マッハIIIピンポイント整備入門

電装編その1

KAのディストリビューター周りのメインテナンス
今回はマッハシリーズの弱点のひとつである電装系のメンテナンスについて簡単にできることから ちょっとした工夫まで紹介して
いきたいと思う。 モデルはKAで行っているが 一番凝ったややこしい構造をしているKAで書いていくことで H2やSシリーズにも
なにかしらのヒントになると思う。

まず最初は KAのデスビ周りのメンテナンスについて紹介する。
マッハを専門店から買ったのは良いが 暫く乗っているうちに元気がなくなってきた また 5500回転辺りで頭打ちし
無理にアクセルを開けても吹き上がらない 吹き上がりが重い時などは キャブや内燃系とともに ハイテンションコードや
プラグキャップ類を疑って掛らなければならない。
とくにKAのデスビ周りは通電不良を来たす部分が多いので ちょっとしたメンテナンスで驚くほどよくなることも多いのだ。

次は 発電系のチェックの仕方の実際を紹介する。
ディスチャージランプが点きっぱなし またはぼ〜っと点灯しているのに夜走っていて気がついた とか バッテリーが沸騰して液が
無くなってしまうといったトラブルは無いだろうか。

最後に コードやプラグキャップについて今一度見直して 実際にどんなものをチョイスすれば良いか考えてみた。

例によって書いている本人がド素人なので 間違ったことも書いてあるかもしれないこと また ここに書かれていることぐらいは
(自信を持って!)誰でもできるだろうということをお断りしておきたい。



KAでは 右カバーを外すとオイルポンプとデスビキャップが見える。
H2やH1B、Sシリーズでは各気筒に対して一系統ずつの点火系があるが KAの
特異的なところとして ピックアップからCDIそしてイグニッションコイルまで一系統で
きて この電気をこのデスビで各気筒毎に点火を分配しているのである。
この機構に関してはメーカーも色々と試行錯誤したのだろうと思われる。
このデスビ周辺に雨水が溜まり リークすることで走らなくなることが多々あったために
カバーに水抜きドレーンが設けられ、 コードとオイルポンプレバーが干渉しないように
設けられたカバーは アルミ製のものから写真のようなプラスチック製に変更された。

現在分かっていることは このコードを現在の品質の良いものに交換することで
雨天走行時にも(旧型のカバーであっても!)止まらなくなるらしいということである。
ハイテンションコードやプラグキャップについての考察等は 電装編その3に譲ること
にする。

デスビキャップを外すと デスビローターが見える。
今回は KAのパワーダウンの原因に関与していることが多いデスビキャップと 
ハイテンションコード周辺のメンテについて書いてみたい。

KAの場合 1気筒だけ火花が出ない もしくは弱いと言ったトラブルはデスビから
プラグまでに問題があることが殆どである事を必ず頭においておいて欲しい。

デスビキャップの裏側にはデスビローターとの接点端子が120度毎に三本見える。
イグニッションコイルから来た電気は中央のカーボンブラシヘ伝わり
ブラシはデスビローターの中心と接する。
ローターの端の接点からこれらのキャップ側の端子に向けて(あくまでも接するのでは
なく)放電して電気が流れるのである。
そしてハイテンションコードからプラグへと電気が流れるのだ。

デスビキャップの接点には1000キロぐらい走ると矢印のようなスパークかす
付着する。 恐ろしいことにこのスパークかすの部分はテスターでみると導通がない。
ゆえに一定距離を走る毎に掃除してやらなければ火の飛びが悪くなる。
簡単に取れないので400番ぐらいの耐水ペーパーでやさしく削り落とそう。
しかし端子は柔らかい材質でできているので 削りすぎると無くなってしまうぞ〜。

…そして ローター側のスパークかすも忘れずに掃除すること。
真ん中の接点は デスビキャップ側のカーボンブラシが接し、外側の接点からは
キャップ側の接点に電機が飛ぶようになっている。

スパークかすはボンスターでとれることもあり なるべく接点が減らない方法で
掃除するようにしよう。

接点にCRC等の油分がついていると スパークかすの原因になるという話しも
聞いたことがあるが 要は時々点検して掃除する事が大事だと思う。

後期のローターシャフトを使用しているときはそれほどではないが
前期のシャフトと前期のローターを使っている場合、ローターを差し込む部分に
グリースを塗布しておかないと いざ外したい時に にっちもさっちも行かなくなること
があり(経験済み!)ローターを外した時は シャフトにうす〜くグリースを塗布する
ことをお薦めしておく…。
各接点端子とハイテンションコードとの間は 良導性材質の木ネジで留まっている。
このネジとコードが曲者である!
はっきり言って KAの点火系の通電不良の一因で 大の弱点のひとつなのだ!
時々はこのネジを外して点検するようにしよう。
これがハイテンションコードをデスビキャップの端子と留めている木ネジである。
これを端子からねじ込むと ハイテンションコードに突き刺さり導通するという
単純な仕掛けである!

良導性の材質なので銅を多量に含んでいるらしく たいへん錆易いのが問題点である。
これだけ錆びているだけでも通電不良の元になるので 充分に錆落しをペーパー等で
行うようにしよう。
木ネジは磨いた後グリースを薄く塗布する。
防錆対策をしないとこの木ネジがデスビキャップから緩まなくなることも多いそうだ。
雨の日に走ると翌日には錆び始めるので要注意だ。

デスビキャップの木ネジを外した穴から覗いて 錆がひどければ
なるべく細いドライバー等で錆を落すようにする。

接点端子が磨り減って 木ネジが止まる部分の端子が錆びてきたら
残念ながらデスビキャップの寿命と考えて交換する。
しかし 時々点検するだけで劣化を防ぐことも出来るはずだと考えたい…

純正タイプ(ヤザキやスミトモ)のハイテンションコードは 耐久性が低く マメに交換
する必要があるように思われるが 入手方法がハッキリしないので この件に関して
検討していく事にする。(電装編その3につづく)

この頃のコードは中に8本ほどの銅線が通っている。
そこに向けて横から木ネジを食い込ませて通電させているのだ。 この穴の中も錆びて
緑青がふいてくる。 穴から覗いて銅線が錆びていたら コードを5ミリほどちょん切って
プラグ側で新たに木ネジを食い込ませるしかない。

このタイプのコードは 実は2〜3年おきぐらいに交換した方が良いと言われて
いるほど劣化が早い。 劣化するとたちどころにリークするようになる。
リークは雨の日だけではなく、高回転で横に漏れるようになることもあり アクセルを
開けても回転が頭打ちになってくる。

純正タイプのプラグキャップも結構傷みが早いので 元気に走るマッハに乗りたい人は
早めに思いきって交換する方が良いだろう。
このデスビ周りの問題点はKAのみのものであるが H2やSシリーズでもコード不良や
プラグキャップの不備で調子が出ないものが多いので参考にしてみて欲しい。

これらのメンテナンスで 驚くほどよく走るようになるので完調を目指すオーナーはぜひ試してみる価値があると思う。




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