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進化 くるみ割り人形 アニメ声優がベルリンフィルと競演

2010年11月15日14時57分

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写真:クラシックドラマCD「くるみ割り人形」から拡大クラシックドラマCD「くるみ割り人形」から

写真:声で出演した釘宮理恵(右)と石田彰拡大声で出演した釘宮理恵(右)と石田彰

 チャイコフスキーの組曲「くるみ割り人形」の魅力を親しみやすく伝えたいと、名うてのベルリン・フィルハーモニー管弦楽団、気鋭ゲームクリエーター、声優が競演した。人形と共にネズミと闘う少女クララの活劇譚(たん)をRPG(ロールプレーイングゲーム)に見立てるなど、独自の解釈を施した。

 商品は絵本の体裁で、名匠サイモン・ラトル指揮、ベルリン・フィルが全曲を演奏したCDがつく。再生すると曲が流れ、合間に物語が語られる。世紀末の薫り漂う劇画的な絵が描かれたページをめくりながら楽しむ仕組み。クララなど4役を演じるのは、アニメ「鋼の錬金術師」などで人気の声優、釘宮理恵。「NARUTO」「ケロロ軍曹」の出演で知られる石田彰は9役を演じ分けた。

 釘宮は「軽くてラフな口調を封印し、硬派できちんとした芝居に徹した」。石田は「小学校時代、親にねだって買ってもらった最初のLPが、くるみ割り人形。その後、クラシックは難しいと思って遠ざかっていたが、一曲一曲を聴いて演じる中で、感動がよみがえってきた」

 原案と作画はゲーム・漫画クリエーターの鈴木康士、脚本はゲームやアニメの脚本家、長井知佳。空想癖のあるクララが、自ら書いた物語の中に入り込む。やがて王子に変身するくるみ割り人形と共にネズミと闘うが、王子はネズミの呪いで体がさび、国を飛び出した罪で城主に幽閉される。王子を救うには世界一硬いくるみが必要……。

 鈴木はホフマンの原作に独自の解釈を加えた。原作ではクララが「世界一硬いくるみ」を探し求めるが、鈴木はそれを「人生の困難の象徴」と考え、「夢物語よりも、少女が冒険をへて成長していく姿を描いた」。

 ゲームクリエーターとして魅力を感じる素材という。「ドラゴンクエストのように、オーケストラの音色はゲームユーザーの冒険心を駆り立てる。魔法、騎士、妖精など、ゲームでおなじみの要素にもあふれている」

 企画に携わったEMIミュージック・ジャパンの児玉洋子プロデューサーは「くるみ割り人形と朗読は相性抜群。現代風で、どの世代も楽しめる仕掛けを探した」と話す。

 演奏会の模様をインターネット中継や映画を通して発信するなど、ファン開拓に熱心なベルリン・フィルの広報担当者は「自分たちの作品がこのような形になり、驚きと感激を隠せない」とメッセージを寄せた。

 17日から発売。EMIは、各国の言葉で解説をつけてアジアや欧米で販売することも考えている。(寺下真理加)

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