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福岡県外郭団体に謎の資産 約9億円(前)
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2012年2月 9日 16:00

0209_kensetugozyutu_.jpg 福岡県糟屋郡篠栗町にある福岡県の外郭団体(財)福岡県建設技術情報センター(以下、建技センター)に、使途が定まっていない資産が2011年3月末の時点で合計約9億円あることがわかった。問題の資産の内訳は、(1)現金預金約5億円、(2)試験研究積立預金約7,000万円、(3)運営強化積立預金約3億円。

 建技センターおよび同センターを所管する県土整備部交通企画課は、取材に対し、(1)について「07年から10年にかけて、景気対策の公共工事や耐震診断が増加した」ためと説明。前年から約2.8億円も増加したが、非営利目的であることが求められる公益法人として、公益事業などの使い道を考えなければならないのだが、"まだ決まっていない"という。
一方、(2)と(3)については、県が実施した平成22年度(11年4月1日公表)の「公社等外郭団体の経営評価結果」で、外部専門委員から「積立の目的が不明確」と指摘されていた。

<収入の大部分が県・市町村から>
 建技センターは、1995(平成7)年5月1日に設立された、福岡県が80%を出資する外郭団体。表向きは、特例民法法人として県から独立した組織とされているが、職員のうち32名が県職員の派遣でプロパーの職員はゼロ。さらに、2名の常勤役員(理事長・専務理事)には2名の県OBが"天下り"し、そのほか、副理事長に県土整備部長、理事に建築都市部次長と県幹部職員が名を連ねるなど、実質的には『県の出先機関』である。

 その事業内容は、(1)建設材料試験、(2)土木技術支援(積算・現場技術・検査補助など)、(3)建築技術支援(設計・工事監理・耐震診断など)、(4)県職員および建設業関係者への研修など。建技センターがHP上で公開している平成22年度の財務諸表によると、受託収入は(2)が約7億円、(3)が約5億6,000万円であった。

 同センターの説明では、(2)では約3億3,000万円が設計積算の入力作業を行なう人員を得るために人材派遣会社へ支払われ、(3)では民間への再委託料として約3億円が支払われているという。(3)の再委託について同センターは、「1級建築士を持たない市町村に代わって、民間が出してくる結果を検査・検証することができる」と説明。また、「07年から10年にかけて、景気対策の公共工事や耐震診断が増加した」「11年度からは耐震診断のラッシュも終息に向かっており、同年度では再委託の件数は減っている」という。

 しかしながら、これらの事業は、その大部分が県や市町村から受託したものであり、うち約半分が外部に流れていることを考えると、その存在意義に疑問符がつく。さらに、県民の納得のいく公益事業(使い道)を同センターの理事会が検討してなければならないが、『県の出先機関』という組織の特性上、その意思決定が"先送り"になりやすいという問題点が考えられる。

(つづく)
【山下 康太】

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