日本共産党

2003年5月3日(土)「しんぶん赤旗」

白装束集団 パナウェーブ研究所

撤去命令無視 県が告発状

岐阜・清見村


 白装束の反共カルト集団「パナウェーブ研究所」は二日、岐阜県清見村に移動し、同村の国道472号に駐車を続けました。県高山建設事務所は同日午後、道路法に基づき路上に設置した白い幕などの撤去を命じましたが、これに従わなかったため、同法違反容疑で集団代表の告発状を高山署に提出しました。

 集団は一日夜、岐阜県八幡、大和両町から六日ぶりに移動。二日午前二時半、この現場から北東約二十キロの国道472号に車十数台を駐車し、数台の周囲を白い幕で覆ったほか、ガードレールにも白い幕を掛けました。

 三日未明、二十三時間にわたって駐留し続けた同所から南の方向へ移動を始めました。

 一方、県警は、各車両のフロントガラスなどにシールがびっしり張られた状態が道交法違反(整備不良)に当たるとして、はがすよう集団側に警告を続けました。

“霊界交信”売り物に反共を掲げ選挙妨害

 「反共」を唱え、「電磁波攻撃」など意味不明の主張を繰り返す白装束集団。一九八〇年代以降の取材メモや最近の言動からそのルーツと軌跡を探ると──。

 「リバ リッシオラ セヌア タルアダ クロアャッセ モラナシ…」

 故高橋信次氏が始めた“霊界原語”。「私は◯◯さんの指導霊であり…」の意味だといいます。(高橋著『縁生の舟』)。こんな“霊界交信”で◯◯さんの過去世(前世)もわかる。白装束のパナウェーブ研究所こと「千乃正法会」をさかのぼると、ここに行きつきます。

 会社社長だった高橋氏は一九六六年、宗教団体「神光会」を設立。翌年GLA(ゴッド・ライト・アソシエーション)に改称し、高橋氏はエルランティ(真のメシア)と名乗ります。

 同氏は六七年に死去。当時大学生の長女佳子氏を後継者にし、ミカエルを名乗りましたが内部が混乱。幹部の園頭広周氏が「国際正法協会」を設立するなど、分裂が相次ぎました。

 幸福の科学の大川隆法総裁の父親もGLA信者で、大川氏も「(高橋の)著作から大きな影響を受けた」(『新宗教事典』)一人。やはり“霊界交信”で売りだし高橋氏を釈迦(しゃか)やキリストとともに「最高指導霊」と位置付けてきました。

 GLA本体は高橋佳子氏をリーダーに「こころの看護学校」などと称する自己啓発セミナー風の活動を展開しています。

 白装束のリーダー千乃裕子氏(69)も七七年に独立。千乃氏もエルランティやミカエル大王妃とも称しました。

 他のグループとの違いの一つが、自ら「反共を目的とする組織」と名乗ること。八〇年代初期には「慈悲と愛」と名乗り、選挙のたびに出没して日本共産党を攻撃する文書を配布。その内容は論理的な脈絡なしに共産党をすべての悪の元凶に仕立てたもの。当時、東京都下の事務所には、共産党を倒し自民党をたすけるのは「天からの指示」だとするポスターがかかっていました。

 その後しばらく鳴りをひそめ、組織の高齢化や弱体化も伝えられていましたが、最近“共産ゲリラによるスカラー電磁波攻撃”を持ち出してパナウェーブ研究所を旗上げしました。

 スカラー電磁波なるものの存在を主張するグループは他にもあり、国際勝共連合機関紙「思想新聞」も「スカラー電磁波という方向性なく潜り込んでいくもの」(九九年七月十五日)があるなどと書いていますが、白装束集団がこの論法を借用しただけなのか、何らかの関連があるのかはまだわかっていません。

 九七年ごろから「電磁波の調査」として各地を転々とし、地元住民とのトラブルを繰り返していますが、同時に閉鎖された組織内部で被害妄想的な問題を起こす危険を指摘する声も出ています。


オウムとは違うが指導者にあせりも

 浅見定雄・東北学院大名誉教授(宗教学)の話 オウム真理教(現アレフ)との類似が言われているが、(1)信者を積極的に増やさない(2)「ポア」のような悪事を正当化する理屈を持たない(3)第三者から財産を収奪する例がない─などの点で、大きく違う。オウムが外向きの破壊型カルトだとすれば、内向き、同好会型だ。大きな拠点もなく、車で移動を続けている限り、サリンプラントのようなものを作る危険はない。外部に攻撃を仕掛けるような資金力も大きなネットワークもない。ただ、最近の出版物などからは、指導者のあせりやいら立ちが感じられ、内部での「信者いじめ」などの動きが問題になる可能性がある。


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