陸上女子1万、23年ぶりの世界新 アヤナ、14秒更新

増田創至
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(12日、陸上女子1万メートル)

 陸上女子1万メートルで従来の記録を23年ぶりに14秒あまり更新する驚異的な世界新が誕生した。アルマズ・アヤナは人生で初めて両手を高く広げてゴールして、十字を切った。「決してできないと思っていた。神様のおかげです」

 エチオピアの山岳地帯にある小さな村の出身だ。貧しい家庭に育ち、コーヒー園で働きながら林の中を走った。コーチの夫も中距離のトップ選手。アヤナにとって、走ることは生きることと同義だ。

 五輪を連覇していた国民的ヒロインのティルネッシュ・ディババの活躍に、ラジオで聞いて憧れていた。出産を経て3連覇を狙った、そのディババとも戦った。「私に勇気と元気をくれた人。一緒に走るのは素晴らしかった」。レース後、ディババとともにウィニングラン。「新しいヒロインがやってきた」とたたえられ、静かにほほ笑んだ。

 アヤナが破ったのは、「二度と破られないだろう」と言われていた記録の一つ。書籍でドーピング違反を告白したと報じられた中国「馬軍団」の王軍霞の記録だ。

 アヤナはドーピングをしていないのか。記者会見で出た質問に「私のドーピングはトレーニングと神様。それ以外は何もない。私は澄み切ったガラスのようにクリーンです」と話した。(増田創至)

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