ハワイにおけるデング熱の発生

フランス公衆衛生院 2011年04月07日

2011年3月24日、アメリカ合衆国ハワイ州保健当局は、州で地域感染として発症したデング熱患者4例(確定症例2例、疑い症例2例)について公表しました。
この地域感染と考えられる感染は、ハワイ諸島で最も人口の多いオアフ島にある、Pearl City近隣の在住者に生じました。4例には疫学的につながりがあり、2月末に発症していました。

媒介昆虫の制御、および、島内の医師に対する注意喚起が現在行われています。これに加えて、他に感染の疑い例がないかどうか調査が行われています。

ハワイ諸島では、デング熱を媒介する原因となるシマカの種は、ヒトスジシマカ(Aedes albopictus)(BHI No.195[PDF形式:208KB])であり、ネッタイシマカ(Aedes Aegypti)は、1940年代にハワイ諸島から根絶されています。

今回の症例は、ここ10年間で見られたハワイで初めての地域感染したデング熱の症例です。
2001-2002年には、デング熱の流行がマウイ島、オアフ島、およびカウアイ島にて確認されていました。122件の確定症例を含む1,600名以上の疑似患者が報告されています。検査の結果、血清型でDEN-1型が分離されました。これは、系統発生解析によるとフランス領ポリネシアで流行している株に近いことが判明しました(参照Emerg. Infect. Dis. 2005[PDF形式:378KB])。

さらに大規模な流行が生じる可能性は否定できず、また、症例の輸出の可能性、特に太平洋地域にあるフランス領土への輸出の可能性も考えられますので、状況をよく監視していく必要があります。