【2月5日 AFP】中国の公安当局は、中国本土で昨年失踪した香港(Hong Kong)の出版社「巨流(Mighty Current)」の関係者3人について、身柄を拘束していることを初めて認めた。香港警察が4日夜、中国南部広東(Guangdong)省の公安当局からの通知を公表した。

 多くの香港市民が疑っていたことが事実だと判明したかたちだ。「一国二制度」の原則の下で高度な自治を維持してきた香港で、市民に保障されてきた権利が侵害されつつあるとの疑念や懸念が広がっている。

 中国の公安当局が拘束を認めたのは、呂波(Lui Por)氏、張志平(Cheung Chi Ping)氏、林栄基(Lam Wing Kee)氏の3人。いずれも中国政府に批判的なゴシップ本などを扱う香港の出版社「巨流」に務めていたが、昨年10月に中国南部で行方不明となっていた。

「巨流」をめぐっては、スウェーデン国籍を持つ桂民海(桂敏海、Gui Minhai)氏が同じく10月にタイで失踪したほか、12月には香港市内で李波(Lee Bo)氏が姿を消し、大きな騒ぎとなった。5人全員が中国本土で身柄を拘束されていることが判明したことで、国際社会から中国に対する批判が殺到している。

 米国政府は1日、5人の失踪に関する説明を中国側に要求した。米国務省報道官は失踪によって「香港の自治に対する中国の責務に深刻な疑問が生じた」と述べている。

 今回の香港警察宛ての通知で、広東省公安当局は3人の身柄拘束について、「桂」氏に関する事件への関与が疑われており、中国本土での違法行為に関与したとして取り調べていると説明しているという。通知には香港で失踪した李波氏の手紙も同封されており、この手紙の中で同氏は中国当局から香港警察が面会を求めていると聞いたが今はその必要がない、などと述べているという。

 5人のうち桂氏は1月、中国本土の国営テレビを通じ、11年前に起こした交通死亡事故を悔いて自ら中国当局に出頭したと「告白」している。(c)AFP/Laura MANNERING