バンダイナムコ、7年目の本気、AGEの苦戦にも焦りなく

2005年9月のバンダイと旧ナムコの経営統合から7年目。バンダイナムコホールディングス傘下にあるグループ企業の連携が、ようやく本格的に動き始めた。様々なキャラクターを玩具やゲーム、遊戯施設、アニメに複合展開する事業が次々と具体化。ネットでファンを一元管理し、グッズやコンテンツを効率的に売り込む戦略も始動した。事業会社幹部の主導のもと、事業モデルの構築と若手の意識改革を急ぐ。

日曜夕方5時放映のテレビアニメ「機動戦士ガンダムAGE」が苦戦中。ガンダムファン高齢化のなかで、小学生男児を狙い昨年10月スタートした期待作ながら視聴率は2%前後で推移し、「SEED」の5~6%などを下回る。
だが、バンダイの上野和典社長に焦りはない。年明けには肩を落とすAGE関係者に「右往左往するな」と声をかけた。
余裕のわけはガンダム事業全体の好調ぶり。2012年3月期の推計売上高は450億円と前の期比18%増えた。2010年に始まり30~40代の支持を集める「ガンダムユニコーン」がけん引役。

ユニコーンはテレビ放映せず、約10カ所の映画館で半年ごとに新ストーリーを公開するイベント上映方式。さらに上映と相前後してグループ各社がDVDやプラモデルを一斉投入する手法を初めて試みた。発案はアニメ制作会社サンライズの宮河恭夫専務。
関連商品の収益予測ができるよう、映像作品の認知度が高まった後にグッズやソフトを逐次投入するのが従来手法だが、チーフガンダムオフィサーでもある上野社長は、作品の公開と同時に各社が商材を投入すれば、ファンの熱気を一気にすくい取れると読んだ。

初代ガンダムの世界観を踏襲した同作品の動員数は昨年11月の第4話までに約20万人に達し、DVDは70万枚売れた。今年3月にはバンダイナムコゲームスがゲームソフトを発売。ゲームにはバンダイのプラモデルもキャラとして登場する。ユニコーン関連の売上高は2年で数十億円に膨らんだ。
玩具、コンテンツ、娯楽施設。統合7年目の11年前後から、特定キャラを複数商材に展開する形で事業会社の連携が加速し始めた。ユニコーンはその先駆。事業連携の効果は商機の拡大だけではなく、グループが抱える豊富な長寿キャラの再活性化も期待できる。

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