各地で被害をもたらしているゲリラ豪雨問題で、気象庁は2012年度をめどに局地豪雨が予測できる「局地予報モデル」の開発をめざす。11年度に更新を予定しているスーパーコンピューターを使い、予測の解像力を2倍以上に高め、現状ではとらえられない雲の動きを予測する。
気象庁は、全国に約17キロ間隔で設置してあるアメダス(地域気象観測システム)と、気象レーダーで各地の降水量をつかんでいる。さらに、物理学の方程式によって風や気温などの変化を計算して大気の状態を予測する「数値予報」のデータを使い、雨の降り方を予測している。
日本周辺の予報には、「メソ(中間)モデル」と呼ばれる数値予報が使われているが、気温や風速などのデータは5キロごとに予測している。これだと25キロ程度の大気の動きしかつかめないという。
一方、開発をめざす局地予報モデルは、数値予報データの間隔を2キロごとに縮め、ゲリラ豪雨をもたらすような数キロ〜10キロ程度の積乱雲の発生が予想できるようにする。メソモデルの計算は3時間ごとにしているが、局地モデルでは1時間ごとに短縮する。
同庁は07年度、雨や風の動きをより詳細につかめるドップラーレーダーを全国11カ所に配備している。このレーダーのデータも活用することで、ゲリラ豪雨を少しでも早く予測できるようにする。
大雨洪水警報などは現在、「東京23区西部」「北大阪」など広い範囲を対象に出している。同庁は10年度をめどに市区町村単位で警報を出せるようにする計画だ。(大久保泰)