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【図解・社会】東日本大震災2年・ベトナムの原発計画(2013年3月3日)

◎ベトナム、原発14基新設へ=事故後も日本発注揺るがず【震災2年】

※記事などの内容は2013年3月3日掲載時のものです

 【ハノイ時事】先進国で原発政策の見直しが進む中、アジアの新興国では多くの原発新設計画がある。ベトナムは2020年までに東南アジア初の原子力発電所を稼働させ、30年までに14基を建設する方針。経済の急成長に伴って膨らむ電力需要を賄うため、南部ニントゥアン省に建設する第1原発をロシアに、第2原発を日本に発注する。両国とも大きな事故を起こしたが、ベトナム当局は「事故の経験が安全対策に生きる」として発注姿勢を変えず、着々と計画を進めている。
 日本は10年10月、原発建設協力でベトナムと正式合意。その後は東京電力福島第1原発事故を受けた民主党の「原発ゼロ政策」で不透明感も漂ったが、ベトナム側は一貫して「日本発注」の姿勢を変えなかった。安倍晋三首相は13年1月、政権発足後初の外遊先としてベトナムを訪問し、日本にとっても初の原発輸出を確認した。
 「20年に工業国の仲間入り」を目指すベトナムにとり、十分な電力供給は必要不可欠だ。天然ガスなどの国内資源を今後10年以内に使い果たすとの試算もあり、発電量に占める原発比率を30年に10.1%に引き上げるとの目標を掲げ、14年にも第1原発に着工する。共産党一党独裁体制のため政策批判はご法度で、「原発反対運動は公にはない」(ダラット原子力研究所のグエン・ニ・ディエン所長)。
 しかし、国民の間では安全への不安もくすぶる。12年5月にはブログで反原発の署名運動が行われ、ハノイの日本大使館に輸出停止を求める抗議文書が届けられた。さらに、グエン・クアン科学技術相は同年10月、安全面での懸念やインフラ整備の遅れを理由に、「現時点でスケジュール通りできるか決めるべきではない」と述べ、着工先送りを示唆した。
 日本が輸出する原発は、順調なら15年にも着工、20年に稼働する。しかし、日本側が今年5月にベトナム電力公社(EVN)に提出する予定の事業化調査には、日本の3社が米仏のメーカーと協力してつくる4種類もの原子炉が併記され、受注合戦はこれから始まる。具体的な設計や資金計画も含め、実際に動きだすのは原子炉が決まってからで、「3年から5年の遅れは確実」(メーカー)とも言われる。
 国家予算が年間4兆円に満たないベトナムで、1基5000億円とされる原発を相次いで建設するのは大きな負担にもなる。原発には政府開発援助(ODA)が使えないため、日本は国際協力銀行(JBIC)の輸出金融で協力する方針だが、条件をめぐる交渉も難航しているもようだ。 

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