【9月19日 AFP】シリアのバッシャール・アサド(Bashar al-Assad)大統領は18日、米FOXニュース(FOX News)のインタビューで、同国が保有する化学兵器の廃棄を改めて約束しつつも、少なくとも1年の期間と10億ドル(約980億円)の費用が必要になるとの見解を示した。また、シリアは内戦状態にあるわけではなく、他国が支援する国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)の戦闘員の攻撃を受けているだけだとも主張した。

 毅然とした態度でインタビューに臨んだアサド氏は、化学兵器廃棄へ向けた協力姿勢を改めて示したが、米国からの軍事攻撃を恐れたための行動ではないとも強調。廃棄については「技術的に非常に困難な作業だ。多額の費用もかかる。10億(ドル)ほどだ。なので、『迅速に』という言葉が何を指すのか、専門家らに聞かなければならない。(廃棄には)一定の工程がある。1年か、それより少し長い期間が必要かもしれない」と述べた。

 また、国民の抗議行動を鎮圧するために軍事力を使用し、2年半にわたり11万人の命を奪う内戦状態を引き起こすきっかけを作った理由について尋ねられると、シリアは「テロの犠牲者」だと強調。「現在シリアで起きているのは、内戦ではなく戦争であり、新しい種類の戦争だ」と述べ、イスラム主義者のゲリラ兵が80か国以上から戦いに加わっているとの見解を示した。

 さらに「数万人のイスラム聖戦士が国内にいる…われわれはその現場におり、この国で暮らしている」と述べ、約10万人いる反体制派のうち3万人が強硬派だとした専門家らの報告書に異論を唱えた。「私が言えるのは、潜伏しているテロリストの80~90%はアルカイダの構成員とその分派だということだ」という。

 大統領はこの他、8月21日にダマスカス(Damascus)近郊で起き、市民数百人が死亡した化学兵器攻撃について、シリア政府軍は関与していないと断言したが、それでも国内にある化学兵器の引き渡しは約束した。(c)AFP/Dave Clark