【1974年10月30日】
最強王者フォアマンを倒し、頂点に返り咲いた伝説の一戦
1970年代前半、ボクシングのヘビー級に君臨していたのは、〝若き怪物〟ジョージ・フォアマンだった。ジョー・フレージャーやケン・ノートンといった強豪を、フォアマンはたった2ラウンドで撃破。一撃必殺のパンチは「象をも倒す」と恐れられた。そんな25歳の最強ハードパンチャーに戦いを挑んだのが、かつての王者モハメド・アリ。だが、峠を越えたアリは、すでに32歳となっていた。
戦前の下馬評は、ほとんどがフォアマンのKO勝利。アリはフォアマンに壊されるだろうと、誰もが思っていた。しかし迎えた10月30日、ザイール(現コンゴ民主共和国)の首都キンシャサで〝ジャングルの決闘〟と名づけられたタイトルマッチは、まさかの展開となった。
予想通り序盤は、フォアマンのパンチで、アリは何度もコーナーに追い詰められていく。しかし、アリの作戦は違った。アリはロープにもたれながら腕でパンチをブロックすることで、フォアマンのスタミナを奪おうとしていたのである。そして8ラウンド、スタミナの切れたフォアマンに、アリが一気に襲い掛かる。蜂のような鋭いパンチをヒットさせ、史上最強と謳われたフォアマンをマットに沈めたのである。ベトナム戦争への徴兵を拒否したことで、無敗のままヘビー級王座を剥奪されてから7年6ヵ月。アリは王座奪還を果たし、この世紀のアップセットを人々は、〝キンシャサの奇跡〟と呼んだ。
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