2005年7月26日(火)「しんぶん赤旗」

橋梁談合

内田道路公団副総裁を逮捕

分割発注指示 「官製談合」に発展


 日本道路公団が発注した鋼鉄製橋梁(きょうりょう)工事をめぐる談合事件で、東京地検特捜部は二十五日、独禁法違反(不当な取引制限)容疑のほう助と背任容疑で、公団副総裁内田道雄容疑者(60)を逮捕し、公団本社や同容疑者宅などを捜索しました。メーカーに天下った道路公団OBを中心とした橋梁談合は、公団現職ナンバー2で技術系トップも関与した「官製談合」に発展しました。内田容疑者はメーカーへの天下りも指示していたことが本紙報道(十八日付)で明らかになっていました。

 調べによると、内田容疑者は昨年五月、公団が発注した「富士高架橋」(静岡県)の工事について、受注調整を主導した元理事神田創造容疑者(70)=独禁法違反容疑で逮捕=からの依頼を受け、分割発注するよう内部に指示し、談合を容易にした疑い。さらに、分割発注によって、少なくとも約五千万円の不必要な支払いを公団にさせ、損害を与えました。

 富士高架橋は、公団発注工事では昨年度の中では大規模工事。本来、三社の共同企業体(JV)に一括発注する規模でしたが、内田容疑者が昨年五月、公団内の会議で、同工事を二つに分けて発注するよう指示。五社が受注できる仕組みにしていました。

 一つの工事は昨年八月二十四日、三菱重工業など三社のJVが約六十九億円で落札。もう一方の工事は、技術的理由で着工していません。内田容疑者は分割発注を指示した当時、技術系トップの技師長。昨年六月から副総裁を務め、国会答弁など公式の場で、一連の談合との関与を全面否定していました。

■解説 氷山の一角全面解明を

 公団総裁につぐナンバー2で、実質的に公団を仕切る立場にあった内田容疑者の逮捕は、官製談合の深刻さを示しています。国民に被害を与える官製談合の構図は鋼鉄製橋梁工事だけでなく、トンネル工事など他の工事も同じです。

 さらに、官製談合は政治家の関与・利権の温床ともなってきました。さきに逮捕された公団元理事は在職中、政治家の陳情窓口となっていました。

 今回の逮捕はまさに氷山の一角であり、今後の全面的解明が重要です。(山本豊彦)


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