【1月17日 AFP】米サンフランシスコ国際空港(San Francisco International Airport)で昨年7月に発生した韓国アシアナ航空(Asiana Airlines)機の着陸失敗事故で、機内から救出された後に消防車にひかれて死亡した16歳の少女について、救急隊員らが滑走路に横たわった少女の存在に気付いていながら助けられなかったことを示す映像が公開された。

 韓国ソウル(Seoul)発サンフランシスコ行きのアシアナ航空214便は昨年7月6日、サンフランシスコ国際空港への着陸時に護岸に接触し、滑走路を滑って炎上した。この事故で乗客3人が死亡したが、犠牲者の1人、中国人女子高生の葉夢円(Ye Mengyuan)さん(16)は機内から救助された後、機体主翼そばの滑走路上に寝かせられていたところを消防車にひかれて死亡した。

 消防車は、葉さんの体が消火剤に覆われていたため確認できなかったとされ、米検察当局は昨年10月、消防車の運転手を起訴しない方針を決めている。

■「そこに人体が」、叫ぶ消防隊員

 しかし、米CBSテレビは16日、葉さんの遺族に近い人物から入手したという動画の一部を放送。動画には、消防隊員が滑走路に人が横たわっていることを認識していた可能性が示されていた。

 動画は救助隊員を乗せて近づいてくる車両を映したもので、映像の中ではヘルメットにカメラを取り付けた消防隊員の男性が手を前に突き出し、「そこに人体がある。君の目の前だ」と叫んでいる。しかし消防隊員らは少女の生死の確認をせず、横を走って通り過ぎていく。

 サンフランシスコ消防局は、この映像に関するコメントを拒否した。同消防局は既に葉さんの遺族に謝罪している。一方、動画が警察当局から提供されたとの報道も出ているが、警察幹部のゴードン・シャイ(Gordon Shyy)氏は「継続中の捜査の資料を公表することはない」と報道内容を否定した。

 葉さんの遺族の代理人を務めるジャスティン・グリーン(Justin Green)弁護士は、米CNNに「この動画は、何が起きたかを示すこれ以上ない証拠だ。少なくとも5人の消防隊員が彼女を見たことが裏付けられた。5人は彼女がそこに横たわっていることを知りながら、誰1人として生死を確認しなかった」と述べている。(c)AFP