第3話
ジオン自治共和国
YMS-03 ヴァッフ
型式番号:YMS-03
頭頂高:17.34m/全幅:8.8m

膨大な予算と開発期間を投じて、独立戦争の主力兵器たる人型機動兵器=モビルスーツの開発計画が進行していたが、宇宙世紀0074年において、試作実験機であるモビルワーカー01式 最後期型では最大の懸念事項であった動力用融合炉の小型化が実現できずにいた。その結果、兵器開発の最高権限を持つギレン・ザビによってモビルスーツ開発計画は中止の危機に直面する。そうした状況を打破し、モビルスーツ開発計画の継続を決定づけたのが、トレノフ・Y・ミノフスキー博士が提案した試作機YMS-03 ヴァッフの存在であった。YMS-03 ヴァッフは、ミノフスキー粒子を用いた技術を採用することで、動力用融合炉の小型化と流体パルスシステムを応用した駆動性能の向上を実現。その結果、宇宙空間での自在な機動性を獲得し、宇宙戦闘用の艦船や誘導兵器を凌駕する機動兵器としての可能性を提示した。また、モビルワーカー01式 後期型以降に採用されている腕部アタッチメント交換機能も継承。いくつかの武装を取り付けた実験なども行われた。事実上モビルスーツの始祖的な存在となるYMS-03 ヴァッフは、ごく少数が試作機として生産されるが、その後、時をおかずに、より実戦的な後継機体の開発も行われていたため、兵器として制式採用されることはなかった。機体名称となっている“ヴァッフ”は、“武器=武具”を指している。


ジオン自治共和国
モビルワーカー MW-01 01式
最後期型

頭頂高:15.0m/全幅:11.4m

サイド3のダーク・コロニーにて、ドズル・ザビ主導のもと開発が進められていた人型機動兵器の試作実験機、モビルワーカー01式を改良発展させた最後期の機体。モビルワーカー01式後期型を使用して行われていた駆動実験や格闘実験のデータや、テストパイロットからの意見をもとに各部に改良が施されている。外部からの攻撃ダメージからパイロットを保護するために、コックピット周りとなる胸部装甲を増加。後期型に採用されていた腕部マニピュレーターのアタッチメント交換機構はそのままに、肩部の可動性を拡大。脚部に関しても各部のバランスの変更がなされることによって、後期型に比べてより人体に近い機動性を獲得した。一方で、作業用機械であるという状況は変わりがないため、ライトやウインチなどの装備はそのまま残されている。しかし、兵器として運用するための最大の懸念事項であった動力用融合炉の小型化は実現されておらず、人型機動兵器として採用されるには至らなかった。


ジオン自治共和国
モビルワーカー MW-01 01式
最後期型 宇宙仕様

頭頂高:15.0m/全幅:11.4m

人型機動兵器=モビルスーツの開発に向けた実験機であったモビルワーカーは、兵器開発のカモフラージュとして宇宙空間や月面での一般作業用の機体として生産され、各作業現場において目的に応じた運用が行われていた。モビルワーカー01式 最後期型は兵器としての完成度には問題があったが、人型作業機械としては充分に使用に耐えうるものであり、人体に近い機動性の高さが見込まれて宇宙空間での作業用として採用された。基本構造は最後期型をそのままだが、肩部や背部、脚部に宇宙空間での姿勢制御用のスラスターとバーニアを装備し、ジオン自治共和国の周辺宙域における宇宙漂流物(デブリ)などの回収作業などに使用された。宇宙空間での姿勢制御技術や作業のデータは、そのままモビルスーツの開発の参考となっている。


ジオン自治共和国国防軍
8輪装甲車
全長:7m/全高:3.1m/全幅:3.8m
ジオン自治共和国軍に配備されている、自国で開発が行われた装輪装甲車。歩兵や人員、戦闘に必要な物資の輸送を前提としたAPC(Armoured Personnel Carrier=兵員装甲輸送車)として運用されている。8輪操舵、8輪駆動による高い走行性と不整地走破性を持ち、厚い装甲に覆われた車体によって搭乗者を保護しながら、1車輌で8人程度の人員を迅速に目的地へ運ぶことができる。人員の輸送を主目的とした車輌だが、車体上面には機銃座が配置されており、歩兵の援護や障害の排除などの支援攻撃を行うことも可能。ジオン自治共和国国防軍士官学校にも訓練用として配備されており、ガルマ・ザビによる「暁の蜂起」では、ガーディアン・バンチに駐屯する地球連邦軍の兵営への襲撃時に活躍した。


ジオン自治共和国国防軍
自走重迫撃砲
全長:7m/全高:3.1m/全幅:3.8m

ジオン自治共和国軍が配備する、重迫撃砲を自走砲化した車輌。迫撃砲とは、簡易構造の砲身を使い、砲弾を曲射弾道で撃ち出す支援火器である。最前線で行動する歩兵に随伴して使用するため、口径の大きい重迫撃砲を走破性の高い履帯を用いた小型の装軌車として自走砲化している。重迫撃砲本体は、通常状態では折りたたんだ状態で車両内に収納。使用時には天面のハッチを展開して、砲身を立ち上げて砲撃を行う。ジオン自治共和国国防軍士官学校の生徒たちに、訓練用として与えられた最大の火力であり、「暁の蜂起」では地球連邦軍の兵営へ侵攻するシャアが率いる歩兵部隊の支援に活躍した。


ジオン自治共和国国防軍
掃海艇
全長:21.4m/全高:12.7m/全幅:13.2m
コストパフォーマンスに優れ、その汎用性の高さから数多く生産されている地球連邦軍製の小型宇宙艇のバリエーション。地球連邦軍からジオン自治共和国国防軍に供与されたものを掃海作業用として、機首部にセンサーを内蔵したユニットを装着するなど機能変更がなされている。さらに、水平尾翼やスラスターが追加されることで、機動性が向上しており、2艇が連携して大型の網を展開し、浮遊するデブリを回収するなどの作業を行う。地球連邦軍の巡洋艦とジオン自治共和国の輸送艦による事故でまき散らされたデブリの回収に参加したガルマとシャアが搭乗していた。


ジオン自治共和国国防軍
デブリ回収船 タララ
全長:116.6m(アーム含め 192.3m)/全高:59.1m/全幅:39.2m(アーム含め 171.5m)
スペースコロニーにデブリが衝突するのを防ぐべく、各サイドに配備されているデブリ回収船の一種。先端部分に吸着器を配置した8本の大型のマニピュレーター型のアームが取り付けられており、直接浮遊するデブリを掴んで回収する機能を持っている。船体の前後に球状のコックピットが配置されており、それぞれが前方、後方のアームを操ってデブリの回収を行う。


ジオン自治共和国国防軍
デブリ回収船 タイソン


全長:75m/全高:33.8m/全幅:24.1m
スペースコロニー周辺のデブリを回収するための作業用船舶。船首部分には巨大な掃除機の吸引ヘッドを想起させるユニットが配置されており、スラスターを使って船体を推進させながら、前方に浮遊するデブリを吸着回収する。集めたデブリは粉砕され、後部のダストポッドに収める構造となっている。ヘッドユニットと本体の連結部分は自在に可動し、接近するデブリの軌道に向けることが可能。船体の左右には大型のデブリの保持や船体を特定の場所に固定して作業するためのアームも配置されている。


ジオン自治共和国国防軍
デブリ回収船 ハックマン

全長:132m/全高:37.3m/全幅:32m
スペースコロニー周辺でのデブリ回収のために使用されている作業用船舶。前後に削岩機を内蔵した大型アームを配置した特殊な構造の船舶で、もともとは小惑星の採掘船として使用されていたものを、デブリ回収船に転用している。そのため、コロニーに配備されている数も多い。船体の前後にコックピットが配置されており、その下部に配置されたアームを操ってデブリの回収を行う。アームの先端を大きく開くと、内部の削岩機が現れる。アームの内部に入ったデブリは削岩ローラーによって粉砕され、船体内部のコンテナに収められる構造となっている。