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【骨太対談】竹中平蔵 VS  ジェイアイエヌ 代表取締役 田中 仁
 
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【骨太対談】竹中平蔵 VS  ジェイアイエヌ 代表取締役 田中 仁
世界を変えるのはナンバーワン企業である
[2011-09-12 12:21:37]
経済学者で小泉構造改革を支えた竹中平蔵氏と、低価格でファッション性の高いメガネで、業界の常識を次々に塗り替えてきたジェイアイエヌ代表取締役の田中仁氏の対談が実現した。話題は消費者視点のマーケティング、自然エネルギー問題、世界のリーダー像と多岐にわたった。二人は対談を通して業界の未来を一新する、新しい価値に迫っていく。企画:徳永健一 ( 本誌副編集長)

 メガネ着こなしマニュアル

 竹中:ジェイアイエヌは低価格でファッショナブルなメガネを提供する事で、メガネを単なる視力矯正用具ではなく、洋服のようにかけ替えるアイウエアとしての提案をなさっていますね。その時の気分に合わせてメガネをかけ替えれば、きっと楽しいと思います。

 ところが、人によっては、自分に合った物を選べないことがあります。私は小泉内閣時代に同じ経験をしました。「明日からクールビズを始めるから、ネクタイをはずしてきてくれ」と言われたのです。ネクタイが無ければ襟元がはだけますから、だらしなく見えてしまいます。どう選べばいいか、多くの人が悩んでいました。

 田中:確かにネクタイをすれば、そんなに高価な物でなくても締まってみえますからね。メガネも「自分では選べない」というお客様はいらっしゃいます。

 竹中:そんな時、環境大臣だった小池百合子さんが面白い事をしてくれました。三越と一緒に、簡単なクールビズの着こなしマニュアルを作ったのです。「シャツは襟がだらけて見えるといけないからボタンダウンに。ベルトは茶で、靴はひも付き、この通りやれば70点はとれます」という具合のもので、今でも役に立っています。

 ですから「こういう服にはこのメガネが似合う。あなたにはこのメガネは派手すぎる」といったメガネのマニュアルを、社内のデザイナーや営業のプロの方に作っていただきたいのです。

 田中:なるほど。お店に来ていただいた方にそういったマニュアルをプレゼントするのもいいですね。クールビズなら確かにメガネもポイントになりますから、このシャツにはこのメガネ、という事を説明すれば楽しみながら選んで頂くことができますね。

 竹中:マーケットを広げるには消費者の教育も必要なのです。「あのメガネ屋さんに行けば、自分に似合うメガネがわかる」と思うわけです。面白いことに、着るものを自分で選ぶといつも同じような物になってしまいます。テレビに出演する時、何度かスタイリストがついたことがあるのですが、いつも「似合うわけがない」と思うような服を持ってきます。でも放送を見ると似合っている。ファッションに関しては、お客さんに自分の壁を取り払ってもらうことが、マーケットを広げるチャンスにつながるのではないでしょうか。お金は稼ぐ事より、上手く使う方が難しいのです。ここは押さえてほしいというポイントがメガネにあれば教えて欲しいですよ。

 田中:おもしろいですね!ぜひ実行します!
  
 世の中を変えるのはナンバーワン企業のみ

 竹中:実は私のおじも和歌山で小さなメガネ屋を経営していました。これまでのメガネ店は固定客を相手に、何年かに一度の買い替えの時にだけ商売をしていました。これは医者と同じで、売る方と買う方の情報量に圧倒的な差があり、客は言い値のままで受け入れるしかない状況が、高い利益率を保証していました。

 田中:私も創業時の調査で、製造から販売に至るまでの各社が大きい利益を上げて、お客様にしわ寄せがいっていた事を知りました。当時ユニクロのフリースがヒットし、SPA(製造小売業)という言葉が流行していましたから、メガネももっと安くできるのではないか、とチャレンジしたのがこの業界に入ったきっかけです。

 しかし、2006年に上場してからは、資金調達が楽になったこともあり、うかつな出店を繰り返し、2年連続の最終赤字を出してしまいました。その時は価格帯や商品などをいじってみましたが、なかなか好転しませんでした。

 竹中:ユニクロの柳井会長との会談がターニングポイントになったそうですね。

 田中:ええ。2008年の12月、ユニクロの会長室で30分ほどお話を伺いました。柳井会長の「御社の事業価値はなんですか?」というシンプルな問いかけに、私は自信をもって答えられなかったのです。それを見抜いた柳井会長は「ビジョンなき経営は売った方がいい。私には、まだ成功してもいない若者が、上場していい気になっているように見える」とおっしゃいました。その話を聞いた後はショックで、2日間体調を崩しました。しかし、根っこから変えなくてはいけない、という事に気づき、事業価値を改めてからは、ちょっとした株価の変動や、業績の悪化には動じなくなりました。

 竹中:その事業価値とはどんなものになったのですか?

 田中:「世の中を変えるにはナンバーワンでなければならない」という柳井さんの言葉が出発点になっています。我々はずっとオンリーワンを目指し、若い方をターゲットにしてきたのですが、「メガネをかけるすべての方に、良く見える×良く魅せるメガネを、市場最低・最適価格で、新機能・新デザインを継続的に提供する」という理念をかかげ、ナンバーワンを目指しはじめました。
  
 恐れを知らないチャレンジャー

 竹中:田中社長はアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー・ジャパン2010の大賞に輝き、日本代表としてモナコの世界大会に出場されたそうですね。おめでとうございます。

 田中:ありがとうございます。世界大会は毎年モナコのモンテカルロで開催され、各国で代表に選出された受賞者が参加します。07年の大賞を受賞したシルク・ドゥ・ソレイユも来ました。Googleは代表になるまで、アメリカ大会に3年チャレンジしたそうです。

 竹中:世界を代表するリーダーたちはどういう視点をもっていると感じられましたか?

 田中:とにかく自分の事業に対してエネルギッシュで、恐れを知らないチャレンジャーでしたね。

 竹中:「夢みたいな事を言う」と周りに思われるくらいでなければ、大きなことはできませんからね。コロンビア大学のインドから来た留学生がフォーチュン500の経営者・CEO全員にアンケート調査を行いました。「あなたが大会社のトップになれたのはなぜだと思いますか」という質問をしたところ、一番多かった回答は、「自分のやりたいことを仕事にしたからだ」という答えだったそうです。

 これからのエネルギーを考える

 田中:竹中さんはエネルギー政策はどのようにお考えになっていますか?

 竹中:今なされている「脱原発に賛成か否か」という議論にはほとんど意味がありません。原子力に頼らず、クリーンエネルギーで発電した方がいい事は、誰でも考えつくことです。日本は被爆国で核に対して特別な思い入れがありますし、自然エネルギーに関して非常に高い技術を持っていますから、震災をきっかけにエネルギー政策に取り組むのはいいことだと思います。しかし、その切り替えをどのくらいの期間で実現するのかが問題なのです。

 私は希望的観測を込めて、20年でできればいいと思っています。日本が核政策を本格化させたのは1970年で、電力の25%くらいを担うのにちょうど20年ほどかかりました。さらに日本で稼働している原発の耐用年数も20年です。新旧の原発が平均的に分布していると考えれば、少なくともあと20年で今の原発は使えなくなります。20年かけて育てたものから、同じ時間をかけて撤退する。そして20年かけて自然エネルギーを育てる、というのが私の持論です。

 そのために必要な事は比較的明らかです。日本は現在エネルギー政策に1兆円を投じていますが、その42%が原子力に使われています。それも技術開発ではなく、助成金として立地地域にばらまいているのです。一方でクリーンエネルギーに使われている予算は6%。この比率を逆転させなければなりません。

 現在、自然エネルギーの固定価格買い取り制度の話が持ち上がっていますが、今のままでは何の解決にもなりません。例えばソーラーパネルで作った電気を、東電が高い値段で買っても、そのまま電気料金に還元されるだけです。それは東電が独占企業であることに原因があります。つまり送電網を独占企業に、発電は自由化して競争させる政策が必要になります。

 田中:ソフトバンクとNTTの光回線の話に近いですね。インフラを整備・管理するのは1社で、通信・発電事業は複数社が競合することで値段が下がっていく。

 竹中:その通りです。私が電力の自由化を打ち出した時に一番反対したのは東電です。「私たちは世界で一番良質の電力を一番安く仕入れられますから、お任せください」と言っていました。あの時自由化が実現していれば電力は不足しなかったでしょう。
  
 新興国の可能性

 竹中:では今後の事をいくつかお伺いしたいのですが、海外展開はどのようにお考えですか。

 田中:中国3号店が来月の頭に瀋陽でオープンし、この秋から本格的な中国進出が始まります。規制など中国ならではの難しさがありますから、現地で手を組める相手を見つけて一緒に成長をはかろうと思っています。

 これまでは「国内もやりきっていないのに、中国はまだまだ早い」と考えていました。しかし、ヤマダ電機の池袋店などにJINSが出店していたことから、「人口800万人の瀋陽に池袋と同じスタイルで出店したい。一緒に進出して欲しい」というお話を受け、「ヤマダ電機の中に入れば売り上げは安心できる。少し早いかもしれないがチャレンジしよう」と思い切りました。

 竹中:アジア進出のパートナーというお話ですが、私は台湾、香港の企業と組んで進出するという手もあると思います。

 ご存知の通り、台湾は親日的な地域です。これは植民地時代の後藤新平の功績ですね。「こんなに親日的な国あるのか」と驚きました。

 インドやブラジルのマーケットも目指して欲しいところです。今年1年で世界経済は4%の成長を遂げますが、その4分の3をBRICKsが占めています。日本とヨーロッパとアメリカを合わせても4分の1です。この成長のボリュームを考えると、新興国にいかに拠点をお持ちになるか、というのは重要になってきます。

 ユニクロはニューヨークやパリといった流行の発信地に出店し、日本のファッション業界を牽引していますが、そういう方向はお考えになっていますか?

 田中:もちろん考えています。欧米でJAPANを売り出すのはアジア出店にもいい影響を与えるでしょう。ただ我々の会社はまだ小さいので、どういうやり方があるか研究している段階です。
  
 メガネを変えた会社

 竹中:最後に長期的な目標をお聞きしたいと思います。

 田中:一番の目標は、メガネを変えた会社としての足跡を残すことにあります。そのために大切なのが商品開発です。購入したお客様の生活の質が高まり、これがあって良かったと思っていただける物を作るのが重要になってきますし、今後の商品にも現れてくると思います。

 今進めているのは、マーケット1兆円化計画です。これまで視力矯正用具だったメガネのマーケットに、目を守る、よりよく見えるという価値を加える事により、目のいい方もお客様にして、ターゲットボリュームを拡大しようとしています。

 その一手として、機能性アイウエアであるJINS Golf を7月21日に発売しました。ゴルフ専用のグリーンレンズを使用したサングラスで、傾斜や芝目がよく見えスコアアップが期待できます。店では発売初日から品薄になっています。

 さらに今私がかけているメガネはJINS PCと言いまして、可視光線領域の中でエネルギーの高いブルーライトを和らげ、長時間に渡るPC作業の疲労を抑える事が出来るレンズを、イタリアのインテルカルスト社と共同開発しました。実際に眼科医の先生が実験をしたところ、PC作業による目の疲労が3分の2軽減されたという結果が出ました。情報化社会でタブレット端末やスマートフォンを使用する時間も増えますから、大きなチャンスだと捉えています。

 竹中:なるほど。今まで1人1本だったメガネを、2本3本と持つようになれば、マーケットは一気に2倍3倍となるわけですね。社会の中でメガネの位置づけを変えるということでしたら、賞を出されてはいかがでしょうか?「最もメガネの似合う人」や、「上手く使用している人」を選んで表彰するのです。賞はお金がかからない上に、話題性があり、貰って嫌な思いをする人もいません。そして、将来自分が巻き込みたい人を審査員にするのです。

 田中:なるほど!これも早速実行します。

 竹中:チャレンジするという言葉が経営の全て、とにかく批判せずにやってみる事が重要だと思います。アインシュタインの言葉に「知識よりも空想力の方が大事である」というのがあります。「メガネで社会を変えてやる」という田中さんの志もぜひ実現させて下さい。

 田中 仁(たなか・ひとし)

 1963年群馬県生まれ。1981年前橋信用金庫(現しののめ信用金庫)入庫。スタジオクリップを経て1987年、服飾雑貨製造卸のジンプロダクツを創業。1988年、有限会社ジェイアイエヌを設立。2006年8月、大阪証券取引所ヘラクラスに上場(現在のJASDAQ)。メガネなどのアイウエアを扱う「ジンズ」や服飾雑貨の「クール・ドゥ・クルール」などのショップを全国に展開。

 竹中平蔵(たけなか・へいぞう)

 1951年和歌山県生まれ。73年に一橋大学卒業後、日本開発銀行(現日本政策投資銀行)に入行。ハーバード大学客員准教授などを経て、2001年、小泉内閣に民間人として初入閣。04年には参議院議員に初当選。郵政民営化を本丸に掲げる小泉政権の実質的ブレーンとして活躍する。06年に参議院議員を引退後、慶應義塾大学教授・グローバルセキュリティ研究所所長に就任。
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