特集 第45回衆議院議員選挙

衆院解散、なぜ「バンザイ」

 衆院の解散は、いわば議員に対するリストラ宣告。しかし、毎回のように議員が万歳三唱するのはなぜなのか。明治時代に始まったようだが、由来をめぐっては専門家の間でも諸説あるという。
 政治制度論が専門の前田英昭元駒沢大教授によると、1897(明治30)年12月25日の衆院解散で初めて万歳の記録が出てくるという。当時の衆院議事速記録では、鳩山和夫議長が「朕帝國憲法第七條ニ依リ衆議院ノ解散ヲ命ス」と詔勅を伝達した後、「拍手起リ『萬歳』ト呼フ者アリ」と記載。翌日付の東京朝日新聞にも「孰(いず)れも萬歳を絶叫して」と解散の模様が紹介され、これ以後慣例化したようだ。
 ただ、由来となると専門家の間でも、「やけっぱち」「内閣への降伏」「ときの声」「天皇陛下万歳」などとさまざまで、根拠薄弱な説も多いらしい。前田氏も「士気を鼓舞するため」と話すが、推測の域を出ないという。
 そこで、1897年解散時の東京朝日新聞記事を拾ってみると、解散直後に帝国ホテルで行われた「大懇親會」で、議員69人が「天皇陛下萬歳を三唱」。1902(明治35)年の議事速記録には、帝国議会停会を告げる詔勅が発せられた際、「拍手起ル又『天皇陛下萬歳』ト呼フ者アリ」とあり、「朕=明治天皇」に対する万歳との説に分がありそうだ。(2009年7月21日配信)

新着

会員限定

ページの先頭へ
時事通信の商品・サービス ラインナップ