大谷と並んで肩をつくって、人生初の“共演”。「2度とないことかもしれないので、楽しみながら」と登板に備えた。「ほれぼれするような、ああいう真っすぐを投げたいなと思わせるすごい球でした」。ともに岩手で生まれ育ち、「怪物」と呼ばれた後輩の力を生で実感した。

 一流選手に囲まれ、心の底から楽しんだ。先頭打者に四球を与えたが、1回を無安打無失点。交流戦で本塁打を浴びた阿部を直球勝負で二ゴロに抑えた。「居場所はないかなと思ったけど、みなさん優しく声を掛けてくれて、楽しくやれたと思います」。全13球のうち、直球を12球。最速は145キロ。内容には少し不満そうだったが充実感たっぷりの表情だった。【久保賢吾】