平成22年3月18日
国土交通省は、本日、「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」(平成14年国土交通省告示第619号)等を改正し、公道を走行する大型特殊自動車及び小型特殊自動車の排出ガス規制(ディーゼル車)の強化等を行いました。
今回の排出ガス規制の強化は、平成20年1月の中央環境審議会第9次答申に基づくものであり、これにより我が国のディーゼル特殊自動車の排出ガス規制は世界で最も厳しいレベルのものとなります。具体的には、ディーゼル特殊自動車の排出ガス規制値が、従来と比較して粒子状物質(PM)で88~93%強化されます。
1.改正の概要(参考資料参照)
(1) 排出ガス新試験モードの導入
日本も参画している自動車基準調和世界フォーラム(UN/ECE/WP29)にて作成された世界統一基準NRMM gtr※1(Non- Road Mobile Machinery global technical regulation)に規定されているNRTC(Non-Road Transient Cycle)モード法を、ディーゼル特殊自動車の排出ガス規制における新試験モードとして導入します(現行の試験モード(ディーゼル特殊自動車8モード法)も存置します。)。
(2) ディーゼル特殊自動車の規制強化
[1] モード規制値の強化
ア.平成23年(2011年)~平成25年(2013年)にかけて、後処理装置の装着を前提としたPM等の排出ガス規制値(ディーゼル特殊自動車8モード法及びNRTCモード法は同一値)を強化します。
イ.炭化水素(THC)から非メタン炭化水素(NMHC)に対する規制に変更します。
[2] 黒煙モード規制値及び無負荷急加速黒煙規制値の強化
「ディーゼル特殊自動車8モード排出ガスの測定方法」(細目告示別添43)に規定するディーゼル特殊自動車8モード法により運行する場合に排出される排出物に含まれる黒煙による汚染度及び「無負荷急加速黒煙の測定法」(細目告示別添46)に規定する方法により測定される黒煙による汚染度の規制について、定格出力が75kW未満である原動機を備えたディーゼル特殊自動車に対し規制を強化します。
※1 「NRMM gtr」及び「ガイダンスドキュメント」の原文は以下のホームページに掲載されております。
NRMM gtrの原文
http://www.unece.org/trans/main/wp29/wp29wgs/wp29gen/wp29registry/ECE-TRANS-180a11e.pdf ガイダンスドキュメントの原文
http://www.unece.org/trans/main/wp29/wp29wgs/wp29gen/wp29registry/ECE-TRANS-180a11app2e.pdf
2.規制適用時期
規制適用時期については、「道路運送車両の保安基準第二章及び第三章の規定の適用関係の整理のため必要な事項を定める告示」(平成15年国土交通省告示第1318号)の一部改正を行い、以下のとおり定めました。
・ 定格出力130kW以上560kW未満の原動機を備えたもの
平成23年10月1日(継続生産車及び輸入車については平成25年4月1日)
・ 定格出力75kW以上130kW未満の原動機を備えたもの
平成24年10月1日(継続生産車及び輸入車については平成25年11月1日)
・ 定格出力56kW以上75kW未満の原動機を備えたもの
平成24年10月1日(継続生産車及び輸入車については平成26年4月1日)
・ 定格出力37kW以上56kW未満の原動機を備えたもの
平成25年10月1日(継続生産車及び輸入車については平成26年11月1日)
・ 定格出力19kW以上37kW未満の原動機を備えたもの
平成25年10月1日(継続生産車及び輸入車については平成27年9月1日)
3.規制強化による排出ガス削減効果
公道を走行しないいわゆるオフロードの特殊自動車についても、「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律」(平成17年法律第51号)に基づき、今回の改正と同じレベルの排出ガス規制を同時に実施しました。
これらの規制が実施され、全ての特殊自動車が新規制適合車に代替した場合、特殊自動車からの総排出量は、平成17年度と比較し、PMが約93%(約1.0万トンから約0.07万トン)削減されることになります。(中央環境審議会大気環境部会自動車排出ガス専門委員会第九次報告)
(注)1.(2)については、本日付で改正された環境省告示「自動車排出ガスの量の許容限度」(昭和49年環境庁告示第1号)を考慮して所要の改正を行ったものです。