ソフトバンクが延長サヨナラ勝ちで、優勝マジック「38」を点灯させた。日本ハム戦で延長11回1死二塁、代打の本多雄一内野手(30)が右前にサヨナラ打。今季初の7連勝を飾った。7回に同点とされても、以降はブルペン陣が勝ち越しを許さない盤石の試合運び。最短胴上げは8月29日。スピード優勝の楽しみも加えながら、連覇に突き進む。

 本多が低めボール球のフォークをすくい、しぶとく右前へ落とした。4時間14分の激闘は、サヨナラ勝ちという最高のフィナーレを迎えた。一塁でバンザイする本多に内川、松田が抱きつく。ナインから氷、コーラなどをかけられる手荒い祝福を受けた。

 3試合連続でスタメンを外れた本多が、代打要員で残っていた。延長11回1死二塁。2球目にはワンバウンドを空振りするほど、自分を見失っていた。4球目、5球目とフォークを見逃すうちに軌道を見切った。「食らいつく気持ちがあったんで。前に飛ばせば何かあると思った」。09年4月5日オリックス戦以来、6年ぶりのサヨナラ打。不動のレギュラーとして打ったものとはまた違った味わいだった。

 工藤監督も「言葉にならないぐらいすごい。あの集中力は並じゃない」と精神力に驚いた。8回に2番手森が3者連続三振を奪うなど、ブルペン陣がゼロに抑えて延長戦に。じっくり攻め、福岡移転後最速で優勝マジックを点灯させた。

 本多は「今年は打線もいいし投手もいい。接戦もものにできるし、チームの雰囲気がいい。ここから自分も結果を出していきたい」。ホークス一筋10年目の韋駄天(いだてん)も、今年の強さには今まで以上の勢いを感じている。【石橋隆雄】

 ▼ソフトバンクに優勝マジック38が点灯した。2位日本ハムは残り47試合に全勝した場合、100勝42敗1分けで勝率7割4厘。ソフトバンクは日本ハム戦に全敗しても他カードで38勝すれば99勝41敗3分け、勝率7割7厘となり、日本ハムの勝率を上回る。8月5日のM点灯は08年7月22日阪神(M46)以来の早さで、ソフトバンクでは南海時代の65年7月6日(M62)以来のスピード点灯となった。現日程での最短胴上げは8月29日。2リーグ制後、優勝決定が最も早かったのは90年巨人の9月8日で、パ・リーグでは64年南海と95年オリックスの9月18日で、ソフトバンクが最速優勝に挑戦する。