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不登校問題に関する調査研究協力者会議

2003/01/14議事録
不登校問題に関する調査研究協力者会議(第9回)議事録

不登校問題に関する調査研究協力者会議(第9回)議事録

1.日  時   平成15年1月14日(火)10:00〜12:30
2.場  所 ホテルフロラシオン青山「芙蓉(西)」(2階)
3.出席者
(協力者) 荒井委員,石郷岡委員,伊藤委員,大橋委員,尾木委員,下司委員,近藤委員,斎藤(八)委員,菅原委員,須藤委員,相馬委員,藤田委員,松野委員,森田委員, 山上委員
(文部科学省等)   金森審議官,宮川視学官,尾ア児童生徒課長,鈴木課長補佐,小林課長補佐,月岡生徒指導研究センター長    ほか関係官

4.議事内容

(○委員の発言,●事務局の発言)

  おはようございます。年が改まっての最初の回でございますので,今年もどうぞよろしくお願いしたいと思います。
  では,定刻となりましたので,これから,第9回不登校問題に関する調査研究協力者会議を開催いたします。第8回までと同様に,本日も是非委員の方々の貴重な御意見等をいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  本日は,斎藤(環)委員が都合によりまして御欠席であります。それから,菅原委員さんでありますけれども,これまで私どもがいただいていた名簿で承知していましたように,松原市教育委員会学校教育部次長でおられたわけでございますけれども,平成15年1月1日付で,松原市立天美北小学校長に就任されましたことを御紹介させていただきたいと思います。
  また,本日の会議につきましても,報道関係の方々の傍聴を許可しておりますので御承知おきください。
  本日は,これまで8回にわたり議論をしてきました意見を事務局のほうで整理をしていただきまして,1つは,「主な意見等の整理」としてまとめていただいております。これまでの議論をまとめ,さらに議論を深める必要があると思われる事項をまとめたもの,これは「議論を深める必要がある主な事項について」ということでまとめていただいておりますが,これを配付しておりますので,これらに基づきまして御議論をいただきたいと思っております。
  具体的には,今申し上げました「議論を深める必要がある主な事項について」を参照しながら,「主な意見等の整理」のペーパーに基づいて,幾つかのテーマごとに追加意見あるいは修正意見等をいただきまして,これまでの意見等の整理の内容をさらに深めていきたいと思っております。
  なお,これまでの意見,及び本日の御議論を踏まえまして,今後これらを反映させた報告骨子案を作成していくということになります。よろしくお願いしたいと思います。
  では,議論に先立ちまして,事務局のほうから,本日の資料等についての確認,御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

  それでは,お手元の資料をご覧いただきたいと存じます。本日お配りしております資料の一覧につきましては,従来同様,資料1の議事次第におきまして,配付資料1から8まで,一覧表の形で掲載しておりますので,御確認をいただければと存じます。
  このほか,資料番号を付してないものといたしましては,先ほど主査からも御紹介ありました人事異動の関係がございまして,本協力者会議の委員名簿の差し替え,新しいものを改めて配付させていただいております。
  また,近藤委員のほうから,本日の会に向けての資料ということで「議論を深めるための提案」と題する資料を御提供いただいておりまして,それも机上配付させていただいておりますので,ご覧いただければと存じます。
  それでは,本日の配布資料の,主として私のほうから2から7に関しまして御紹介をさせていただきたいと存じます。
  初めに,資料2でございますが,これは先ほど主査からお話ございましたように,本日の御議論を深めていただく際の1つの大事な素材ということになるわけでございますが,本日までの8回の会議におきます委員の皆様からいただいた主な意見,さらにはヒアリングの形でお越しいただきました有識者の方々からの御意見,あるいは私ども事務局のほうから御提供申し上げました説明資料,事務局資料の中から事実関係,データ等に関するもの等,そういったものを織りまぜる形で幾つかの項目別に主な意見を整理させていただいたということでございます。非常にたくさんの御意見をいただいております関係で,こちらに挙げさせていただいておりますのは,あくまで事務局の見地から主な意見としてピックアップさせていただいたと,また表現面におきましても,かいつまんで書かせていただきましたので,そういった意味ではもともとの御発言と若干表現ぶり等が異なる点もあろうかと存じますが,そういった点はまた御了承いただければと存じます。
  全体,こちらの資料,1ページから12ページまでございますが,大きく内容別に5つに分けて掲載をしております。
  1つは,「不登校の実情,要因・背景」,それから3ページ以降ですが,2として「不登校問題の対応に関する基本的な考え方」,さらに4ページ以降,3としまして「学校の取組」,さらに8ページ以降,「学校外施設等での取組」,さらに11ページ以降,5としまして「中卒後の課題」に関して掲載するという形で,大きく5つの部分に分けて整理をいたしているところでございます。
  初めに,1ページでございますが,「不登校の実情,要因・背景」に関してでございますけれども,「不登校の実情」に関しまして,こちらは主としてはデータを御紹介しておりますが,かねて御説明しております文部科学省の問題行動等調査の主要なデータの中から,ごくごくエッセンスをこの中で,全体の数,学年別,県別,あるいはきっかけ,継続理由,そういったものに関するデータをここで改めて掲載しているところでございます。
  さらに,1ページの下半分につきましては,不登校の卒業者を対象にした追跡調査,これの中におきます当事者の自己評価でありますとか,実際の進路,どういったところに進路があるのかという進路状況に関するデータ等を御紹介しております。
  続いて,2ページでございますが,「不登校の要因・背景」に関しまして小見出しを設けておりますけれども,これにつきましては,子ども自身,あるいは学校に起因するもの,家庭生活や保護者に起因するもの,その他というような形で議論を整理させていただいております。
  子ども自身に関しましては,そもそも学校に行かなければならないという義務感に関する変化,あるいは社会性の問題,自尊感情の育成の問題,そういった点についての御意見が出ているところでございます。
  また,学校に起因するものとしましては,いじめ等の友人関係,学業不振,あるいは教師の指導をめぐる問題,そういったものに加えまして,教員そのもののカウンセリングマインドというものがまだ足りないのではないかとか,あるいは学習面のきめ細かい指導の不足でありますとか,LD・ADHD等の発達障害に関する把握,とらまえがまだ足りないんじゃないかという御意見。さらには,後ほども出てまいりますが,登校を促すタイミングを逸してしまっているのではないかということ。さらに,より根本的,そもそものことといたしまして,いろいろな社会の変化の中で学校そのものの魅力,役割といったものの相対的な変化というものがあるんじゃないか,そういった御意見があるところでございます。
  家庭生活や保護者に起因する問題といたしましては,やはり保護者そのものも学校に行かせることに関する価値観の変化,あるいはしつけに対する自信のなさというもの,あるいは最近顕在化しております児童虐待等に関する問題,そういった点の御指摘があるところでございます。
  その他のところでは,いろいろな行政的な,あるいは実際上のタイプ別の分類の在り方というものに関する御意見が出ているところでございます。
  続きまして,3ページからでございますが,「不登校問題の対応に関する基本的な考え方」に関して幾つか列挙させていただいておりますけれども,基本的な現状認識としまして,こうして増え続けているということについては,やはり義務教育制度のもとにおいて,現状というのは問題ではないかという大きな基本認識のもと,平成4年のいろいろな諸通知あるいは報告書というものをベースにしながら,今回御議論いただいているわけでございますが,そこで示されている基本方針や対応策の方向性というものは,基本的には今日も妥当しているのではないかと。しかしながら,いろいろとそれを踏まえたきめ細かい実践が必ずしもされていないとか,あるいは誤解とか理解の浅さというのがあるのではないかと,そういったような御指摘があるところでございます。
  また,不登校というもののとらえ方についても,いろいろな自分を見つめ直す積極的な意味というものに対する評価,それを踏まえた上で自分探し,あるいは社会的自立を支援していくということが大事ではないかという御指摘がございます。
  さらに,いろいろな対策を講じていく上で,対処療法とか,事後的な対応ばかりに偏っているのはどうか,未然防止というものが大事ではないかという御意見がございます。
  また,その一方で,未然防止といった場合に,単にそれが抽象的な望ましい学校像や家庭像だけでは実効性がないだろうというような御指摘もございます。
  また,不登校の背景・要因そのものが非常に多様化している中で,初期段階での見立て,アセスメントと呼ばれるものが大事なことになってくるのではないかというような御指摘がございます。
  また,多種多様であるといった意味で,対応が個人個人で違うということをしっかり押さえておくべきであるという御意見が強調される中で,非行タイプというものについての取り扱いはどうあるべきかというようなことも御意見がございました。
  また,登校を促す事柄に関しまして,そもそものとらえ方として,心の成長の助走期,ゆとりを持って対応することが大事であるという考え方がある一方で,しかしながら,単に見守ればいい,あるいは放っておけばいずれ解決するというようなことでは,結局解決に結び付かない問題が多いんじゃないかというような御指摘も多数出ているところでございます。
  続きまして,4ページでございますが,学校や社会への復帰という意味におきまして,早い段階での対応,適切な働きかけというものが大事じゃないかという御意見。あるいは,学校のみならず,家庭,地域というのが当然大事なわけでございますが,教育関係者においては,まず学校そのものが危機感を持って改善していくことが大事ではないかという御意見。あるいは,福祉の問題との関係というのがこれから非常に出てくるといった中で,いろいろなところとのネットワークを形成して対応していくことが非常に大事であるという御意見が出ております。
  3としまして,「学校の取組」に関しての御意見でございますが,最初の小見出しとしまして「不登校問題と学校の役割・機能」ということで,やはり基本の構えとして,いろいろなヒアリング等の御報告があるように,学校そのものが一生懸命努力することによって,まだまだ不登校生は減らせるのではないか,まだまだその余地があるのではないかという御指摘が出ているところでございます。そういった意味で,学校を居場所としてしっかりとやっていこうというようなことに関する御提言がいろいろなされているわけでございます。
  次の小見出しの「未然防止のための教育活動等」に関しましては,全体として確認されていることとしまして,やはり子どもたち自身が「大事にされている」「わかる」「楽しい」「認められている」,そういうようなことが実感できるようにすると。そういう魅力ある学校づくりというものが大事であるという点に関しては,大方の先生方の御意見が一致するところではないかというふうに整理されているところでございます。
  具体的には,体験活動というものを充実したり,あるいは5ページ目でございますが,ヒアリングにもございましたように,新年度の初めの段階での学級づくりの期間での創意工夫でありますとか,いろいろな適応指導,そういった点でのきめ細かい工夫でいろいろな改善の余地があるんじゃないかという御指摘があるところでございます。
  また,子どもたちの社会性をどうやって育てていくか,あるいは基本的な生活習慣,補充学習もろもろ,そういった点でもっときめ細かいことができるだろうという御指摘でございます。
  また,不登校の原因ともなっております,いじめ,暴力,体罰等に関連して,安心して通えるような学校にしようというようなことについての御意見も出ているところでございます。
  また,小中連携に関する御指摘も出ているところでございます。
  さらに,小見出しで「登校への促し」という問題について挙げられておりますが,先ほどの基本的な考え方の中でも出ている点で,多少重複するところもございますけれども,やはり学校としては,時機を逸しないで学校への復帰を視野に入れた指導・支援に当たることが大事であるという中で,そうではありますが,やはり不登校児童生徒の対応が非常に多様化しているという中で,状況や時期に応じて適切にどうやっていくかということが非常に大事だと。登校を促すことを一律に「する」とか「しない」とかいう単純なことでは決してないという御指摘もございます。
  また,子どもたち自身の心の在り方というもの,子どもたち自身の意見,声というのが大事ではないかということがあるわけでございますが,そうした中で調査結果などにもあるように,やはり子どもたち自身,不登校の当事者としては,一方的な登校指導のみで追い込むことは決して適当ではないと。ただ,一方で子どもたちの心も非常にアンビバレント,矛盾,相反するような心の葛藤があると。強制はされたくないけれども,また放っておかれるということでは寂しいという感情があるんじゃないかというような御指摘,あるいは調査結果が出ているところでございます。
  6ページでございますが,そういったいろいろな御議論がある中で,都道府県教育委員会等々からの御指摘もあるわけですが,全国的に見られる傾向といたしましては,非常に慎重に接する,見守る大事さということが言われる中で,ともすると何もしないとか,あるいはかかわりを持たないというような方向に流れている傾向があるんじゃないかというような御指摘も出ているところでございます。
  続いて,「教職員の資質・指導の在り方」についての御意見といたしまして,やはり先生方の資質向上が非常に大事であるという御意見が出る中で,例えばカウンセリングマインドというものをもっと持ってもらうということも大事じゃないか。あるいは,家庭訪問のやり方についても,もう少し考えていく必要があるんじゃないかというような御意見等々が出ているところでございます。
  続いて,「養護教諭・保健室の在り方」としましては,保健室登校というものが,教室に入る前のステップとして果たす役割が大きいという御意見が出ているところでございます。そうした中で,養護教諭の方々が果たす役割というものも大事であると。一方では,校内での情報共有,カウンセラーとの連携等がまだ十分になし得ないような実態もあるという御意見がございます。
  また,そういった保健室の機能を向上させていくためにも,物理的なスペースの確保とか,情報機器の充実といったような条件整備というものもあわせてしていくことが大事であるという御意見が出ております。
  スクールカウンセラーに関しましては,配置された学校の声,あるいは実際のデータ等において一定の効果があらわれているというような評価が示されているところでございます。
  その一方で,スクールカウンセラーである場合は,単に受け身であってはどうか,生徒が来るのを待つという受け身だけでは十分じゃないだろうという御意見。あるいは,もっと連携を進めていくためには,いろいろなマニュアルというものが要るんじゃないか。あるいは,制度的な面では,小学校への配置でありますとか,人材養成,資質向上,勤務形態といったいろいろな制度的な課題もあるだろうということがございます。さらに,運用面においては,いろいろな保護者への支援,あるいは関係機関とのコーディネーター役,訪問指導,そういった点でもう少しスクールカウンセラーの現在の活用というものをより積極的に,いろいろな方面でやっていくべきじゃないかというような御意見も出ているところでございます。
  また,そういったスクールカウンセラーにとどまらず,様々な外部人材をどんどん教育相談の面で登用していこうというような御意見,自治体の創意工夫というのを期待したいという御意見も出ているところでございます。
  また,学校全体の指導体制,教職員組織全体といたしましては,やはり管理職のリーダーシップが非常に大事であるという御意見が強調されているところでございます。
  そういった中で,不登校問題の対応では,学校全体,組織が一丸となって対応している例というのはまだ少ないのではないかという御指摘もございます。いろいろな職員会議等での情報共有,あるいは個別指導計画,指導記録づくり,そうした面でもっと力を入れていくべきではないかという御意見。さらに,初期段階でのアセスメントを学校でもきちんとやっていく必要があるんじゃないかという御意見が出ております。
  その一方で,やはりこういった問題を学級担任任せというのではいかがかと。そういう意味で,サポートする体制が大事であるという御意見も強調されているところでございます。
  続いて,8ページでございますが,学校が校内での組織体制を整えていこうということの中で,さらに関係機関との連携に関する御意見も出ているわけでございますが,ヒアリング等におきましても,いろいろな連携による有効な実践例の報告もなされたところでございます。例えば,地域の民生委員と一緒に家庭訪問をするというようなことで効果を上げた事例の御報告も出ているところでございます。
  また,組織としてきちんとコーディネートしていくためには,だれがどのようにそこをやっていくのか,組織の中での位置付けというものを具体に議論する必要があるだろうという御指摘もございます。
  続いて,4として「学校外施設等での取組」に関する御意見として,まずは適応指導教室でございますけれども,これにつきましては,適応指導教室を利用している子どもの間の評価,あるいは実際の利用者の学校復帰率のデータ等からしますと,相当程度,一定の成果を上げてきているのではないかという御意見が出ております。その一方で,整備状況を見ますと,まだまだ量的には十分ではないし,地域による差も大きいというお話がございます。
  また,利用の状況という点からしますと,まず全体の不登校児童生徒のうち,1割程度しか利用していないという点。そういった意味で,もっとこの機能,役割の在り方を考えていく必要があるんじゃないかという御指摘もございます。
  また,規模が様々である,あるいは受け入れ方針が様々であるということに伴ういろいろな課題についての御指摘も出ているところでございます。
  9ページでございますが,適応指導教室にいろいろな課題がある中で1つ大きく議論が出たものとしまして,職員の人的体制ということで,非常勤職員が非常に多い,あるいは教員OBに多くをゆだねているということで,ノウハウの蓄積等がなかなかできないというような問題点も御指摘をいただいております。そういった意味で,常勤の職員を置くことを考えたり,あるいは学生ボランティアをもっと積極的に活用してはどうかというような御意見も出ているところでございます。
  また,今後の在り方として,個別の適応指導教室の整備ももちろん大事なわけでございますが,地域ぐるみのネットワーク形成と,そういった意味の中核的なセンターというものの整備も大事じゃないかという御指摘が出ているところでございます。また,その整備の在り方について,行政としても何らかの在り方を示すことが望ましいのではないかというようなことも御指摘が出ております。
  続いて,民間施設・NPO等に関する御意見,御指摘でございますけれども,今,非常に不登校が増える中で,子どもたちの学校外の居場所ということで重要な役割を果たしているという点で様々な事例の御紹介なり,御意見の発表等がございました。
  そうした中で,一方で公的機関というものについても積極的に民間と連携を図っていくべきではないか,まさにそういう連携協力のネットワークについての調査研究をしていく意義があるんじゃないかという御指摘が出ているところでございます。
  10ページでございますが,そういった中で民間施設の様々な活動を進めていく上で,やはり経営上のいろいろな課題,難しさ,場合によっては支援を求めたいという声が紹介されます一方で,行政としてどうしていくかというときには,やはり連携は大事であるけれども,よりよい学校づくり,そこに力を入れるのが大事じゃないかという御意見も一方で出ているところでございます。
  続いて,教育相談関係の御意見といたしまして,不登校は現在の教育相談のかなり多くを占めていると,その一方で,それが手いっぱいであったりしていると。また,新しい動きとしてITの活用の有効性などのお話もございました。
  また,家庭への支援・訪問指導という点に関しましては,適応指導教室をはじめ,そういった施設を利用せずに,家にひきこもってしまっているような不登校の子どもたちが相当数いると。それをどうしていくかということがやっぱり大事であるという御指摘が出ております。
  そうした中で,訪問指導というのが1つの手法としてこれから大事ではないかというような御意見が出ております。そういったシステムをどうやっていくのか検討する必要がある。その中で大学との連携による単位認定とか,マニュアルの作成とか,そういったもろもろの仕組み,方策を検討していく必要性について御指摘が出ております。
  さらに,体験活動に関する御意見といたしまして,いろいろな社会性の育成,未然防止の面はもちろんでございますが,そういった不登校になった子どもたちに対する指導・支援という意味で,体験活動の意義を積極的に評価する御意見が出ております。具体的に県立の施設でそういう取組をやっている事例でございますとか,社会教育施設での取組の事例といったものの紹介をいただいたところでございます。
  また,新しい動きとしまして,ITの活用ということで,教育相談面でのメールの活用に関する有効性の御紹介などもございました。そういう中で,家庭にパソコンを貸与してやっていくような新しい取組の事例というものも御紹介をいただいております。
  その一方で,課題といたしまして,不登校の子どもが直接の人間の触れ合いでなくて,逆にメール等にのめり込んでしまうというリスクについての御指摘も出ているところでございます。
  続いて,5でございますが,「中卒後の課題」といたしまして,高等学校関連に関しましては,まず長欠とか,高等学校における認識なりというものについても今後考えていく必要があると。あるいは,高校入試のやり方について,今進められているようないろいろな配慮,多様化というものがまた期待されるという御意見。さらに,高等学校に入った後のケアの仕方といたしまして,いろいろな単位制・選択制の活用とか,少人数制の指導とか,そういった柔軟な対応をやって,魅力ある高校づくりをやっていくことの大事さ,あるいはそういったことで成果を上げていらっしゃる学校の事例について御紹介をいただいたところでございます。
  続いて,ひきこもりでございますが,ひきこもりは,主としては中卒後の,成人も含めた幅広い層で生じている問題でございますけれども,これはやはり本人にとっても,社会にとっても,長期間にわたって社会との接点を持てないということは好ましいことではないんじゃないかという現状の認識というものが示されております。また,不登校とひきこもりとの関連性についてのいろいろなデータなり,御紹介もいただいたところでございます。
  また,対応策に関しては,これは教育問題の範疇を超える部分が相当程度あるということで,福祉等の分野と連携したネットワークは,こういう問題についてもやはり大事じゃないかという御意見が出ております。
  最後のページでございますが,そういった問題への取組として,既に県のレベルで実際に社会的自立を進めていく施設を設置しているような事例もあるとか,あるいは様々な民間の団体,NPOで地域と連携した勤労体験の場を提供するような積極的な取組事例もあるという御紹介をいただいたところでございます。
  以上,甚だ簡単ではございますが,御意見の整理の資料の内容を御紹介させていただきました。
  続いて,お手元の資料3につきましては,議論を深める必要がある主な事項ということで,幾つか「学校関係」,「学校外関係」,「その他」という形で列挙させていただいております。こちらについては,事前にお送りしている内容でございますので,またご覧いただければと存じます。
  それから,資料4でございますが,こちらも昨年末に先生方のほうに御参考で送付しておりますが,かねてこの会議で御紹介しておりました問題行動等調査に関しまして,13年度の確定値というものが昨年暮れに公表に至りましたので,その内容の概要資料を今日お配りしているところでございます。そういう意味で,従来お配りしている資料,13年度の速報値が最新という形でお出ししていたわけでございますけれども,基本的には,資料4をご覧いただきますと,1から4,暴力行為,いじめ,不登校,高校中退については,今回確定値が出たということで,若干の数値の変動はございますが,基本的には発生件数全体,あるいは人数等について大まかに申し上げましてプラス・マイナス1桁ないし2桁程度の微修正でございますので,大きな全体の御議論にかかわるような数値の変更はございません。
  また,資料4の5から8までの出席停止,自殺者,教育相談,体罰については,今回,昨年暮れに新たに公表になったというデータでございますので,そのように御理解いただければと思います。
  不登校関係で新たに公表になったデータ等につきましては,お手元の資料4の4ページでございますけれども,不登校関係のサマリーをある程度ここで掲げておりますけれども,今回新たに発表になりましたのは,3の学年別の不登校の状況,さらに5の年度内に復帰できるようになった,あるいはそれに対して効果のあった措置は何であったのかというデータ。あるいは,7の適応指導教室の設置状況,あるいは指導員の数,そういったもののデータについては,13年度の関連のデータが今回新たに発表されたものであると御了解をいただければと存じます。
  続きまして,資料5と資料6は,今年度の生徒指導関係の15年度の予算関係の資料でございます。御参考にご覧いただければと思います。
  折々,会議で御紹介しております「スクーリング・サポート・ネットワーク整備事業(SSN)」という新規事業に関しましては,15年度予算におきまして8億5,100万円という金額で査定を経たということでございまして,これが予算案の数値ということでございます。そういうことで,従来のSSPというものが7億3,700万,こちらが終了ということに伴いまして,ただいま申し上げたSSN事業というのが新たに8億5,100万円で予算計上されているということでございます。
  資料6については,この整備事業の取り進めに関して私どもが現在こういうことでやっていこうと考えているということで都道府県に向けて作成している資料でございます。具体的には内容をお読みいただければと思いますが,例えば,ここにあります4の調査研究内容というところが,どのようなことを今後やっていこうかということを具体的に例示,列挙してあるものでございますけれども,こういった中で本調査研究協力者会議でのいろいろな御議論の成果,あるいはいただいた御提言というものをこういった調査研究をやっていく中で,先導的なモデル研究をやってもらう,あるいは具現化していただくということを私どもは考えているところでございます。
  最後に,資料7でございますが,「キャリア教育の推進に関する総合的な調査研究」ということで,これにつきまして,昨年の10月30日付で局長裁定となっておりますけれども,平成15年3月までかけまして,足かけ2年,主としては進路とか,職業観,勤労観の問題とか,そういったものに関する教育,いわゆるキャリア教育というものの在り方を議論していこうという会議でございます。この会議でも中卒後の問題とか,あるいは不登校の子どもたちの不登校問題の背景にあるいろいろな目的意識なり,勤労観といった問題に関しましてかかわりがいろいろ出てまいる点があろうかと思いますけれども,そういった点については,例えばこの会議でいただいた御提言を参考にしながら,このキャリア教育の議論もさらに深めていくというような関係になっていくのではないかということで,御参考に御紹介させていただいたところでございます。
  事務局からの御説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

  ありがとうございました。
  ただいまの御説明,あるいは資料全体にわたって何か御質問ございますでしょうか。
  それでは,議論に移りたいと思います。進め方としましては,先ほど御説明いただきました主な意見等の整理に基づきまして,まず初めに,不登校の実情,要因・背景,及び対応に関する基本的な考え方を1つのまとまりと。次に,学校での取組について。それから,3番目に学校外での取組。最後に,その他として,体験活動,IT,中卒後の課題等について,それぞれのまとまりごとに,大体目安としては20分ないし30分程度の時間で御議論いただきたい。最後に,すべての課題について総括的に御議論いただくというようなことで本日の会議を進めさせていただきたいと思っておりますので,よろしくお願いいたします。
  その際に,これはこの協力者会議の冒頭に確認したことでありますけれども,先ほどいただいた資料を見てもわかりますように,これは国としても,あるいは都道府県,市町村あるいは各学校にしても,決してこの問題をゆるがせにしていたわけではなくて,様々な努力をしてきたにもかかわらず,今回の調査でもまた,先ほどの調査の文言で言うと,最高の数字になったという状況でありまして,こうした状況をどうとらえるのか,それから今後の対応について,どこにどう焦点を合わせて有効な対策を立てていくことが大事なのか,こうしたことが非常に問われているわけでありまして,そのことを踏まえて,特にこれまでの議論の中で2つあろうかと思いますが,1つは,この議論がかなり広い範囲にわたって,しかもかなり急なピッチの中で議論を進めてまいりましたので,これまでやや議論が薄かったと思われる点についてお話をいただきたいというのが1点。
  それから,2点目は,今まで増えてきたことではあるけれども,特に重要である,あるいはこの時点で確かな認識が必要であるというような点,こうした点に焦点を合わせて御議論を賜ればというふうに思っておりますので,よろしくお願いしたいと思います。
  では,まず最初のくくりで,不登校の実情,要因・背景,及び対応に関する基本的な考え方について,先ほどの資料2でいいますと,1から3ページあたりまでになるんでしょうか,この辺の内容に関して御意見を賜りたいと思います。よろしくお願いいたします。

  また議論を促進するための皮切りとして御提案させていただきます。
  今の不登校の要因・背景というものを考えるときに御注意いただきたいのは,かなり一般的な児童生徒に,不登校でない子どもたちにも共通する大きな背景,要因と言われるもの,こういう要因と,それからいわゆる不登校生徒に固有の問題というものがございます。これから報告をまとめていかれると思いますけれども,要因・背景といった場合に,一般的な児童生徒の傾向であるにもかかわらず,それが直接不登校生徒に固有の要因であるかのような押さえ方をするというところに注意して書き分けていただきたいという具合に思いますので,その点はちょっと御留意いただきたいと思います。今のまとめの中にもう既にそういう論点が幾つか入っているように見受けておりますので,ちょっとその点だけ御注意いただきたいと思います。

  ありがとうございました。
  ただいまの副主査のお考えに関連して,あるいはその他のことでも結構ですが,どうぞ。お願いいたします。

  ただいまの御発言にかかわる内容なんですが,不登校の分類について,いわゆる遊び,非行,無気力,そういったものまで広めるといいますか,現行ですとどうしても一般的な子どもの要因といいますか,そういう部分を述べざるを得ない,そういう状況が出てくるわけでございますが,そういったことについては,私どもはどのように今後考えていったらいいのか。つまり,現行の分類どおり,今後とも不登校について考えていくのか,それとも心因的な部分に特化して不登校を考えていくのかという問題がそこから出ていると思うんですが。

  確かに,今おっしゃった面で,実際に対応する場面と,それから現状の不登校があらわれた状況と,この状況とは,分類のところで少し議論が出ましたけれども,これは個人的な意見でございますが,やはり分けておくべきだろうと。正確に今ある現実を今の7カテゴリーの中へすべておさめていこうというのはおよそ不可能なことでございますので,この辺は非常に難しい問題が随分含まれてくると思います。
  むしろあれは,完全に現実を漏れなく網羅して分類するというカテゴリーではなくて,ある意味では不登校生徒への対応を中心にしていく場合の1つの目安といいますか,類型として,対応点としてお考えいただいたほうがいいんじゃないかと。
  しかも,例えば非行,無気力といいましても,その中に随分多様なものが含まれておりますので,必ずしもそれが,例えば情緒障害というものと無関係であるわけではないわけでございます。単一のカテゴリーにすべての子どもが含まれるというわけではなくて,幾つかのポイントを重ね合わせて持ってくるというような状況だろうと思います。それから私が先ほど申し上げたのは,こういう不登校の要因というのは,先ほど主査がおっしゃいましたように,議論が非常に広がっていって浅くなっていく傾向があるという,それだけ広がりがあるということも事実でございます。したがって,その対応点としての1つの目安としてお考えいただいたほうがあの類型は有効に生かせるんじゃないかと考えております。1対1対応でそこへ結び付けること自体のほうが危険があるかなと思っております。

  ただいま議論されている点は非常に重要な点でありまして,これは委員の方々もそういうお考えをお持ちだと思いますが,様々な形で調査がされたり,あるいは各学校ごとでの実態把握なんかを見ますと,その点でやや混乱があって,特に各学校レベルの場合でいいますと,その混乱のために学校の取組が拡散されているという面があるように思うんです。ですから,我々はここで特に,今副主査から御指摘いただいたように,一般的な要因,特に変化というふうな言葉で言うとすると,一般的な変化と,それから個々の事例についての要因,あるいはもし変化があるとすれば変化,あるいは変化というよりも見落としていた点ということかもしれません。我々が今までその点に着目していなかった点がある。そうしたことを,やはり整理をしてとらえていくことが必要であると,こういう御議論かと思われます。

  今,多少誤解を受ける面がありましたので申し上げておきますが,分類が無効であるという具合には申し上げておりません。あれは主要な1つの傾向に着目して分けていただくというカテゴリーでございますので,その1つのタイプに分けられたものがそれだけの特色で染め上げられるわけでもなく,それだけの対応策ですべてが解決するというカテゴリーでもないという具合に私なんかはとらまえております。

  委員の方々のそれぞれのお立場でこの実態把握,あるいは要因・背景の分析について見方をお持ちだと思いますので,関連して御意見がおありでしたらどうぞ。

  すいません,今との関連はあまりないんですが,1ページ目の一番下のひきこもりとの関連で,この会議の中でも随分と議論があったかと思うんですが,不登校のかなりの割合がひきこもりになるという印象でとらえると,保護者の方にはものすごく衝撃になると思うんです。随分前にも,不登校の延長線上に精神病例があるという説が出て,すごく家庭も学校も紛糾したという事態があったかと思いますので,ここの表現はかなり慎重にしないといけないと思います。
  というのは,保護者の方の相談を受けてましても,うちの子がひきこもりにならないかというので,ものすごく不安を持ってらっしゃる保護者が多いので,事実としてはかなり関連があるとしても,必ずしも不登校が全員ひきこもるわけじゃないというところ,早期に対応すればそれは免れるというところを,よりそちらを強調するような言い方にしていただけるといいかと思うんです。

  ちょっと発言が多くなって申しわけございません。今のところは出口のほうから調べていくのか,入り口のほうから調べていくのかということを混同したために起こることだろうと思っております。御指摘のケースもそうでございまして,病院,あるいは治療機関の神経症的タイプからたどりますと,そこへ必然的に因果的に流れてくるように見える。ひきこもりというところ,これだけを調査対象にしますと,かなりの部分が以前にいろいろ不登校に似たような症状を呈するという。だから,出口と入り口とは違いますので。私どもは,全体の生徒の中から不登校という現象があらわれ,その一部としてあるという認識でいいんだろうと思いますし,今の御意見に賛成でございます。

  そうですね。大変貴重な点を御指摘いただいたと思います。入り口と出口,あるいはある問題に関してどういう切り口で迫っていくかという切り口の問題でもあります。その前提を省いてしまいますと混同が起こって混乱が起こるという御指摘だったかと思います。
  ほかにいかがでしょうか。この問題は,いずれ後のところでも議論の中でも戻ってくるところですので,また随時不登校の実情,要因・背景,それから対応に関する基本的な考え方に戻るということで,限られた時間ですので,次の「学校での取組」について御意見を賜れればと思います。

  実情・背景とも絡み,学校の取組も基本的な考え方も絡むと思うのですが,まず,「議論を深める必要がある主な事項(案)」で,家庭の問題,それから非行・遊び型の不登校児の対応の在り方については,確かに論議を深めていないかなという思いはあります。
  それからまた,学校関係の中でアセスメントという言葉が出ております。マニュアルの作成というのが3番目に出ております。アセスメントもマニュアルの作成も,それからいわゆる分類,背景ということについても,全部一貫性のものだと考えております。
  そういう意味で考えますと,これはここの委員会の中でいろんな議論があったと思います。例えば,複合型ということについて私が意見を述べましたけれども,きちっと分けてどのタイプとどのタイプと合わせてという形で考えるべきじゃないかとか,それから調査のためのタイプということよりも,むしろ対応できるような実践のための分類の仕方というのはないだろうか。それから先ほども出たように,非行・遊び型ということについては,これは不登校の形で入れないで別に考えていくべきじゃないかと,いろんな意見が出たとは思うのです。それらの内容を含めて,できることならばこれは別途また調査研究委員会を再度つくりまして,マニュアルの作成,アセスメントの問題,そしてまた早期対応ということについてはつくっていかないと難しいんじゃないかと思います。
  あわせまして,先ほどのところで大事だと思ったのは,例えば3ページの下から3行目,これは一言言っておかなきゃいけないと思ったんです。「不登校は全てケースバイケースの対応が必要であるが,いずれにしてもカウンセラーがよく言う『待ちましょう』というだけでは解決に結びつかない」,カウンセラーは待ちましょうということは言っていないんです。それは誤解です。
  ですから,カウンセラーがよく言うという文言は是非とっていただければと思いますし,多くのカウンセラーは,ケース・バイ・ケースで適切な援助に心がけているわけです。ただ,カウンセラーの国家基準みたいなのがありませんし,相談員も様々な方々がいらっしゃいますので一概に言い切れませんが,責任ある学会等の中では,不登校問題は早期に解決し長期化しない,重度化させないという形でみんな必死で努力しているわけです。ですから,この文言についてはちょっと考えていただければありがたいと思っております。
  あわせて,それと同じような形で,5ページ,「かなりの数の学校関係者やカウンセラーが明確な根拠なく提唱している」,もしこの言葉を使うのであれば,「一部カウンセラー」かなとも思いますけれども,そこも注意して,5ページの一番下のところですが,「放置をしておけばなんとかなり」というところはちょっと注意してとらえていただければと思います。
  以上です。

  関連して御意見いかがでしょうか。はい,お願いします。

  今までの議論の中に全く出てこなかった内容で大変恐縮なんですけれども,例えば一番最初の子どもたちが不登校になるきっかけとして,教員の対応のまずさが原因になっているケースというのは,多かれ少なかれあると思うんです。その場合に,教員をいつまでも同じ現場に置いておいていいのかどうかという問題になってきたときに,今のシステムで言うと,1年間その担任がついてしまったらば変えることができないというようなシステム設定になっていると思うんです。具体的にそれを変えられる方法論であるとか,それを監査する機関であるとかといったものに対してのものというのは,今まで話題に俎上していなかったかと思うんです。その件も学校の取組の一部として検討する必要性があるんじゃないかという気持ちがあったんです。
  それと,先ほどの議論に戻ってしまって大変恐縮なんですけれども,総括してみれば,不登校というのは非行型であろうと心因的な要因であろうといずれにしても一緒だという見方があると思うんですけれども,これは具体的に非行型の不登校とそうでない不登校の大きな最初からの取組の違いというのを頭から設けてしまったほうがいいのではないかと感じています。特に,親の立場からいうと非行型というのはとってもわかりやすくて,ああ,こんな危険なことをしてとかで,よくよく見てみると大体保護者関係,その周囲の家庭環境,それを含めた状況の中で,これはなっても仕方がないだろうなと思われる状況というのはたびたび見られます。
  それ以外に,全く本人にも原因がわからないと言われるような心因的な要因での不登校というのは,やっぱり全然対応の仕方が入り口の部分で違ってくるというところをもう少し明確にしてしまって,今回の議論の内容としての対応の仕方というのを明確にしたほうがいいんじゃないかと感じました。

  今の御発言ですが,大変貴重な御指摘だろうと思うんですが,1つ御注意いただきたいのは,日本の場合には非行と言われる場合には,刑法に触れる行為の場合と,それから虞犯行為と言われるものを含んでおります。この虞犯と言われるものは,それに抵触するおそれが将来的にあると。こちらへ行く可能性をどう社会として対応するかという視点でございます。
  それに関する対応として,教育が正面からそれを引き受けるということもございますので,そのあたりの非行型というタイプの名称そのものが,私は非常に誤解を招く表現だろうと思っておりますので,これは今の御発言に関連して申し添えておいたほうがいいだろうと思います。

  恐れ入ります。今の御意見をずっとお聞きしていて,なるほどなというか難しいところだなと思ったんですが,もう1点付け加えをさせていただくとありがたいんです。非行型の不登校とそれ以外の心因的な不登校の違いというのは,随分外見的にも違いますし,持っている問題性も違いますし,対応も違うというのは明らかだと思うんですが,長く非行型と言われる子どものケースを担当したりしますと,その子にまだ成熟して考える力がないと言ったらいいんでしょうか,まだ未熟な段階は非行として出すんだけれども,面接が進んでかなりその子の力が付いてくると,また非行型とは言い切れないような不登校の様子に変わっていったりというのも若干あるという気がします。
  その場ではタイプ分類は可能なんですが,以前も議論に出ましたけれども,長く継続的に見ていくと,またタイプが変わっていったりとか,それが変わることによって対応も当然異なってくるということもあるかと思いますので,そういう意味で今議論をお聞きしていて,そのあたりの切り方が難しいなと思いました。どこかで切らないと仕方がないんですが,その切り方をどうするのかというのは大変重要な問題かと思います。
  以上です。

  学校の取組ということでございますので,何点か意見なり考えなりを述べさせていただきます。特にここにあります4ページの不登校問題と学校の役割・機能,並びに5ページの登校への促しについて何点か述べさせていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
  まず,学校の役割の強化といった意味で,未然防止の観点から,早期の対応ということが学校フィールドとして展開されなければならないわけでございます。また,そのためにも,学校と関係機関のネットワークの構築やその強化も不可欠でございます。
  具体的には,学校における学年間や小・中学校間の引き継ぎでありますとか,適応指導教室や子ども家庭センター等の関係機関との情報のネットワーク化を図る中で早期の対応をしていかなければならないと考えるところであります。本市におきましても早期対応の視点から,例えば毎月5日間から7日間休みといった場合につきましては,教育委員会に報告するとか,そういったシステムがつくられておるわけでございます。したがいまして,不登校傾向にある児童生徒につきましては,個別指導計画やその子の記録,また学校としての対応や課題等につきましての個人的なカルテといいますか,そういったことの作成を,学校が関係機関と協力しながら対応していく必要があるんではないかということが1点でございます。
  また,特にこういったカルテにつきましては,私どもでやっております月に5日間から7日間といった形だけではなく,例えば連続して1週間休んだとか10日間休んだということにつきましては,必ずこういったカルテをもとに教育委員会に報告しながら,連携した対応を進めていくといったことも同時に大切になっていくのではないかと思うところでございます。
  更に,こういった報告を受けまして,教育委員会といたしましても,各学校への不登校対策委員会等への助言であるとか,もしくは関係機関との連携によりますケース会議を具体に開催するとか,そういったことも,早期発見,早期対応につながるのではないかというふうに考えておるところでございます。
  そのためにも,各学校現場の対策委員会の設置だけではなく,市町村の教育委員会が府県教委,保護者とも連携しながら,そういった対策のための支援センター等も立ち上げる必要があるんではないかというふうに認識するところでございます。
  それから3点目でございますが,これは先ほどの9年間の流れの中での段差の問題でございます。こういった個人カルテにつきましては,小6,中1の引き継ぎの中で十分活用していただく中で,それを中学校に上がった時点で具体の指導に生かしていくことが大切であります。特に保護者への啓発であるとか,児童生徒への具体の対応の在り方等に生かしていく,対応していくといったことも望ましいのではないかと考えるわけでございます。
  何にいたしましても,要はこういった問題につきまして,早期発見並びに早期対応といったことから,学校の果たす役割につきまして一定の活性化の方向を出すべきじゃないかと考えるところでございます。
  以上でございます。

【国立教育政策研究所総括研究官】  今の御意見に対して非常に賛成なんですが,と同時に,私が非常に懸念しておりますのは,1つの学校の中の学年の間であれば,比較的問題がないんですが,それでも先生方によってはプライバシーの問題というのが必ずおっしゃられるだろう。これが小・中になるとすると,そこでまたもう一回りかかわってくる。もちろん,今の御意見のように,例えば市のセンターなりそういうセンターをつくるとか,教育委員会が積極的にちゃんとその辺のところも考えた上でコーディネーターになっていただければ,それはそれで何とかなるかとも思いますが,もう1つ考えなければいけないのは,転入・転出があったときにどうするかという話です。実は,私も常々考えてはいるものの,こういうものをつくれという言い方,つくったらどうですかという提案が非常にしづらいのがその辺のプライバシーの問題等々。これは私専門外なので,どなたにお聞きするか,この場なのか,あるいはほかの専門家に聞いていただかないといけないのかもしれませんが。いずれにしても,個人情報が現実に今指導要録という形で上がってくるはずでありながら,現実にはなかなか骨抜き状態というか,できるだけ差し障りのないものしか書かないという格好に現実にはなっている。
  そこの部分をどういうふうに変えていくか,あるいはもう手を触れないのか。その問題は遅かれ早かれやらなければいけない問題という気がしますので,御検討いただくとありがたいと思います。

  ちょっとここで整理をさせていただきますと,今幾つか重要な点が出されまして,まず発言が出された順番におさらいをしていきます。
  最初に,カウンセラーの態度についての御意見が出されましたけれども,これはカウンセラーあるいはカウンセリングといってもいいのかもしれませんが,その基本的姿勢,ここで言おうとしている,あるいはここで議論したことが十分表現できるようにしていくという御指摘と同時に,資料で言うと3ページの,今出されませんでしたけれども,上のところの「一時,不登校になったらとにかく見守っていればよい,やがて自分の力で立ち直るという説」,これが今度は,個々の教員の対応に関連して,やはり共通する部分があると思うんです。ここのところはここで議論していることの趣旨が生きるように考えていかなくてはならないということの御指摘であったかと思います。それが1つの押さえです。
  それからもう1つの押さえとしては,対応,要因等の分類,あるいは整理に関連して,非常に微妙な部分があるという点を十分留意しなくてはいけないと。特にこれについては,なぜ分類し整理をするかというと,そのことを1つの目安として,手がかりとして効果的な指導対応の切り口にするという観点だろうと思うんです。しかしながら,そのことがかえって実態把握をあいまいにしてしまったり,あるいは実態と離れた把握をしてしまうという点もあり,それが指導対応にまた結び付いてくるので十分留意しなくちゃいけない,こういう点の指摘があったかと思います。
  それから,先ほど出されました不登校問題に対する学校全体の対応というようなことをどういうレベルでどうとらえていくかということで,その中に学校の活性化ということを根底に置くべきだということが出されてきた。
  大きくこういう点が今議論されていますが,それぞれについて,特に今の学校の活性化について学校関係の委員の間から何か御意見ございませんでしょうか。

  5ページのところですけれども,未然防止のための教育活動等の○がついております下から2番目のところです。「学校を常に改善し,職員の意識も変えていくため」,この部分ですけれども,全国的に小・中・高と学校評議員制度というものができて,学校評価が行われ始めているわけですけれども,東京都においては,保護者,地域だけではなくて,この15年4月からは生徒による授業を含めての教育活動評価というものが全面的に行われていくということになっております。したがって,あくまでも生徒が学校に何を望んでいるかということをストレートに学校教職員が把握する意味でも,ここに「生徒」を入れていただきたいと思います。それが第1点。
  第2点は,その下の○の部分ですけれども,中学校の後に「高校」を入れていただけないでしょうか。といいますのは,確かに義務教育で打ち切れば小・中でよろしいわけですけれども,97%からの進学がある中で,高校も連携が極めて重要です。
  高校を預かっている私どもといたしましては,防災訓練にしても,学校行事,地域活動にしても,高校生は小・中の児童生徒を守ってあげる立場に立たなきゃいけないんだと,そういう指導をしております。そのことが,不登校ぎみの子どもたちがそこですごく幼い子どもたちを面倒見て,自分の存在感を感じて立ち直っていくというケースもあるわけで,ここに「高校」を入れていただきたい。
  それからちょっと戻りますけれども,上から2番目の○のところ,「児童生徒の社会性を育成する教育の充実が必要」ということで,多くの中学校,高校では,インターンシップですとかボランティアに取り組み始めているわけですけれども,それがにわかに起こっていく関係から,受け入れ体制がまだまだ不足している部分があります。そういうところで行政中心に企業とかいろいろな外部の受け入れ体制を整えることによって,児童生徒の社会体験学習の輪が広がるのではないかと考えます。
  以上です。

  先ほどの,教員,あるいは学校の取組に対して,そうしたものを見直すことに触れることが重要であるということと関連して,今の御発言は,やはり,今,全国的に各学校で進んでおります外部評価,あるいは,学校づくりと評価ということとの関連に着目すべきだという御意見,私も非常に重要な指摘かなと思います。特に,これは委員の方々も学校に寄せていただいて時々感じることは,やはり学校というところは,知らず知らずのうちに学校文化,あるいは学校独自の時間を持っているんですね。ところが,個々の子どもの成長,発達の時間との間にずれが生じるということがあって,そのずれが子どもにとっては苦痛になり,不登校の要因になっている面がある。これは,学校としては学校の時間は善であるという前提で学校教育を進めていくわけでありますけれども,その点については,学校改善,あるいは,特色ある学校づくり,そして評価というような組織的な対応の中で,そのことがまた不登校問題にもかかわっている点を,先ほど御指摘いただいたのかなと思います。

  今,主査がおまとめいただいた,全くそのとおりだと思うんですが,そういった子どもたちの社会性を育み,そして,学校の活性化を促す様々な体験活動,そういった部分のカリキュラム開発能力を教師がしっかり身に付けていかなければいけない。しかし,一方では,例えば教員養成大学において,体験活動等のカリキュラム開発の基礎的な知識を確認する特別活動の講義そのものが必修から選択必修になってしまうという実態もある。これからの教師に何が求められるのかという部分からも,やはり学校の活性化という関連の中で大きくとらえていく必要もあるであろうと,そんなふうに思います。

  これも,またこのところ,ちょっと見直されてきましたけれども,昭和40年代から50年代は,学級,学年経営に関する研修というのが非常に重要視されていて,どこでも重視されて行われていたものが,最近,やや手薄になっているという面があって,この不登校問題と関連して,そうした面について重要であるということも再確認する必要があるかもしれないですね。

  委員さんからはペーパーも御用意いただいて,ただ,この内容は,学校だけに関係するものではなくて,その他にも触れるところでありますので,もうちょっと後のほうがよろしいでしょうか。
  あとでまた,近藤委員には,御提出いただきました資料にも触れて,また御発言いただきたいと思います。
  ほかに。お願いいたします。

  2点あります。
  1点は,今までちょっと触れてきた,いわゆる教職員の資質の問題です。一番最後の項目に,子どもたちの価値観・個性の多様化に対応できるよう,教員の採用についても多様な人材を採用していくべきという意見があったと思います。現実に,臨床心理士資格を持った教員で若い教員もたくさん,希望している人たちもおります。また,カウンセリングを学んだりしている人材等もいますので,そういう若い教員希望者を含めて,是非積極的な対応というのも考えていくのも一案かなと思います。
  それから,スクールカウンセラーの問題ですけれども,スクールカウンセラーにつきましては,臨床心理士,それに準ずる者という形で,2つにタイプが分けられて,それぞれ活動しているという形です。当然,時給も違う状態でしているわけなんですが,将来的には,やはりきちんと資格要件の在り方を検討しなければいけない,これはどこかでやっていかなければいけない問題だと思います。とりわけ,各都道府県の採用段階において,やはり県の臨床心理士会等に丸投げするのではなく,責任を持って各都道府県が公募制等を取り入れて,また,様々な類似するような団体等もあります。そういうところと連携しながら人選を進めていくべきではないか。大学院を終わってすぐの方が臨床心理士を持って5,500円。現実に,非常にベテランのカウンセラーで長い現場経験をしていて,準ずる者という扱い。そういうような形は,やはりどこかにひずみが出ているし,おかしいかなと思います。
  それから,また,7ページのところにもありますように,スクールカウンセラーそのものも,やはり研修をきちんとしていかなければいけない。ちょうど中段ぐらいに,学校のことを知ってもらうための情報提供ということもありましたけれども,やはり都道府県の教育委員会が中心になった形できちんと公募し,採用し,研修も踏まえて活用していく,そういう体制をつくっていくべきだと思いますし,将来的には,是非資格要件というのをきちんと考えていくべきだと考えております。
  以上です。

  今,スクールカウンセラーのことが出ましたので,ちょっと関連して触れさせていただきます。
  今,御意見にありましたとおり,今後,スクールカウンセラーの数がどんどん増えていくというか,全校配置に向けて広がっていくと思いますので,そのときに,研修ということが大変重要になるかと思います。今のところは,各都道府県において違いますが,各都道府県の臨床心理士会等が中心になって研修しているんですけれども,なかなか今後,大所帯になっていくと,統一したというか,均質な研修の質を維持するというのはかなり大変だと思いますので,できましたら,その辺の研修制度とか,そこにありますスーパーバイザー的な制度,そういうのも今後,制度的な拡充として,できれば考えていかないといけないかなと思います。人材の育成を含め,大きな問題が随分ありますので,スクールカウンセラーと一口に言う前に,中身をどうしていくのかというのもやはり考えていかないといけない時期に来ているかなと思っております。
  以上です。

  学校の先生方の研修を含めてお話しさせていただければと思うんですが,実際に,スクールカウンセラーさんの立場からお話があったんですが,そっとしておきましょうと言われますと,学校現場のほうというのは,やはりすべての子に対してそういう見方をしてしまうケースが非常に多いです。それでまた,今回,時機に応じた登校刺激が必要ですよといいますと,また極端に登校刺激のほうに走ってしまうケースが当然考えられます。実際に,学校現場を見てみますと,その両方を理解して対応できるという状況にないというのが現実だろうと思います。
  ですから,実際に教員の研修ということを含めまして,物理的にいつやれるのかということなんですね。抽象論としては,研修というのは非常に大事だというのはよくわかるんですが,実際に学校現場は非常に忙しい中でスタートしていきます。特に年度が変わります4月というのは,当然,さっき指導要領のお話もあったんですが,そういったものを十分に目を通して対応できるだけの物理的な時間があるかといいますと,現実にはあまりないわけです。知らないうちに連休を迎えて,5月,6月になっていたら不登校が再開していたというような状況が実際にあると思います。
  そうなってくると,そのための研修をどこに位置付けていくのか。当然,それは管理職のリーダーシップというのが大きく問われると思います。研修の時間帯をどこで生み出していくのか。現実に考えられるのは,長期休業中,つまり子どもたちがいないときに,そういった研修を具体的にどれぐらいやればいいのかということです。1日の研修では,とても力量は付かないだろうと思います。何日もやったら付くかというと疑問があるんですが,少なくとも,そういった研修内容で伝えられるようなものについては,長期休業中に,教育センターなどでは不十分ですから,各学校現場でどのように高められていくことが可能なのかを考える必要があります。
  進級・進学における連携でも,せっかく,それぞれ幼稚園,小学校,中学校でデータとして上がってきたものをどう引き継いでいければいいのかというようなことを今後盛り込んでいかない限りは,平成11年度に出た生徒指導資料なんかを今見ましても,何も問題がないような内容にもかかわらず,これだけ不登校が増えていっている現実を見ると,そういった場を具体的にどう展開していくのか,どういう内容でやるのかというのが非常に大切になってくるだろうと強く思います。

  今,研修を実施する側,どちらかというと,そういう側からのお立場から御発言がありましたが。はい,どうぞ。

  研修と少し離れるかもわかりませんが,学校の側からの問題意識の大きな要素の1つに,先ほどからも指摘がございましたように,部分登校もしない,また,民間施設にもかかわらない,また,適応指導教室にもかかわらないといった中で,結果として,教育機関から放置されている,そういった不登校児童・生徒への対応でございます。やっぱり進路保障の観点といった点からも,そういった子どもたちに学力に対する保障をどのようにしていくのかといったことが重要な課題になってくるのではないかなと思うわけでございます。
  そういった観点からも,市町村の行政の対応の中でやれるようなこと,例えば,学校を選択する場合の一定の弾力的な運用を積極的に奨励していくとか,もしくは,いわゆる機械的な進級ということにつきましても,十分保護者と協議するとか。まして,機械的な進級になった場合において,一定の学習支援をどのように行っていくかといったことのアプローチも必要になってくるのではないかなと考えるわけでございます。それが学校が不登校児童生徒に主体的に対応していくことの大きな要素になるのではないかなと思うわけでございます。また,そういった対応が結果として学校復帰を促していくということにもつながるのではないかなと思っていることが1つ目でございます。
  2つ目は,先ほどの研修の関係も出てくるわけでございますが,御指摘もございました,不登校問題の学校としての主体的な対応の基本は,やはり学級経営,もしくは学年経営にあるのではないかなということでございます。そういった意味でも,もう1度,カウンセリングマインドを,学校現場ではかなり形骸化しているということも事実でございますので,学級経営における生徒指導の重要な取組として必要になってくるのではと感じるわけであります。したがって,そういった観点からの研修の充実も求められるのではないかなと思うところでございます。
  以上でございます。

  今日の意見等の整理の項立てを見ますと,かなり個々の教師,一人一人の教師の力量といいますか,そういった部分への要求といいますか,内容が大きく述べられているように思います。ただいまの御意見の研修とのかかわりであるわけですが,個々の教師の力量,資質を高めていくというときには,やはりそれを組織的に体制の上で,そういったものを進めていくということが学校においては,つまり,一人一人の教師にとって,それが非常に必要であろうと,そんなふうに思っています。
  そういう意味で,ここには項立てとして,行政の取組,そういった部分がちょっと欠けているかな,そんなふうに思われます。例えば,研修の難しさも先ほど御意見として出たわけですが,いわゆる行政研修として,中学校区における小中の合同研修会とか,または,各学校の管理職を一堂に集めて研修をするとか,そういったことをとりながら,または,市町村の指導主事が各学校に出向いて,直接,校内の研修教育の一環として研修会を持つとか。やはり,これは1つの研修の流れとして,今後そういうものを位置付けていくということが必要であろうと,そんなふうに思っております。

  今日お出ししたものには入れていなかったので,今の研修のことについて,実は,先生方の研修を考えたんですが,先ほどおっしゃったように,大変お忙しくて時間がないということなんですね。私どもでは,実は,もう3月にやろうと思っていますのが,教員免許を取った方,来年から教壇に立ちますよという方々に,今の現状はこうですよ,カウンセリングマインドというものを身に付けて学校現場に行かないと,十分な対応ができないんじゃないんですかというような研修を,実はカウンセリングマインドに絞った研修をやろうと思っているんですが,さあ,これからやるぞという,もう意気盛んな人たちに対して,事前に研修をすると。
  実は,教員免許の試験の結果が大体11月で全国そろうわけですね。そうすると,4月までのある一定の時間帯があるんですが,あんまり皆さん勉強していないんですよ。遊んじゃっている人が多いんですね。その時間を活用して,各自治体でそういうことが考えられないだろうかという御提案をさせていただきます。

  不登校児童生徒への取組は,まず学校で行うべきだと思います。研修の面から考えますと,教職員に対する一斉研修も必要ですが,各学校で不登校の児童生徒一人一人に対して取り組んでいくことが現場に即した生きた研修になると思います。文部科学省の学習障害児に対するモデル事業の一環として,各研究校で校内委員会を作って取り組んでいます。不登校に関しても,校内にこのようなシステムを導入することが必要だと思います。少人数の教職員で話し合う場を設けて,一人一人の児童生徒に対する指導援助の手立てを考えていくことが教職員にとって一番の研修になります。名称は校内委員会でも教育相談委員会でもよいのですが,校内にシステムを導入して,一人一人の子どもについて話し合いサポートしていく体制を作っていくことが大切だと思います。
  これまでは研修というと,大勢の教職員を一堂に集めて講義をするという形態が重視されてきました。そのような研修会は知識を広めるためには大切です。しかし,具体的な不登校児童生徒への取組という面から考えますと,目の前の子どもについて話し合っていくシステムを校内に導入することで,かなりの成果を上げることができるのではないかと思います。そして,それがもっとも実質的な研修になるのではないかと思うのです。目の前の子どもに対する援助にもなりますし,学級担任に対するサポートにもなります。そのようなシステムの導入を考えないと,経費をかけて全国各地で研修会を開いても成果が上がらないということになるのではないでしょうか。

  案外見落としがちになるところについての今,御指摘をいただいだと思います。ちょっと整理をさせていただきますと,1つは,やはり,この問題に関して研修体制と,それから研修体系の中への位置付けというようなことが重要だということの確認が1つあったと思います。そのことと関連して,特に,各学校におけるアセスメント体制,あるいはサポート体制といったシステムづくり,もっと言うと,言葉で言うと,研修と月並みに言うわけでありますけれども,その質の改善というところに着目することが重要だ,こういう御指摘が出されたと思います。それから,その延長線上には,我々はこれから報告書をまとめ,提言をしていくわけでありますけれども,この提言を出すことについて,その内容の共有化の方策が重要であるということにもつながるのかなと,こうした御指摘をいただいたのかなというふうに思います。
  これも,この次の内容に触れながら,また学校の問題に入ってくると思いますので,一応,区切りとしましては,その次で,今度は学校外の取組についてというところに話題を移させていただいて,また随時,学校の内容にも振り返って御議論いただいて結構ですけれども,学校外の取組について御意見をいただきたいと思います。資料で言いますと,8ページの大きい4の項目になりましょうか。引き続き御意見をいただきたいと思います。

  3点あります。
  1点は,SSN事業等の中でも,3ページ,教員等の効果的な配置・運用ということで,加配,それから,充て指導主事等,いわゆるマンパワーの問題,そういうことがきちんとうたわれているというのはものすごく大きな進歩であり,また,SSN事業というのは,これを血肉化していくというのはものすごく大事なことじゃないかなと思っております。そういった面では,現実に多く研修を積んだり,また,自分で一生懸命勉強している教員もたくさんいる。一例を挙げますと,前回もちょっと報告しましたが,日本カウンセリング学会等での認定カウンセラーの教員,そういう人たちをやはり有効に活用する,そういったことも都道府県では必要になってくるし,いわゆる適応指導教室なんかにもそういう教員を積極的に活用していただくということも必要じゃないかなと思います。それが1点です。
  それから,2点目は,適応指導教室自体が,例えば,設置の趣旨とか目的とか,指導内容とか,人的・物的体制,そういったものが全然ない状況というところもあるわけです。ただ設置していますよということで行ってみましたら,物置同然のところに退職校長先生だけが1人だけぽつんといると,そういうような状況も現実にはあります。それも数の中に入ってしまうわけです。ほとんどケースは来なくて,電話相談がたまにあるくらいですよという話です。やはり何らかのモデル的な指針を考えていくべきではないかなとも思うんです。そういった面では,各都道府県の行政の仕事だと思いますけれども,最低限度,設置の趣旨とか目的,それから,人的・物的体制,そういったことについて,ある程度の大まかな試案,そういったものも報告書に是非盛り込んでおいていただければありがたいかなと思います。それが2点目です。
  あと,3点目なんですが,民間施設・NPOの問題ということが出ております。やはりその役割,意義ということについては,積極的に評価する姿勢というのがほんとうに大事だと思いますが,ただ,私も記憶している中では,サポート校の一部で生徒を集めたら,後で倒産してしまったという事例等もあります。そういうようなことを考えますと,結局,ある程度の外部チェック,先ほどもお話がありましたけれども,自己点検とか評価,そういったものの外部の説明責任というのを持っているんじゃないかと思います。その努力を求めていくという視点も,この中で欠けているかなと思います。公的扶助,私もNPO・民間施設なんかにも積極的に与えるべきだとは思いますが,こういうある程度の外的なチェック,それらのものを踏まえた上で,まずは説明責任をしっかりと押さえた上で与えていくという方向性も大事ではないかなと考えます。
  以上,3点です。

  関連して御発言ございませんでしょうか。今の3つの点は,それぞれ重要な点に触れる御発言でしたが,いかがでしょうか。

  関連はしていないんですが,10ページにあります訪問指導について,これも再三,この会議の中で申し上げてきたんですが,今後,そこにありますような,大学と連携して学生たちを派遣するということも広がっていくのかなと思うんですけれども,やはりその際の注意事項をかなりきっちりしていかないと,わりと軽い気持ちで,実習したいからというので学生がどんどん入っていって,入ってから学生も困るし,不登校の子どもたち,あるいは家族のほうも大変になるというケースも,もしかしたらあるかもしれません。特に,学生たちが不登校の子どもたちに接したいからという純粋な気持ちで入っていっても,やっぱりひきこもっている状態というのは,普通の外へ出られる子たちよりかは重い部分がありますので,そのあたりのケアを同時に整えていくという,こういった単位認定とか,そういうことに加えて,そこにありますスーパーバイザーとか,そのあたりの制度をきっちりしていくということをできたらしていかないといけないと思います。
  以上です。

  校長として思うことなんですけれども,8ページにあるところなんですけれども,適応指導教室ですべてのタイプの不登校児童生徒を受け入れることは困難とか,問題があるとかというところがあるんですけれども,実は私,こんなことがあって,こういった子どもは一体どうしたらいいんだというふうに思っていることがあるんです。学校のほうの適応指導教室に,ようやくその子が行けるようになったんです。ところが,異装と言うんでしょうか,髪を染めていたり,服装が,既にそこに来ている適応指導教室の子どもたちがびっくりするような,驚かれてしまうような,そういう子どもが来たんですね。そうすると,適応指導教室の退職校長先生方も,せっかく落ち着いて勉強してきているのに,あの子が入ってきたために崩れてしまうというんで,その子を呼んで個別に指導したりするんですね。ところが,なかなかうまくいかなくて,これがおれの自己主張だからとかと言って,なかなか変えるようなことをしないとか,よくあると思うんですけれども,そういったような子どもたちも,学校としては何とか学校復帰をさせたいと思っているわけだし,保護者の相談にも乗りたいし,異装でもいいから,とにかく適応指導教室に来たならそこから始めようよというふうに言っても,適応指導教室で,こういう言い方はいけないかもしれないけれども,二の足を踏んだりするということがあると,その子たちの行き場所は一体どこなんだと思うわけなんです。
  適応指導教室への指導ということは,もちろん行政でも計画していらっしゃるんですが,でも,それをもうちょっと何か,こういったようなケースでも適応指導教室でかかわっていったら,こんなふうな結果が出たというようなことを,適応教室で個々の対応をしてくださる指導員の先生方に伝えられるような方法というのはないものなのかなと,身近にそういう例があったものですから,そんなこともこの中に入れていただければありがたいと思います。

  今の御発言というのは,そういう意味で,やはり適応指導教室の趣旨,目的,そういった内容をきちんと明らかにして,ここのA適応指導教室はこういうところですよ,B適応指導教室はこういうところですよという形でやっていかなきゃいけない。誤解してはいけないことは,適応指導教室はすべて退職校長先生ばかりじゃないわけです。専門家をきちんと入れて,ものすごく実績を上げているところもたくさんあります。
  それから,適応指導教室に丸投げするのは間違いです。学校でやるべきことは何なのか。学校ではここまでやります,それで,親御さんにはこういう援助をします,適応指導教室では,この点はいかがでしょうか,それをきちんとコーディネートしていく役割の人が,例えば教育相談係とか,スクールカウンセラーとか,学校の校長先生とか教頭先生がそういう役割をしていかなきゃいけない。それがやっぱり今,一番問われているのかなと思うんです。どこかで何か,そこで行ってしまえばそれでいいという。むしろ,行ったところから初めて連携がすごく深まってくるんじゃないかということを,ほんとうに現実的には実感しております。
  それから,先ほどお話があった点なんですが,私は,安易に訪問相談等,訪問指導等を学生さんに丸投げするのも間違いだと思います。非常に危険を伴います。臨床の現場では,現実的には訪問しないのが現実なんですよね。なぜならば,その中で,やはりクライエントさんを守り,カウンセラー自身を守っていかなければいけないという,この間の哲学めいたのがすごくある。だから,すごく難しいカウンセリングの形態になりますので,そういった面では,前段に書いているところ,ほんとうに専門的知識を持った人材,そういった人材の活用というのが検討課題なのかなと思うんです。だから,学生さんがいっぱいいれば,さあ訪問してくださいというのは,これは全然研修も何もない中でやるというのは,むしろ二次的な災害,二次的な問題というのがどんどん出てくるかなという気がいたします。非常に慎重にかかるべきだというような思いをしております。

  それから,その訪問指導についてなんですが,学校の教員等が訪問した場合に,現行法では出席認定にはカウントされないということもございますので,やはり校長が一定の成果を認めたときには,何かそういう認定ができるような改善をお願いできたらと,こんなふうに思っています。

  今,適応指導教室,あるいは訪問指導も含めて,今日配られた資料の4の中で言いますと,適応指導教室は,前年度928カ所から991カ所になっている。これは,ここ5,6年,急激に数が増えてきていて,それは一定の評価をされる点であろうかと思いますけれども,今の出されているところは,量的充実と同時に,あるいはそれ以上に,質的充実ということが考えられなくてはならない時期に来ているということの御指摘でありまして,整理すると,1つは,施設,整備面での充実ということを考えなくてはいけない。それから,内容面での充実ということを考えなくてはいけない。それから,もう1つ,学校,あるいは関係機関との役割分担,あるいは連携における充実ということを考えなくてはいけない。こうした御指摘であろうかと思います。
  関連して御意見等ございますでしょうか。はい,お願いします。

  では,適応指導教室の立場からですが,最初に御指摘があった点ですが,やはり異装の子どもたちを受け入れることについては,現実,私たちのところは受け入れております。これはひとえにマンパワーの問題で,アセスメントですね。見立てをいかにするかと。明らかに暴力行為が認められるんでしたら,それは適応指導教室では対応不可能だろうと思います。でも,服装だけの問題であるんでしたら,それは十分受け入れていけるだろうという見立てがいかにできるかということが大切です。そうなってくると,指導員の力量の問題になってくるという問題があるだろうと思います。
  それから,適応指導教室,SSCのほうも見ていきますと,SSNのほうも,訪問指導というのを考えるんでしたら,やはり適応指導教室,もしくはコアになるようなところで,事前に学生を集めたガイダンスは絶対必要だろうと思います。そのガイダンスをした後で,新たに募集しなくてはいけないだろうと思います。子どもを守る観点,それから,訪問指導員を守る観点で見ていきますと,必ずしも子どもや家庭環境がいつでもきちっとしているわけではないという状況もありますので,そういった面は十分考えていく必要があるだろうと思います。
  それから,適応指導教室の活動自体が学校や保護者にもっと十分に伝えられる機会を設けるべきだと思います。適応指導教室自体の力,できることは何であるのかを伝えることが大切です。明らかに内科であるのに外科の患者は受け入れることができないわけですね。むしろ,それを受け入れれば,本人に対する不誠実さというものが問われるだろうと思いますので,要は,できるものはこういうことであって,学校現場でできることはこういうことであると明確に話をした上で受けていく必要があるだろうと思います。それによって初めて回復の目標というものが設定できるだろうと思いますので,そういった点も含めての連携PRが必要かなと思っています。

  適応指導教室の件に関しまして,少しお話しさせていただきたいと思います。
  1割程度しか適応指導教室に通級をしていないという実態というところでございまして,地域性の問題もありまして,先ほどお話しいただいていますように,役割分担ができていないとか,専門家がいないとか,いろいろそういった問題はあろうかと思いますが,特に,私立の中学校に行っていた子どもたちが,どうしてもその学校に通えないということで公立の中学校に戻るというケースがあります。そうした子どもたちは,私立に行っていたということで,地元の中学校にまだ通えなくなってしまっているという状況で,そうすると,適応指導教室にどうだということになって,適応指導教室のほうに振られるわけですが,そうした子どもたちは,やはり地域の中では,どうしても私立に行ったという,受かったときには,そういった意味で非常にうらやましく思われるということもあって,それで地域には通えないというようなこともありますので,地域の中学校にまた戻ってきたとしても,適応指導教室,いろんなところに通えると。距離があってもいいですし,あるいは,特徴のある別な適応指導教室というようなところで,適応指導教室自体にもカラーといいますか,細かい役割分担というものが必要になってくるのではないかなと思います。
  あるいは,また,私どもも適応指導教室にずっとかかわりを持たせていただきまして通うんですが,子どもたちに対する対応がきめ細かに対応されていないというところがあります。これは遊びに行く感じでいいんだけれども,勉強のことは教えてもらえないとか,また逆に,勉強は教えてもらうんだけれども,体験的ないろんな行事がないとかというところが非常に多くて,個別にかなりの差があると思いますので,こういったものも改善していく必要があるのではないかなと思います。

  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。

  適応指導教室のことについて述べさせていただきます。学校もしくは教育行政というスタンスからの適応指導教室の課題でございます。これは何回も御指摘がありますように,専門のいわゆる指導員をどう確保するかといったことが基本的な問題としてあるわけでございます。そういった専門的な指導員のもとで学生ボランティアも生きていくんではないかなということでございます。また設備面,広いグランドがあるとか,多目的な空間があるとか,ゆっくり座れる和室があるとか,こういったことの施設の改善とセットのものだということで,人的・物的整備が問われるということが1つでございます。
  それから,もう1つは,学校復帰を促すということの観点から,先ほどから何回も指摘がありますように,丸投げということについては,これは言語道断でございます。むしろ,私どもの実態から言いますと,適応指導教室に子どもたちが定着している状況下で,学校の先生方が盛んに訪問される。そして,いろんな学校情報,勉強も含めていろんな情報提供を与えられると,マイナス的な要素はあまり出てこない,むしろプラス面が出ている。したがって,学校の必要な,適切なかかわりがあればあるほど,学校復帰につながっていくというような実態もございます。そういった意味で,学校を中心に地域の関係機関のネットワークの中で,さらに適応指導教室が位置付くことが望ましいのではないかなというふうに考えるわけでございます。
  それから,先ほどの適応指導教室に,いわゆる遊び・非行型の生徒が参加するといった問題もあるわけでございますが,これにつきましても,教育的な指導によって,どっちにも,マイナス面にもなるしプラス面にもつながるということでございます。例えば,対人関係の大変苦手な子どもたちがたくましく生きる力を覚えるとか,また,コミュニケーション力を培ったとかといった実例も実際にはございます。そういった意味で,指導のいかんにかかっているのではないかなとも考えるところでございます。
  以上でございます。

  非常に小さなところというのは,やはり体験活動等はやりにくいのが現実だろうと思います。2人,3人の指導員の方で,実際に自然の中に連れていけるかというのは非常に難しい問題で,今後,SSNの予算の執行に当たりまして,小さなところまでまんべんなく配分するのではなくて,やはりコア的なところが中心になって体験活動が可能なような体制で予算を執行できるようなことを付け加えていただければなと思います。
  それから,適応指導教室の専門家という言葉が先走ってしまうと大変ですので,適応指導教室に現実必要になってくるのは,体験活動をいかにやれるかという方が実際には必要なんです。子どもに元気を与えてくださるような,学校現場で言いますと,特活的な内容でかかわれるような方,当然,それには体力的なもの,気力も十分必要になってきますので,専門家の中には,そういった観点も入れていただくとありがたいです。もちろん,臨床的にかかわっていくのは必要なんですが,その両方を兼ね備えた方が必要になってくるということで,御配慮いただきたいと思います。

  今,SSNのことが出ましたので,関連してちょっとお願いしたいと思うんです。この事業,現実,何とか実践していきますと,ほんとうに地域の中での核になってくれるかなと思っております。そういう意味では,地域のスクーリング・サポート・センター(SSC)の400名を,場合によっては来年度,早い時期に1週間ほど研修していただく。その中で,どういうような役割が必要なんだということをやはり徹底的に,サポートセンターの広域のほうがいいのかもわかりませんけれども,場合によっては,研修体制を踏まえて,やはりこの中身をしっかりと把握していただく。それにこたえるだけの人材を都道府県が用意する。来年度即というのは難しいかもしれませんけれども,そういうような体制をつくっていかなければ,やはりまた,今までと同じような流れになってしまう可能性が十分あると思います。
  だから,私も,まんべんなく出すのではなく,やはりきちんとした目的,きちんとした中身,そういうところに重点的に配置する。そういう1つのモデル化をしていくということがすごく重要ではないかなと。それとあわせて,広域SSCであれ,地域SSC,ほんとうは地域のほうがいいんじゃないかなと思うんですが,その研修体制も是非考えていただければありがたいと思っております。

  かなり基本的なことに触れる御発言をいただきました。1つは,これは学校内外すべてにわたってかかわってくるわけでありますけれども,やはり再度,ここで議論したようなことも踏まえて,基本指針,あるいはマニュアルというようなものを作成し,これの効果的な活用をすることによって,まさに情報連携から行動連携に結び付けていく,こういう働きかけが重要だということが1つ確認されたことであります。
  それから,特に,適応指導教室を中心にしてでありますけれども,効果的な活動にブレーキがかかっている場合というのは,我々もそこにかかわってみると,それほど基本的ではないところでブレーキがかかっている場合が実際に見受けられるわけでありまして,そこについての御指摘があって,具体的な改善の方向としては,1つは,内容に応じる人員,予算の配置と同時に,予算の執行であるとか,あるいは,組織体制の問題にまでこれから充用していくことが重要であるという御指摘をいただいたと思います。
  ここで,ひとまず区切りのところを置きまして,4番目のまとまりで,その他の課題として,中卒後の課題,あるいは体験活動,あるいはITの活用などの問題について,資料で申しますと,10ページからの内容のところで御意見を頂戴したいと思います。

  11ページでもよろしいですか。中卒後の高等教育に関するところなんですが,この中でも桐ケ丘の実態をお聞きして,大変すばらしいなと感動したことがありましたが,ああいった新しい制度をつくって,最初は校長先生の意欲とか,集まった教員,先生方の意欲でいくところが,継続して何年もというふうになると,なかなか厳しいところもあるかと思います。そのあたり,つくるときの大変さもありますが,できたら,それを維持継続していくための研修,先ほども出ましたが,研修も含めて制度的なバックアップというのを確実にしていっていただきたいと思いますし,できたらば,そういった特化した高校を充実するだけではなくて,それが一般的な,全体の学校に広がっていけばいいと思うんですけれども,そのあたりの体制を整えていかないといけないと思います。
  以上です。

  今の高等学校の,桐ケ丘の話が出たんですが,私も非常にこうした高校が増えることを望んでいるんですが,実は,大きな落とし穴があるというふうに思っております。
  それは,入試制度に関してです。不登校であったり,あるいは,中退の子どもたちが入学試験を受けるわけですけれども,やる気のある生徒が入学できる,内申点等々は一切,欠席日数は関係ないということになりますと,入試制度の公正さが果たしてそこに出てくるんだろうかというところでございます。学校側が指導しやすい生徒を合格者として受け入れることになってしまわないだろうかということです。ですから,逆に,不登校の期間が長期だった生徒やひきこもりの生徒から入学させるとか,あるいはさっき異装の問題がありました。そうした,いわゆる公的な学校がしなければならない役割を持った学校にしなければいけないというふうに考えるんです。そうでないと,この新しい形の学校というのは,実は非常に危険な方向に行ってしまうんではないかなというふうに感じるところでございます。

  従来,こうした委員会の中では,中卒後の課題についての議論は必ずしも十分されていなかったということがあろうかと思うんですね。この機会に,今の御指摘も含めて,特に,ただいまの御発言は,進路に関する保障,あるいは,今度は関連してくる問題としては,進路指導ということを踏まえて,中学校でどう考えていくのか。あるいは,その後の体制をどう整えていくかということについての,ただいま,そういうことに触れる御発言だったわけですが,関連して御発言いただけますでしょうか。

  11ページの高等学校に関連した取組,一番上の○のところですけれども,高等学校は義務教育ではございませんので,不登校の数が増える前に,中途退学とか,あるいは,全日制の普通科高校の場合ですと,定時制課程とか単位制学校に転学という形で,不登校自体の数は,そこでは別の形に変わってしまうんですね。今回の話し合いは不登校ですので,中退の問題は直接的には出てこないけれど,根は共有したものがあると思います。そういう意味で,高校で中退の数がどっと出るのは1年生の7月,つまり,成績会議のそのころなんですね。ですから,先ほどの研修,研修という話がありましたけれども,夏休みの長期休業中の研修では後手に回ってしまうということがあります。
  私が一番痛感しているのは,やはり中学校の不登校であった生徒を担当した担任の先生から,入学後の早い時期に新入生の母校である中学校との情報交換の場が必要であると強く思います。
  それから,もう1つですけれども,東京都を中心に,全国的に学区の撤廃の動きが結構出てきているんですね。となりますと,従来,中高の連携というと,高校の教員が出前授業をするとかいろんな形で,中学校のその学校の校風ですとか,生活指導部主任同士の顔見知りとか,そういうつながりがあって,そこから雑談的に生徒の情報が入るということはあったんですが,こういうふうに学区が撤廃されてくると,そういう意識的な連携がもっともっと必要になってくるんじゃなかろうか。それが小中においても,中学校がまた緩和の方向にありますので,あるんじゃないかということを1点,新しい動きとして痛感しております。
  それから,もう1つは,高校入試に関していろんな取組が行われているということですが,確かに,5年以上前と比べれば,中学校の内申書とか欠席日数とか,そういうことと関係なく,本人の未来を見つめて合否を決めるという姿勢は取り入れられていると思いますけれども,まだまだ遅れている部分があるんじゃないかということがあります。桐ケ丘の例が挙げられましたけれども,入試制度について,私は該当校ではないので直接には言えませんけれども,特色のある教育課程ですとか教職員の取組,それは,ああいう学校だからできる部分と,全日制の普通科の学校でも既成のルールの中で取り入れられる部分が多々あると思います。そういうところで多くの学校がそういった努力をしていくことによって,不登校の形が変わった中途退学を減ずることはできるんじゃないかと考えております。
  以上です。

  先ほど,また,今も御発言がありましたけれども,私は,ひきこもりの問題,高校生の中退の問題というのは,やはりもっと真剣にきちんと考えていかなければいけない。現実的には,ほとんど相談をする,受ける機関がないという現状があるわけです。そういった意味では,是非SSCの地域スクーリング・サポート・センターもそういうひきこもりの問題というのが出ております。広域スクーリング・サポート・センターになるかわかりませんが,高校のメンタルな部分,中退する状況,それからまた,いわゆる不登校になった高校生,そういう子どもたちの相談をきちんと受ける,そういうような機関というのも必要じゃないかなと思うんです。
  それで,これは前回,横浜市の中でもちょっと出ていたと思うんですが,例えば,厚生労働省との関係を含めた予算で家庭支援相談員でしたか,各学校に回りながらやっているというような話もありました。そういった面では,むしろ厚生労働省とも協力していただいて,ひきこもり関係の子どもたちに対する相談機関の充実というのも1つはSSCが役割を果たすのではないかなという気がいたします。
  それとあと,先ほどちょっと話がありましたけれども,例えば,これから構造改革の問題で,株式会社による学校経営というような問題もうたわれていると思います。それは国の大きな1つの流れですので,一概にどうこうと言うことは,また難しい問題等もはらみますし,ここの場でそれを論じるということはちょっとまたお門違いかもしれませんけれども,ただ,不登校生徒の問題であれば,すべてそれが優先するという形で問題を考えてしまって,いわゆる株式会社,構造改革の一環だということで不登校対応ということだけは,やっぱりよく気を付けるべきではないかなと思うんです。
  これは文部科学省にお願いしなければいけないことだと思うんですが,例えば,いわゆるホームスクールの段階でも,カリキュラムをきちんと事前にチェックして,それで認めるか否かということもあると思います。規制緩和全部すればいいということで,事後のチェック機能や外部評価の機能,そういったもの,または事前チェック機能というのがどこかでないと,場合によっては,先ほどもちょっと言いました,サポート校で倒産してしまって,結局,その子どもたちが行き場がなくなってしまう,そういう問題がまた出てきかねないという状況もあると思います。流れに即してということではないのかもしれませんけれども,よくよくお考えいただければありがたいなと思っております。
  以上です。

  先ほども申し上げましたように,ややもすると,これは国のレベルということではなくて,都道府県,市町村のレベルでも,不登校の問題を取り上げるときは,やはり義務教育に中心にしてこれまで議論をしてきたわけでありますけれども,今ここで,中卒後の課題,あるいは,ひきこもりの問題等にも触れて議論をしているわけでありまして,それぞれのお立場でこれまで考えてこられたこと,あるいはお気付きのことがあったら,この機会にお出しいただければと思いますが。お願いいたします。

  現実に,私も今,高等学校に勤務しておりますけれども,やはり小中学校で不登校,あるいはその傾向のあった子どもが高校に入学してきたというような,あとでわかることなんですけれども,実質,何か中学校で不登校傾向になってみたりとか,心因的な部分でなかなか学校に足が向かないとか,条件はそれぞれ違うんですが,そういう子どもたちのことを調べていけば,結果的には小中学校の時代に不登校を経験している子どもたちが結構多いと,統計的な分野からいきますと,そういうことが言えるのかなと見ております。
  先ほどもいろいろお話があったんですが,やはり今,高校入学というのは,全国的にかなりの数値で高校入学というものに変わってきていまして,義務教育ではないけれども,いわば義務教育的な要素が結構あるんじゃないかというようなことからすると,不登校問題というのと中途退学というところのかかわり等もいろいろあると思いますが,そういうことも含めて,高等学校でもやはりこの問題は,今までのように義務教育だけの問題ではなく,高校の部分でもやはり同じような内容的なものも含めて,かかわりを持っていかなければならないし,教職員そのものがそうなんだというような認識をやはり持たせる場面がこれからは絶対必要じゃないかなと私も思っております。
  うちの学校なんかも,先ほどお話がありましたように,入学前はちょっと無理なんですが,入学後,1年生はすぐに中学校訪問というのを学年団で分散して,各学校に訪問して,子ども一人一人の様子を聞いているというようなこともやって,それを持ってきた中で,校内の組織体制の中で,いろいろ子どもを理解するための先生方の勉強会というのをやっているんですが,それでも,やっぱりなかなか追いつけない部分がありますので,物理的なもの,時間的なことも含めてかなり大変なんですが,やはり高校入学をさせた,入学を許可したという責任の一端というものを十分に考えていかなければならないんじゃないかなと私は思っております。

  今度は中学校の側から,今の流れの中で何かお考えがありましたら。いかがでしょうか。

  今まで不登校の問題を義務教育段階の問題として,主に視点として対応していたので,高等学校の中退とのかかわりを見ていきますと,今までの論議と違った視点が必要かと思います。小中はかなり,中学校に来た子どもについて,小学校の状況を綿密に情報交換しますけれども,中高の場合は,若干,その部分は欠けているというふうには思います。ただし,ここで,この会議の中で,新たに高等学校段階での不登校の問題を扱うなら,もう少し論議を,小中とはまた違った意味できちんとやっていかなきゃいけないかなと思います。一概に同じ論理で,小中でやってきたことをまた高校でやればいいというような問題ではないんじゃないかなと思います。

  ありがとうございました。特に,先ほど出されました,これは小中と比較して言うと,まず,一般的に,学校区が非常に広いですよね。その上に今,校区という問題が外れてくるという傾向がありますと,先ほど意見の中で,意識的連携という言葉を使われましたけれども,この連携の仕方についても,今後,やはり考えていくというようなことがあるということが1つあり,そして,今御意見が出されましたように,これについて,今後の課題として残されているところが大きいというふうに思われます。
  この時点で,関連して触れて御発言ございましょうか。
  大きい流れが大体出たところで,ちょっと途中で,あるいは冒頭にも御紹介がありましたけれども,近藤委員さんから,議論を深めるための御提案ということで,かなり具体的な点にも触れて資料も作成をしていただきました。特に,富士見市の研修会での資料等もございますので,このことにも触れてお話しいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。

  先週,資料が送られてまいりまして,議論を深める必要がある主な事項についてということがございましたので,あ,これは宿題が出たなという感じで,幾つか思いつくままに書かせていただきました。ちょっと見当違いという部分もあるかもしれませんし,この会議にはなじみにくいという部分が,あるいはあるかもしれません。1つのたたき台として書いてみたということでございます。
  まず,議論を深める必要がある主な事項についての順番に沿ってつくってきたつもりですので,「家庭の問題」ということが第1でございます。これにつきましては,非常に難しい,対応がしにくい部分というのがあるわけです。それに対してどういうふうにしたらよろしいかということで,実は,まだほんの最近なんですが,富士見市の教育相談研究室で製作されました,ビデオ3本で6時間という非常に長いものなので,ここにお持ちしておりますけれども,ちょっと見るのが大変です。富士見市だけでなくて,随分各地でこのようなことは既に行われているということをお伺いしました。
  ビデオを拝見して,これはいいなというのは,特に小学校から中学校,あるいは中学校から高校という節目のときに,高校中退の問題では1年生で多いという話が出ましたけれども,同じように,中学校の1年で不登校が急激に増えてくるというのがあると思います。富士見市で行っているのは,6年生の親,PTAの会合のときに,このロールプレイを行っている。実はビデオが3本あるんですが,1本はこちらの教育相談研究室の先生方が演ずるような形のロールプレイ。もう1本は,学校の先生方が演じている部分,それから,もう1本がPTA,親が演じているものです。それぞれ4,5人のグループをつくって演じます。今日の資料の後ろのほうに,その台本的なものが入っております。4ページになるかと思いますけれども,「現代の子ども社会とその対応」ということで,PTAの会合のときに使っているものです。
  これだけご覧いただいても大体のストーリーがわかるかと思うんですが,要するに,場面設定してストーリーをつくって,それをグループ分けして,親に直接演じてもらう。これも台本を見ながらやるわけですから非常に簡単。大体,1グループ10分くらいというやり方をしておりますが,非常によくわかります。これは本を読むとか,テレビを見るのと全く違います。自分たちで演ずるということで,非常によくわかります。
  という意味で,ここにいろいろ書いてありますけれども,小学校と中学校とどう違うのか。学習内容,教科担任,部活動,思春期の心と身体の変化等の違いが親にとって十分把握できないために不登校になってしまう可能性が多いんじゃないかということで,これは是非,ほかのところで,もう少し普及させていただいたらどうだろうかと思います。
  中学,高校の場合には,先ほども中卒後というのがありましたけれども,進路選択という意味で,これも,今日の資料の一番最後に「じぶんの一歩」というのを出しておりますが,その第4単元の右のほうに,10年後の同窓会というのがありますけれども,これは直接,生徒に10年後の自分がどうなっているかというのを,これも演じさせてみるということです。今何に興味があるか,それを生かしたらどんな職業に就けるか,その先にどんな人生が描けるか,そのためには今,何をするべきかというふうに,やはり目的意識をはっきり持っていただくという意味で示してあります。
  それから,2番目の「非行・遊び型」の不登校児童生徒の対応ですけれども,これは,以前,随分発表されていることですが,「いじめ,暴力,虐待体験」との因果関係が,特に非行の場合かなりあるということをもう少しはっきりさせなければならないんじゃないかと思います。遊びと非行はまた大分違うと思いますが。
  もう1つは,昔いた「ガキ大将」的な存在ですね。これは,実はフリースクールの指導員とか児童館の指導員には,こういう方が非常に多くいます。そういう人たちをうまく活用できますと,非行や遊び型の子どもたちには,かなりうまく対応ができるのではないかと。このガキ大将のような大人に会うことによってがらっと人生変わるんです。そういう例もたくさん見ていますので,そういう意味で,こんなおもしろいやつがいるよ,こんなガキ大将がいっぱいいるよという,何か人と人とを結び付けるような人たちの人材バンクのようなものをつくったらよろしいんではないかと。ソーシャルボンドというのは大変いい言葉で,私は何回もソーシャルボンドを勝手に使わせていただいています。
  それから,3番目,初期対応。これは例を2つ出しただけでして,たくさんいろいろな在り方というのが出ておりますので,皆様,十分おわかりだと思います。ただ,私は,この福岡市教育センターのは,すごくよくまとまっているなということで,たまたま例に挙げさせていただきました。平成9年に,まだ登校拒否という言葉を使っているころのものなんですが,大変わかりやすいと思います。
  それから,4番目,関係機関や保護者との連携云々ですね。ここで,これもまことに勝手な提案をさせていただいておりますが,先ほどの御指摘にもあるように,もう少し適応指導教室というものを見つめ直して,1つの考え方として,段階的な民営化というのができないかと。これは当然,すぐには難しいと思いますが,先ほどもありましたガイドラインを満たした民間施設との協力関係,これはそんなに難しくないだろうと思います。
  それから,今日のまとめの中にも出ておりましたけれども,適応指導教室のいろいろな問題をどう解決するかという点でも,適応指導教室とフリースクールの指導員の交流ということが可能ではないかと。次の段階で,嘱託というような形にして,互いに十分理解を積んで,こんな公設民営化というものができないであろうかということでございます。
  2ページ目に,この会議で出た問題点がいろいろ指摘されておりますけれども,民間のほうがやりやすい部分というのも幾つかあると思います。特に,先ほどからたびたび出ておりますSSNというものを15年度から取り入れていく場合にも,このことは有効ではないかということでございます。
  それから,もう1つですけれども,これも先ほども既に出ましたが,絶対数の少ないスクールカウンセラーのアシスタント,あるいは訪問指導員,あるいはボランティアの人材バンクということで,既に発表させていただいております不登校経験者の活用ができないかと。先ほど非常に難しい点もお話がありました。私どもでは,まず,研修を十分積んだ上でということも前に申し上げました。それから,訪問の場合には必ず複数で行くと。1人というのは,いろいろ難しい,危険も伴います。ということで,複数で行くということにしておるんですが,そういうことも活用していただけないだろうかと思います。
  教職員については,これもロールプレイを行うことで,カウンセリングマインドの養成に役立つと思います。
  それから,先ほど御発言いただいたピアサポートというのは,私は非常に有効だと考えております。
  7番としては,これは私のほうから新しいガイドラインについての提案をさせていただいております。先ほど御指摘があった外部チェック,これは是非必要になると思います。私どもが15年度からこういう訪問実態調査をしますよということがちょっと新聞に出ますと,実は,先ほど御指摘のあったような問題のあるサポート校とか,あるいは一部の通信制の学校までが,これは自分たちの営業妨害であるというような電話もございました。ですから,なかなか難しい部分はあると思うんですけれども,やはり外部チェックというのは必要であろうというように考えます。
  それから,8番の中卒後の支援ですけれども,これは先ほど出した「じぶんの一歩」とか,既に「キャリナビ」とかインターンとか,いろいろ出ています。「コミュニティーアンクルプロジェクト」というのは,斎藤(環)委員とか,あるいは,ヒアリングにお呼びした川又さんとか,工藤さんとかが中心になってやっているプロジェクトでございます。これも資料はあるんですけれども,非常に長くなりますので,割愛をさせていただきます。
  それから,先ほどもインターンとかボランティアの受け入れ先をどうしたらいいのかということがありましたけれども,私どもでは,青年会議所,ベンチャー学会,社会福祉協議会というところに協力をお願いして,これは,地域差は相当ありますけれども,かなり具体化している部分が多いと思います。そういうのは私どもで報告書をつくっておりますので,必要でしたら,またお持ちしたいと思います。
  その他の提案で,こんな調査をしたらどうかなとかいろいろ書いております。長くなりますので,ご覧いただければよろしいかと思います。
  それで,先ほどの御指摘の部分と若干かかわるというところで,やはりソーシャルボンド人材バンク,これはこんなものがあるといいかなということですね。実際に,そういう人たちがたくさんいるということをお伝えしたいと思います。
  それから,4番に書いてありますけれども,学校と家庭の中間的な地域の居場所ということで,学童保育,児童館というのを活用できないか。実際に活用できるわけですけれども,それがあると非常にうまくいきますし,学童保育に不登校生が行っている例というのはかなり多いです。児童館にもたくさん行っています。という点で,可能性があると思います。
  それから,これもずっと議論の中で出てきたもので,高校進学という節目の時期が学校復帰には非常に適しておるというような御指摘,たくさんあったと思います。そこにかなり集中して考えていったらどうだろうかと。これは私どもの今までの経験でも,締め切り効果というのはかなりあるんですね。来年は高校だよということで,本人も自覚して進学先を求めるようになる。という意味で,どうだろうかと。
  それから,最後になりますけれども,これは先ほど,ちょっと内容が違うよと,カウンセラーはこういうことを言っていないよというような御意見がありましたけれども,お送りいただいた資料の中で,「見守る」,「動き出すのを待ちましょう」というのがこの資料の中に8回も出てきます。今日配られた資料にです。それだけで8回も同じような指摘が出てくるということで,1つの方法として,これはわりとコンセンサスが得られているんではないかと,こんなように感じております。
  あとの資料は参考にということでございます。時間をとりまして,どうもすみません。

  きちんとした資料までおつくりいただきまして,御説明ありがとうございました。何か御質問,あるいは,今のご発表の中の内容に関連する御発言ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
  今日は不登校の要因・背景,それから学校の取組,学校外の取組,それからその他の課題ということで議論を深めてまいりましたけれども,もう時間も残り少なくなりましたけれども,全体,最初からここまでを見通していって,ここで発言をしておくべきだったというようなこと,あるいは,さらに補足,あるいは強調すべきことがございましたら。

  時間もございませんし,ちょっと今,皆さん方の御意見を聞いていて,少し感想めいたことにもなるかもしれません。
  今お伺いしていますと,やはり研修の面にしましても,あるいはいろいろな教頭,校長の役割にしましても,あるいは外部との機関にしましても,システムづくりも御提案いただいたんですが,一般的な教員の資質の向上という面での研修やいろいろなシステムづくり,これは大変重要なことだろうと思いますが,果たして,それだけでしのげるかなという気が少しいたします。
  ある意味では,先ほどソーシャルボンドも引き合いに出していただきましたが,いろいろな外部機関とのネットワークをつくらなきゃいけない。さらには,学校の中に,先ほど御紹介いただいたように,個別のケースを通じて研修を深めながら教員の技量アップをして,なおかつそのケースに対応していく。あるいは,アセスメントと言われるものも,かなり長期的な見立てといいますか,そういうものを含み込みながら,絶えずそれをフィードバックして,そして,アセスメントと対応とを同時に並行して進めていかなきゃいけない。あるいは学級経営,あるいは学年経営という視点を踏まえながら,この問題へ対応していくということになりますと,つまり,ある意味では,毎回申し上げていますが,1つは,いろいろな学校の学内,学外とうまくリンケージできる役割を担い,なおかつ指導をする権限を少し持たせた1つのポストといいますか,あるいは役割といいますか,こういうかなり高度な,そこには不登校だけじゃなくて,非行問題,あるいはいじめ問題,あるいはいろいろな子どもたちの問題が今,錯綜しているわけです。この問題だけに特化したものではなくて,そういう問題に対応できる技術と知識の集積をその中で学校で図りつつ,そういうポストへ結び付けていくという,こういう高度な1つの専門的なポストというのがそろそろ要求される段階になってきたのではないか。このままの事態で,今の様々な技量アップ,一般的なレベルアップを図っていって,果たしてこの問題がどんどん増え続ける不登校に対して適切な対応策をそれだけで打てるかどうかというのは少し,皆さん方の今日の総括を聞いていて感じた感想でございます。何かそういうものを検討していく,すべき段階に来ているような気がいたします。

  ありがとうございました。今日の流れを上手に整理していただく形で御発言いただきました。ありがとうございました。特に組織面でどう対応していくかということが,学校を中心ということと同時に,学校の外の関係機関,あるいは関係団体との連携,あるいは家庭,地域との連携,こうしたものを全部視野に入れていくような形で今後対応していくことについて,どうあるべきかということについての示唆も含んだ御発言をいただきまして,ありがとうございました。
  ここで,特に御発言はよろしゅうございましょうか。
  では,本日の議論はここら辺までとさせていただきまして,では,今後の進め方についてお諮りをさせていただきたいと思います。
  次回の会議についてでありますけれども,私のほうで事務局と相談をした上で,本日いただきました御意見を踏まえてさらに意見を整理しまして,報告のスケルトンを作成し,これをたたき台として今後の議論に結び付けていこうかと,こんなふうに思っております。今月もう1回会議が予定されていますね。それから,2月の会議は2回予定をして,文案を検討の上,審議のまとめの公表に向けて議論を深めていくことにしたいというふうに考えているわけでございますけれども,よろしゅうございましょうか。
  ありがとうございました。
  また,本日の会議で言い足りない内容で,先ほど申し上げました骨子案に盛り込むべき事項がございましたら,事務局のほうに早めに御提出を願いたいというふうに,よろしくお願いしたいと思います。
  それでは,次回以降の日程等につきまして,事務局から御説明をお願いいたします。

  日程につきましては,今,主査のほうから御紹介いただきましたように,資料8を1つの目安と考えております。また,具体の資料のスタイルですとか,あるいは,パブリックコメントの具体の日にちですとか,そういうのは審議状況を見据えまして,また御相談させていただきたいと思っております。あくまでも現段階での案ということで資料8を御参照いただければと思います。
  なお,次回会議は,こちらにございますように,1月28日(火)午前10時から,場所は本日と同じフロラシオン青山,こちらの部屋にて開催いたしますので,よろしくお願いいたします。

  ありがとうございました。
  では,予定の時刻となりました。本日はこのあたりまでとさせていただきます。
  委員の皆様には,今日も大変内容のある御発言をいただきまして,ありがとうございました。

−−−  了  −−−

(初等中等教育局児童生徒課生徒指導室)

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