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トヨタ、新型シエンタを発売

カテゴリ:新車 / 2015年07月09日

 
 

トヨタ自動車は2015年7月9日、3列シートのコンパクトミニバン「シエンタ」をフルモデルチェンジして発売した。2003年デビューの初代以来、初のフルモデルチェンジになる。名古屋での発表会が行われた中部経済産業局(中区三の丸)からレポート。

2代目はぶっ飛んだデザイン


新規開発色のエアーイエローがテーマカラー

初代シエンタは2003年9月にデビュー。3列シート・7人乗りのコンパクトミニバンで、当時のライバル車はホンダ モビリオ、日産キューブキュービックだった。車名は、スペイン語の「7」(sieste)と英語の「楽しませる」(entertain)が由来の造語だ。

 

「フレックストーン」と呼ばれるカラースキームの一例。グリーンマイカメタリックとブラウンパールの組み合わせ
(photo:Toyota)

結果的に12年間もフルモデルチェンジなしできたシエンタ。今回の新型は「ユニバーサルでクールなトヨタ最小ミニバン」として開発されているが、何よりびっくりするのが外観デザイン。“アクティブ & ファン”という、ミニバンらしからぬキーワードでデザインされたエクステリアは、先代シエンタどころかトヨタ車の文脈からも遠く外れたぶっ飛んだもの。率直な話、シトロエンのバッジがついていてもおかしくない。

駆動用バッテリーと燃料タンクをキャビン床下に配置


(photo:Toyota)

ボディサイズ(先代比)は、全長4235mm(+115mm)×全幅1695mm(同)×全高1675mm(+5)、ホイールベース2750mm(+50)。先代より長くなった分、後列のフットルームを広げるなど、余裕をもって3列シートを実現している。

プラットフォームは前半がアクア(ヴィッツ系)ベースだが、真ん中から後ろはほぼ新設計。今回新設定されたハイブリッド車ではニッケル水素電池を2列目の足元フロア下に搭載。そして燃料タンクはその後ろ、すなわち2列目シートの座面下に搭載している。ハイブリッド車で電池と燃料タンクをここに配置するのはけっこう異例だ。

 

内装も見応えあり。造形や色使いの面白さ、質感の高さは、これまでのトヨタ車と一線を画す

実車を見ると、床下にそんなものがあるとは思えないほどフロアは低く、気になる出っ張りもない。乗降性に影響するスライドドア部の乗り込み高さは330mm(2WD車)で、先代より55mm低い。また、開口幅も50mm拡大されたという。おかげで3列目シートからの乗り降りは、そんなに大変ではない。

1.5Lガソリン車と1.5Lハイブリッド車を設定

ガソリン車は、燃費のいい新世代1.5Lガソリン「2NR-FKE」(109ps、136Nm)とCVT(無段変速機)の組み合わせ。4WD車は従来型1.5Lの1NZ-FEを継続する。

ハイブリッド車の方は、アクア譲りの1.5Lハイブリッド(システム出力100ps)を搭載する。ハイブリッド車の車重は1380kgで、アクアより300kgほど重い。

JC08モード燃費は、ガソリン車が20.2~20.6km/Lで、ハイブリッド車が27.2km/Lを達成し、ほぼ唯一のライバルとなるホンダ フリード(こちらも1.5Lのガソリン車とハイブリッド車)に差をつけている。ちなみにアクアは37.0km/Lだ。

7人乗りと6人乗りを用意


写真は2列目ベンチシート風の7人乗り仕様
(photo:Toyota)

乗車定員は車名の由来である7人乗りが基本だが、新型には6人乗りも新設定された。FF車(ハイブリッド車を含む)では両方選べるが、4WD車はすべて6人乗りになる。7人と6人の違いは、2列目シートの形状(いずれも5:5分割だが、7人乗りはベンチシート風、6人乗りは中央にアームレスト&ドリンクホルダー付の独立シート風)、中央席ヘッドレスト&シートベルトの有無などで、価格差はない。

 

サードシートはセカンドシート座面下に格納可能。セカンドシートは背もたれを水平に畳めるほか(写真)、タンブル格納(座面ごと前に跳ね上げる)も出来る

先進安全装備については、カローラアクシオ/フィールダー、オーリス、ヴィッツに続き、Toyota Safety Sense C(TSSC)を全車にオプション設定。レーザーレーダーと単眼カメラの装備により、約10~80km/hの速度域で働く自動ブレーキ、レーンディパーチャーアラート(LDA)、オートマチックハイビーム(AHB)、先行車発進告知機能を備える。

168万9709円からスタート。ハイブリッド車は222万6763円~


生産はトヨタ自動車東日本(株)の宮城大衡工場。カローラと同じラインで生産される。

価格は純ガソリン車が168万9709円~。その上級グレード「G」が198万0327円~。ハイブリッド車が222万6763円~。

 

車いす仕様車は2列シートのガソリン車のみ。最大で3名+車いす1名、あるいは5名乗車などが可能

販売チャンネルは従来はカローラ店のみだったが、新型はトヨタ店、トヨペット店、ネッツ店が加わって全チャンネルになった。販売目標台数は月間7000台。

海外への輸出は、同じ右ハンドルの香港向けに少量あるのを除けば、基本的に予定はないとのこと。

 

DAYSのコメント

ヴォクシー/ノア/エスクァイアといった路線とは対極の、欧州車テイストのデザインでまとめられたコンパクトミニバン。ハード樹脂ながら革張りに見えるインパネとか、手触りのいい布張りのフロントドアトリムとか、「内外装のデザインや質感は、かなりがんばりました」とのこと。一見かなり強烈なインパクトがあるが、実車を見るとけっこう好感が持てるので、ぜひお確かめいただきたい。

 

■外部リンク
トヨタ自動車>ニュースリリース>新型シエンタを発売(2015年7月9日)

■参考記事
新車試乗記>トヨタ シエンタ(2003年10月掲載)