英語の「Hibachi」は火鉢じゃなかった!
これがアメリカでは火鉢とは…。
時々日本語がそのまま英語の中で使われているのを見つけると、うれしいやら驚くやらですが、以前Excite Bitでシカゴのあらたさんが紹介されていた「Futon」と並んで、聞いてびっくり度の高いのが「Hibachi」です。

「火鉢」と言えば、大きめの植木鉢のような陶器や木製の机のような形で、中に炭を入れて暖をとるものですが、今時の若い人は、ほとんど知らないのではないでしょうか。
時代劇なんかで、色っぽいおかみさんが火鉢の前に座って、長い菜箸の様なもので灰を掻いているシーンを、思い浮かべてみて下さい。でもこの「Hibachi」どうも違う。どう見ても洋風卓上炭焼グリル。それはそのはず、アメリカでは暖をとるためではなく、バーベキューを調理するのに使っているのです。

「Hibachi」は、底の部分で練炭に似たチャーコールという燃料を燃やし、その上の網に肉や野菜をのせ、バーベキューに調理するというもの。狭い庭や、アパートのテラスで気軽にバーベキューができるとあって、一般家庭にはかかせない調理器具の一つとなっています。
英語辞書にもポータブル・バーベキュー調理器具の一般名詞として載っており、人気テレビドラマ「フレンズ」にも出てきますよ。

調べてみるとこの「Hibachi」、どうやら日本の七輪が火鉢と混同されて定着してしまったようなのです。なぜそうなったのか諸説諸々ありまして、 日本人がアメリカに輸出した際に、小さいのが七輪、大きいのが火鉢としたのが全部「Hibachi」になったとか、 戦後日本から引き上げていったアメリカ兵が持って帰った時に、発音しやすい「Hibachi」として紹介したとか、 定かではありませんが、日本のポータブル炭焼き調理器具であったことには間違いないようです。

しかも日本食レストランに行くと、炭網焼きの「Hibachi」セクションがあり、メニューにも「ステーキのヒバチグリル」や「サーモンのヒバチグリル」など、バーベキューと同意語として使われています。もうあまりにも堂々としていて、「それ違うよ」と言えないくらいポピュラーなのです。

最近では更に進化して、白木のテーブルの真ん中にぐるりと穴をあけて、そこにタイムカプセルのような形をした鉄製のバーベキュー調理器具をはめ込んだものが「Kamado」として発売されています。
ふたをすると400度まで温度があがり、とってもジューシーにテンダーに焼き上がるのだそうです。でも、かまどって飯を炊くところではないだろうか。

このように英語の「Hibachi」は、アメリカのバーベキューにかける情熱と、日本の知恵が融合した全く別のもの、「ウェスト・ミーツ・イースト」のポータブル・バーベキュー調理器具なのであります。(チン・ペーペー)