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日産 スカイライン クロスオーバー 370GT新車試乗記(第572回)

Nissan Skyline Crossover 370GT

(3.7リッターV6・7AT・420万円)

「クーペとSUV」を融合!
愛のスカイラインが
クロスオーバーで
スターティングオーバー!

2009年09月26日

 
 
 

キャラクター&開発コンセプト

海外では「インフィニティ EX」

2009年7月13日に国内で発売された「スカイライン クロスオーバー」は、その名の通りV36型スカイラインをベースとする「クーペとSUV」の融合をうたったクロスオーバーモデル。北米では「インフィニティ EX」として2007年末から販売されていたもので、すでに欧州にも投入されている。

日本向け「スカクロ」のパワートレインは基本的に欧州仕様と同じで、現行スカイラインシリーズやZ34型フェアレディZでおなじみの「VVEL(ブイベル=バルブ作動角・リフト量連続可変システム)」付3.7リッターV6エンジン「VQ37VHR」と7速ATとなる。

装備面も充実しており、駐車ガイド機能が付くなど第2世代に進化したアラウンドビューモニター、そしてスカイラインシリーズでは初の全速度追従機能付インテリジェントクルーズコントロールや前方車両接近警報システム(FCW)、あるいはブレーキ制御による車線逸脱防止支援システム(LDP)といった先進装備を採用している。

生産はスカイライン等と同じ栃木工場(栃木県 河内郡上三川町)。国内の販売目標はスカイライン クーペと同じ月間200台と少なめだが、セダン(月間目標1000台)と共に、シリーズ全体で「スカイライン」の存在感を示したいところだ。


■参考(過去の新車試乗記 スカイライン シリーズ<V35/V36系>およびステージア<M35型>)
・日産 スカイライン クーペ 370GT Type P  (2007年11月)
・日産 スカイライン 350GT Type SP  (2007年1月)
・日産 スカイライン クーペ 350GT (2003年3月)
・日産 スカイライン 350GT-8 (2002年4月)
・日産 ステージア AR-X Four (2001年12月)
・日産 スカイライン 250GT (2001年7月)

価格帯&グレード展開

FRで420万円から。4WDは27.3万円高、「タイプP」は52.5万円高

全車3.7リッターV6の7ATだが、駆動方式はFRと4WD(27万3000円高)がある。それぞれに標準仕様のほか、レザーシートやアラウンドビューモニター等を備えた「タイプ P」(52万5000円高)があり、計4グレードとなる。


ボディカラーは全7色。試乗車は「スーパーブラック」

400万円台という価格帯はスカイラインとしてはやや高めだが、操作性に優れたカーウイングスHDDナビ(地デジ内蔵の最新バージョン)やBoseサウンドシステムが全車標であることを思えば、そう割高ではない。

オプションはサンルーフとルーフレールのセット(14万7000円)、全車速追従機能付インテリジェントクルーズコントロールなどのハイテク安全装備のセット(16万8000円)くらい。後者はぜひ注文しておきたい。


【スカイライン クロスオーバー】
 3.7リッターV6(330ps/36.8kgm)・7AT

■370GT        (FR)  420万円 ★今週の試乗車
 10・15モード燃費:9.7km/L

■370GT Type P    (FR)   472万5000円
 10・15モード燃費:9.7km/L
■370GT Four     (4WD)   447万3000円
 10・15モード燃費:9.1km/L
■370GT Four Type P  (4WD)   499万8000円
 10・15モード燃費:9.1km/L

パッケージング&スタイル

(セダンではなく)クーペとSUVの融合

ボディサイズは全長4635mm×全幅1800mm×全高1575mm(ルーフレール装着車は1600mm)。目立つのはクロスオーバーをうたう割に、背が低いところだ。全高はXC60(1715mm)やアウディQ5(1660mm)はもちろん、スバルのアウトバック(1605mm)よりも低く、最低地上高も165mm(4WDで150mm)に過ぎない。

また全幅は欧州製SUVやムラーノなどより10センチほど小さく、エクストレイル(1785mm)と同じくらいで、意外にコンパクトと言っていいだろう。

コンセプトとしては「クーペとSUV」の融合であり、その上のインフィニティ FX(エンジンはV6とV8がある)と差別化する上でも、スタイリングは思い切りスポーティに振ったようだ。FRベースならではのロングノーズを強調したサイドビューもそうした印象を強めている。

またホイールベースはセダン/クーペよりわざわざ50mm詰めて2800mm。これもあくまで見た目の間延び感を無くすための処置だという。

着座位置はセダン比で約70mmアップ

インパネの操作系レイアウトはセダン/クーペ系とほぼ同じだが、デザインはクロスオーバー専用だ。「ブラッククオーツ」と呼ばれる独特の化粧パネルやメッキパーツが奢られ、高級感はかなり濃いめ。助手席側のダッシュボードに張られた「溝」入りのソフトパッドも今回初めて見るもので、このところの日産らしくインテリアには凝っている。

運転席の座面高はセダン比で約70mm、クーペ比で約100mmほど高い616mmとなり、視点も高まったほか、乗降性も向上。ヒール段差(床面から座面基準高までの高さ)も大きくなり、着座姿勢もアップライトだ。シートサイズはやや小振りな印象を受けた。

そのシートの生地は、乗車(標準車)の場合、最近珍しい?分厚いモケット。一方、上級グレードの「タイプP」では黒のレザーとなり、さらにオプションで茶革とウッドパネル(カーリーメイプル)にも出来る。こうすると内装はさしずめ「フーガ クロスオーバー」といった雰囲気だ。

熟成のカーウイングスナビ

相変わらず感心するのはカーウイングスナビの使いやすさだ。スカイライン クロスオーバーに全車標準となったのはその最新世代で、いろいろバージョンアップされているが、面白いのは小学校の周辺に近づくと音声ガイドと表示で警告してくること。街中だとけっこう頻繁に警告される。また標準搭載となった地デジの映像は、Dレンジのままでも停止中にパーキングブレーキ(足踏み式)を掛ければ映るタイプ。発進するとナビ画面に自動で戻ってくれる。

その他の機能としては、燃費履歴やエンジンオイル等のメンテナンス間隔を管理できる車両情報画面、あるいは左サイドの死角を映し出すサイドブラインドモニター機能が備わる。またタイプPには駐車ガイド付の最新型アラウンドビューモニターも装備されるなど、内容はかなりの大盤振る舞いだ。計11スピーカーのBOSEサウンドシステムは全車標準となっている。

後席も若干「クーペとSUVの融合」風

乗降性のいい前席とは違い、後席で最初に戸惑うのが乗降時の足もとの狭さ。特に降りる時は、Bピラー付け根に足を引っかけそうになる。座ってしまえばしっかりした姿勢が取れるし、ヘッドルームから足先までちゃんと空間もあるが、やはり広々感には欠けるところで、背もたれの角度もやや立ち気味。フットルームもつま先を前席の下に入れることで稼いだものだ。

 

空間的には何となくCセグメントのコンパクトカーに近い感じで、このあたりも「クーペとSUVの融合」なのかと思うが、当然スカイラインクーペよりは実用的だ。

なお、「タイプP」には運転席ヘッドレストの後ろ側に、コートハンガーを内蔵する。よくあるフックではなく、それより大きめのハンガー風であるのが特徴だ。

トランクは小さめだが、電動復帰タイプの可倒式シートを採用

「ワゴン」だと思ってリアゲートを開けると、がっかりしてしまう小さな荷室。そうかこの瞬間が「クーペとの融合」という感じ。上品なメッキハンドルの付いたトノカバー、敷き詰められたカーペット、傾斜したリアゲートなどを見ていると、アウディTTが思い出されたが、もちろん容量はそれなりにある。ゴルフバッグはスカイラインクーペの2個、同セダンの4個に対して、3個ないし最大4個とのこと。

 

さらにワゴン的な能力を期待する向きには、ちゃんとサプライズが用意されている。ムラーノでも採用された電動復帰タイプのリモコン可倒式リアシートがそれだ。ワンタッチで背もたれが倒れ、さらにワンタッチで背もたれを元に戻せるタイプだ。ムラーノではオプション設定だったが、今回は全車標準となっている。

背もたれを倒せば、天地の余裕は今ひとつだが、ほぼフラットな荷室空間が簡単に作り出せる。アウトバックとは正反対で積載性は低いが、なにぶんこれも「クーペとSUVの融合」ゆえ。

 

また床下に収納スペースはなく、巨大な18インチの応急用スペアタイヤとBoseのアンプ内蔵ウーファーボックスが収まる。このあたりもクーペ風だ。

基本性能&ドライブフィール

VQらしくトルクフル。乗り心地もよく、静か

試乗したのは2WDモデル。エンジンは全グレード共通で、V36型スカイライン(マイナーチェンジ後)やZ34型フェアレディZでおなじみの3.7リッターV6「VQ37VHR」(330ps/36.8kgm)。すなわち、バルブ作動角・リフト量連続可変システム「VVEL(Variable Valve Event and Lift)」付の最新ユニットだ。変速機もそれらと同じジヤトコ製7ATとなる。

タイトな運転席に収まってエンジンを始動すれば、聞こえてくるのはいつものVQサウンド。ものすごくスポーティというわけではないが、十分なトルクでスルスルと快適に走ってくれる。乗り心地もよく、オールシーズンタイヤの割にロードノイズも静かだ。そんな感じで街中を走っていると、かつての国内自主規制を軽くオーバーする330psのパワーはなかなか実感できない。

「DS」でスポーティに、VDCオフでワイルドに豹変

だがワインディングでシフトレバーをスポーツモード(「DS」と表示)に入れて走ると(マニュアルモードはあるがパドルシフトはない)、さすがにそれらしく走ってくれる。試乗車はFRということで、加速時はホイールスピンしかける→すぐさまVDCが介入、を繰り返するが、少なくとも一般道では安心して速く走れる。ただしレガシィの4WDのように4輪で路面を掻きながらぐいぐい曲がり、ぐいぐい加速、という感覚はなく、それからすると330psというパワーが存分に発揮できていない感は強い。

試しにVDCオフで走ってみると、基本的にはアンダーステアを強めつつ、パワーバンドに入ると大ホイールスピン大会となり、クルマが前に進まない。そもそも後輪だけで330psを路面に伝えるとなると、このオールシーズンタイヤでは役不足のようだ。

全車速追従機能付クルーズコントロールと前方車両接近警報

試乗して気に入ったのが、数々のハイテク安全装備だ。スカイラインシリーズで初となる全車速追従機能付インテリジェントクルーズコントロール、そして日産車で初装備となる前方車両接近警報(FCW=フォワード・コリジョン・ウォーニング)、あるいは日本向け車両では初となる、ブレーキ制御を使った車線逸脱防止支援システム(LDP=レーン・ディパーチャー・プリベンション)などがそうだ。

中でも興味深かったのはFCWで、これは約15km/h以上で走行中に、前方の車両に接近すると、表示と音でドライバーに注意を促すというもの。基本的には追突防止用だが、例えば対向車が来ても反応する場合があった。それはそれで注意が喚起されて悪くない(キャンセルスイッチもある)。

また全車速追従機能付のクルーズコントロールは、前の車両との間隔をキープして最終的には自動ブレーキで停止まで行ってくれるもの。従来はフーガ以上のモデルに採用されていたものだ。

もちろん、不注意になりがちな低速での追突を自動ブレーキで防ぐという点では、先日試乗したボルボのXC60の方が進んでいるが、この全車速追従機能付インテリジェントクルーズコントロール+FCWという組み合わせも、実際に試してみると「十分に追突防止になる」と思えた。これらは16万8000円のセットオプションだが、つまらない事故を防げると思うなら安い投資と言える。

なおLDPは、車線逸脱警報(LDW=レーン・ディパーチャー・ウォーニング)に付加する形で登場した機能だ。カメラで車線(白線)を捉え、逸脱しそうになると警報を出すのがLDW。さらにVDCの各輪個別ブレーキ制御を使って、進路を修正するのがLDPだ。ホンダやトヨタのレーンキープアシスト(LKA)が電動パワステの操舵アシストで行うことを、LDPはブレーキ制御で行うわけだが、今回は意識して試乗しなかったせいか、作動を体感することはなかった(LDWの警告は頻繁にあったが)。なおスカイライン クロスオーバーのパワステは油圧制御であり、その点でもLDPとは相性が良いようだ、。

試乗燃費は約6km/L~8km/L。10・15モード燃費は9.7km/L

今回もほぼいつも通り約200kmを試乗。試乗燃費は高速・一般道をまじえた区間(約110km)が6.2km/L、一般道を無駄な加速を控えて走った区間(約60km)が7.9km/Lだった。10・15モード燃費は9.7km/Lで、もちろんプレミアムガソリン指定となる。

ちなみに先日とりあげたレガシィ アウトバック 3.6R(試乗燃費が7.6~9.3km/Lで、10・15モード燃費が10.0km/L)に比べて試乗燃費が良くなかった一因は、レガシィに備わるSIドライブの「 i 」モード(燃費は良くなるが、パワー感もそうとう失われる)に相当するものが、日産にはないからだろう。

ここがイイ

独自の存在感。内容の割に安い。カーウイングスナビ、全車速追従レーダークルーズ、FCW等のハイテク。気の利いたユーティリティ

スペースの確保よりスタイリングを優先し、車高を持ち上げた4ドアクーペという、かつてあり得なかったコンセプトを具現化していることで、唯一無二、ライバルなしと言い切れる独自の存在感を得た。その潔さがカッコいい。

パワートレインは基本的に既存のものだが、それゆえにこの排気量とこのパワーが手に入るわけで、さらにカーウイングスHDDナビなど装備を満載しても、価格は比較的安い。また全車速追従機能付のインテリジェントクルーズコントロール、FCW(前方車両接近警報)といった安全装備もオプションとはいえ用意され、装着すれば世界トップレベルのハイテクカーとなる。

北米市場を考慮したからこそ用意されたであろうコートハンガーは、荷室の広さなどよりある意味ユーティリティ性が高い。すべてのクルマに標準装備してもらいたいものだ。センターコンソールのカップホルダーは2段階で高さを変えられ、ペットボトルも安定して置けるのが便利。他にもスイッチ一つで倒せて、引き起こせるシートバックなど、いちいち細かいことばかりだが、広くはないが使い勝手がいいということは誉めておきたい。

ここがダメ

オールシーズンタイヤ、車両キャラクターの分かりにくさ

オールシーズンタイヤのせいか、330psという割に走りはいまいち。日本で売るモデルはサマータイヤにして欲しかったところ。燃費もいまいちで、このご時世、日本で乗る分にはちょっと辛いところ。SIドライブを装備し、レギュラー化も果たしたスバルのフラットシックスのような工夫を、今の時勢では売りとして欲しいところだ(税制変更でガソリン代が安くなるとまた印象は異なるかも)。

一見SUV風のイメージに惑わされたり、「スカイライン ワゴン」やステージアの再来と思ったりして買うと、居住性にしろ積載性にしろ、実用面では期待を裏切られるはず。どちらかと言えば多分に「スペシャリティ」的なモデルなのを、もっとわかりやすく告知すべきだ。同時に、様々なハイテクをもっと世に知らしめるべく広報活動に力を入れるべき。クロスオーバーという車名を含め、なんだかよく分からないままにしておくのは、月販200台とはいえもったいない。

試乗して思ったのは、小柄な日本人のためにシート座面の角度調整幅をもう少し広げた方がいいということ。また、USB端子がアームレスト下のセンターコンソールボックス内にあるが、とても使いにくい位置なので何とかして欲しい。物が入っていると、ますます端子を挿しづらくなる。こういったものはダッシュパネルへ設置すべきだろう。

総合評価

ハイテクカーとして素晴らしい

まずは様々なハイテク安全装備を讃えよう。特に全車速追従機能付きインテリジェントクルーズコントロールは、低速でも車間を維持し、さらに前車が停止したときには自車もスムーズに停車する。むろんインテリジェントクルーズコントロールをセットした状態に限るので、「自ら止まってくれるクルマ」と宣伝しているボルボXC60のように常時スイッチが入った緊急停止装置とは異なるのだが、それでも停止まで行うのは素晴らしいと思う。

他にも低速時にはFCW(前方車両接近警報)があるので、うっかりによる追突はかなり防げそうだ。さらに車線逸脱防止支援システムやら、駐車ガイド付きアラウンドビューモニター、前後の180度広角カメラ、小学校の通学路エリアでの警報を備えるなど、日産では最も進化したハイテクカーといえる。こうした装備は一部オプションだが、車両価格に比しては安価だから、標準搭載とすべきだろう。もともと高額で、しかも月200台程度しか販売目標としないクルマなのだから、それでこそこうしたハイテク安全装備のさらなる普及に貢献できるはず。その意味で、標準装備でないことがとても残念だ。

「HR-V」のコンセプトを思い出す

さて、このクルマ自体だが、一見ではSUVということになるだろう。SUVはスポーツ「ユーティリティ」ヴィークルの略だが、スカイラインクロスオーバーの場合は多用途を意味する「U」がなくなって、SV(スポーツヴィークル)といった趣。よく見ればその形はロングノーズ・ショートデッキの典型的なクーペスタイルで、スペースは最小限。シート高が高いこと以外は完全な2+2クーペだ。走ってみればもはやスポーツカーの域(動力部分はZと同じなのだし)。ベースグレードが4WDではなくFRであることもそれを裏付ける。

となれば1998年にホンダが出したHR-Vあたりが成り立ちとして近いのでは、と思う。「HR-V」という車名は、ハイライダー・レボリューショナリー・ビークル(Hi-rider Revolutionary Vehicle)、つまり、「最低地上高を高くとった革新的なクルマ」の頭文字で、クルマそのものはシビックのような2ドアハッチバック風の車体をサスペンションで持ち上げたものだったが、これによってアイポイントは高まり、悪路も走りやすくなり、スタイリングは斬新になった。当然ベースとなった駆動方式は、4WDではなくFFだ。

今や貴重なメーカー

つまり、このHR-VのコンセプトをFR高級車ベースで展開し、よりクーペっぽいスタイリングとしたのがスカイラインクロスオーバー、と言えるのでは。ご承知のようにHR-Vの場合は、当初2ドアがなかなか売れず、4ドアを追加して数年を生き延び、結局後継車は登場しなかった。しかしモーターデイズではかなり誉めたし、実際まだスタッフの一人が今も乗っているほどだ。しかしHR-Vが国内で大ヒットとはいかなかったことで、メーカーはこういう類のクルマが、こと日本では難しいと学習したのだと思う。一方で今回スカイラインクロスオーバーが登場できたのは、日本ではなく北米という市場がこうした新しいタイプのクルマを求めているからだろう。

日本ではスペース優先の、ある意味退屈なクルマしか売れ筋とならないが、北米ではこうした遊び心のあるクルマが今でも商売になるわけだ。普通のスポーツカーですらが今や絶滅状態にある日本からは、絶対に出てこないタイプのクルマといってもいいだろう。それゆえ、クルマ業界が活気を失っていることも確かなのだが……。Zやスカイラインクロスオーバーといった北米向けモデルの一部とはいえ、日産はこれらユニークなスポーツモデルを次々に日本市場へもたらしてくれている、今や貴重なメーカーだ。そこを何より讃えたい。

試乗車スペック
日産 スカイライン クロスオーバー 370GT
(3.7リッターV6・7AT・420万円)

●初年度登録:2009年7月●形式:DBA-J50 ●全長4635mm×全幅1800mm×全高1575mm ●ホイールベース:2800mm ●最小回転半径:5.5m ●車重(車検証記載値):1740kg( 940+800 ) ※オプション装着車。標準仕様は1730kg ●乗車定員:5名 ●エンジン型式:VQ37VHR ● 3696cc・V型6気筒・DOHC・4バルブ・縦置 ●ボア×ストローク:95.5×86.0mm ●圧縮比:11.0 ● 330ps(243kW)/ 7000rpm、36.8kgm (361Nm)/ 5200rpm ●カム駆動:タイミングチェーン ●使用燃料/容量:プレミアムガソリン/80L ●10・15モード燃費:9.7km/L ●JC08モード燃費:-km/L ●駆動方式:後輪駆動(FR) ●サスペンション形式:前 ダブルウイッシュボーン/後 マルチリンク ●タイヤ:225/55R18( Dunlop SP Sport 7000 A/S M+S ) ●試乗車価格:436万8000円( 含むオプション:ステアリングスイッチ+インテリジェントクルーズコントロール+LDP(車線逸脱防止支援システム)+LDW(車線逸脱警報)+FCW(前方車両接近警報)など 16万8000円 )●試乗距離:約200km ●試乗日:2009年9月 ●車両協力:日産プリンス名古屋販売株式会社

 
 
 
 
 
 
 

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