【4月14日 AFP】イタリアの元首相でメディア王のシルビオ・ベルルスコーニ(Silvio Berlusconi)氏が13日、31年間にわたり所有したイタリア・セリエAのACミラン(AC Milan)を中国の投資グループに売却し、新経営陣に自身の政権下で獲得した29のタイトルを超える成功を収めてほしいと求めた。

 ベルルスコーニ氏の下で欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League)を5度制したミランは13日、ロッソネーリ・スポーツ・インベストメント・ルクセンブルク(Rossoneri Sport Investment Lux)に7億4000万ユーロ(約900億円)で売却された。この中国資本グループは、ミランの株式を99.9パーセント保有することになり、イタリアサッカーの新たな時代の旗手となった。

 3回にわたってイタリアの首相を務め、スキャンダルにまみれた政治家生活を送ったベルルスコーニ氏は、1986年に当時低迷していたミランを買収し、クラブ史にさんぜんと輝く成功を収めた。

 近年は欧州カップ戦への出場もままならないミランだが、チャンピオンズリーグを5度、セリエAを8度、イタリア・スーパーカップ(Italian Super Cup)を7度、UEFAスーパーカップ(UEFA Super Cup)を5度制するなど、ベルルスコーニ氏の下で計29個のタイトルを獲得している。

 ベルルスコーニ氏は「本日、30年以上にわたって務めたACミランのオーナーと会長の座を離れることになった。つらく悲しいが、現代のサッカーで最高峰のレベルで戦うためには、外部からの投資が必要であり、ひと家族ではもはや支えられない」とコメントした。

「私はACミランの一番のファンであり続けるだろう。新たなオーナー陣の成功を願っている。私は彼らがわれわれ以上の輝かしい成功を収めてくれることを心から願っている」

「まず最初に、イタリアサッカー史に刻まれる偉業を成し遂げた偉大な選手たちに感謝したい。だが何よりもファンに心から感謝している。スタジアムを埋め尽くし、世界中から『頑張れ、ミラン!』とさけんでくれた数百万人のファン、はるか遠くの地から私たちを支えてくれたみんなに感謝を伝えたい」

「彼らなしではミランのこれほどの成功は存在し得なかっただろう。彼らがいたからこそ、われわれはすべてを勝ち取ることができた」

 ミランの親会社であるフィニンベスト(Fininvest)とロッソネーリ・スポーツ・インベストメント・ルクセンブルクは、共同声明で、「本日フィニンベストは、ACミランの全株式をロッソネーリ・スポーツ・インベストメント・ルクセンブルクに売却した」と発表している。

 ミランで指揮を執った1992年から1994年にかけてリーグ3連覇を果たし、1994年にはチャンピオンズリーグ制覇を果たした元監督のファビオ・カペッロ(Fabio Capello)氏は、伊スカイ(Sky Italia)に対し、ベルルスコーニ氏がクラブを手放したことについて「私にとっては素晴らしい日ではない」と語った。

「私はベルルスコーニ氏にすべての恩がある。監督の職に就いた最初の日から、彼は私にスペクタクルと勝利の両立を求め、開いた口がふさがらなかった」

「新たなオーナー陣が欧州のトップクラブと渡り合えるよう資金を費やしてくれることを願っている」(c)AFP/Justin DAVIS