朝日新聞 「吉田調書」記事取り消し9月11日 20時10分
朝日新聞社の木村伊量社長らが11日夜、記者会見し、東京電力福島第一原子力発電所の吉田昌郎元所長が政府の事故調査・検証委員会の聴き取りに答えた証言記録、いわゆる「吉田調書」を巡ることし5月の記事について、「間違った記事だと判断した」と述べ、記事を取り消す考えを明らかにしたうえで、「経営トップとしての私の責任も逃れられない」として「抜本改革のおおよその道筋をつけたうえで、速やかに進退について決断したい」と述べました。
これは11日午後7時半から朝日新聞社の木村伊量社長と編集担当の杉浦信之取締役らが記者会見して明らかにしました。
朝日新聞社はことし5月20日の朝刊で「吉田調書」を入手したとして掲載した記事の中で、福島第一原発の2号機が危機的な状況に陥っていた3月15日の朝、「第一原発にいた所員の9割にあたる約650人が吉田氏の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発へ撤退していた」と報じました。
これについて、11日夜の記者会見で、朝日新聞社は「所員への直接取材を徹底しなかったため、所員に指示がうまく伝わらないまま第二原発への退避が行われたということが把握できなかった。また吉田元所長が証言記録の中で『よく考えれば2Fに行った方がはるかに正しいと思った』と評価していた部分などを欠落させていた」と発表しました。
そのうえで、所員らへの取材が不十分で所長の発言への評価が誤っていたことが判明したとして、記事を取り消すことを明らかにしました。
今回、朝日新聞が取り消すとした「吉田調書」を巡る記事については、吉田元所長には撤退が命令違反との認識はなかったのではないかという指摘が出ていました。
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