引退を決めた世界選手権代表の佐野明日香(自衛隊)が姿を見せる【2009年11月23日】



 昨年の全日本選手権女子72kg級チャンピオンで、今年アジア選手権2位を経て世界選手権へ出場した佐野明日香(自衛隊)が、古傷の悪化で引退を決意。全国社会人オープン選手権の会場に姿を見せ、引退への経緯を説明してくれた(右写真=自衛隊の伊藤広道監督と試合を観戦する佐野)

 佐野は帝京大から自衛隊に進んで柔道に親しんでいたが、2006年秋頃には、ひざのけがが原因で燃えるものがなくなっていた。宙に浮いていたところをレスリング班に誘われ新しい世界に挑戦。2年をかけて全日本チャンピオンとなり、2年半で世界選手権に出場するまでに力をつけた。しかし、ひざのみならず、首やひじのけがにも襲われており、今年初めには引退が頭をよぎっていたそうだ。

 9月の世界選手権(デンマーク)前には思ったような練習ができず、世界選手権出場という思い出とともにマットを去ることにした。「あっという間の3年間でした。悔いはあるけれど、よく考えた末の結論です。けががなく、もっと若ければ、もっと思い切ってレスリングに打ち込みたいというのが正直な気持ちです」と、レスリングへの愛情たっぷりに“早すぎる引退”を振り返った。

 一番の思い出は、全日本合宿で浜口京子選手と練習を重ねられたことで、「あの時間がとても幸せな時間でした」と振り返る。世界選手権のほかワールドカップなどの国際大会で闘って世界で勝つ厳しさを痛感しており、「この中で長年にわたって闘いを続けている浜口選手のすごさを、大会に出る度に感じていました」と言う。

 佐野をスカウトした時の宮原厚次監督は「短期間でよく力をつけてくれた。世界の金メダルを取らせたかったが、けがでは仕方ない。ご苦労様。柔道の基礎のある選手なら、3年もあれば世界で闘える選手になれることを証明してくれた」と苦労をねぎらった。

 引退後は故郷・愛媛への異動を希望している。レスリングをやれる環境はないが、健康のための柔道はできそうで、「時にはこうした大会(全国社会人オープン選手権)に出てくるかもしれません」と言う。宮原前監督は「早くいい人を見つけて、二世にレスリング世界チャンピオンの夢を託してほしい」とエールを贈った。


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