東日本大震災アーカイブ

避難区域面積1/3に 居住制限と準備区域 富岡の指示解除

 東京電力福島第一原発事故による富岡町の居住制限、避難指示解除準備両区域は1日午前0時に解除され、同町と前日の浪江町、飯舘村、川俣町山木屋地区の解除によって避難区域の面積は再編時の3分の1に縮小した。双葉郡で人口が最多の浪江町、2番目に多い富岡町の地域再生に向けた取り組みが始まり、郡内全域の復興に弾みがつく。今後は帰還困難区域の解除に向け、特定復興再生拠点の整備が本格化する。

 避難区域は帰還困難、居住制限、避難指示解除準備の3区域に再編された平成25年8月、11市町村で計約1150平方キロに及んだ。今春の4町村の解除面積は合わせて約355平方キロで、残る避難区域は約370平方キロとなった。県土全体に占める割合は区域再編時の8.3%から2.7%に縮小した。
 3区域に再編された時点での避難対象は計約8万千人。今回の4町村の解除対象は計約3万2千人で、すでに解除された地域と合わせると、区域再編時の約7割に当たる約5万7千人が帰還可能となった。
 双葉郡南部に位置する富岡町では郡内最大の複合型商業施設「さくらモールとみおか」が全面オープンし、町立診療所が開所した。町役場の全部署が町内で業務を再開。県のふたば復興事務所、富岡林業指導所、富岡土木事務所が今月から町内の合同庁舎で業務を始める。
 郡北部にある浪江町では東北電力浪江・小高原発の旧予定地を産業振興拠点として整備し、雇用確保につなげる取り組みがスタートする。両町は郡南北の復興を進める基盤となる。
 復興庁の住民意向調査で「帰還する」と回答した4町村(浪江町、飯舘村、川俣町山木屋地区、富岡町)の住民の割合は川俣町山木屋地区が43.9%で最も高く、飯舘村33.5%、浪江町17.5%、富岡町16.0%と続いた。避難指示が解除された地域の生活環境を向上させる取り組みが一層、求められる一方、避難先で生活を送る住民への支援継続が必要となる。

カテゴリー:福島第一原発事故