日当、勝利給、賞金…日本代表まるごとハウマッチ
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円陣を組む日本代表イレブン
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サラリーマンの皆さん、いつも自分の給料の明細書はしっかり見ていますか?給料にはさまざまな手当が含まれていますが、W杯ドイツ大会出場に向けて熱闘中のサッカー日本代表も、実は日本サッカー協会から各種手当てを受け取っています。そこで、あまり知られていない日本代表のマネー事情を探って見ました。(矢内由美子)
◆出場給の設定はなし
試合に出れば必ずお金をもらえるの?負けたら0円?日本代表のある選手はこれらの疑問について「サッカー協会からは、日当と勝利給が出る」引き分けなら勝利給は半額、負ければ日当だけだ。
合宿や試合を含む日本代表の活動期間の日当は1万円。例えば、04年の場合はW杯一次予選、東欧、英国遠征などすべて参加の場合は135万円となる。日本代表には、Jリーグの鹿島などが取り入れているような「出場給」の設定はない。勝ちか引き分けかでなければ、日当のみだ。
勝利に対して支給される「勝利給」は試合の位置づけによって変わり、キリン杯などの親善試合で10万円。アジア杯など公式戦は30万円。W杯予選は50万円と跳ね上がる。W杯最終予選6試合に出てすべて勝った場合300万円だが、日本はすでに1敗しており、残りを全勝すれば250万円となる。
成績が良ければプレミア給も出る。川淵三郎キャプテン(68)は「W杯予選を突破して本大会出場を決めれば選手には1000万円くらいは出るだろう」と話している。W杯に出場すると大会組織委員会から数億円の出場料などが入る。それにスポンサー料などを合わせてボーナスの原資とするのだ。
ちなみに昨年のアジア杯優勝ボーナスは300万円。キリン杯などの優勝にも額は少ないが出る。また、昨年のアジア杯優勝後に宮本主将が「ベンチの選手にもボーナスを」と訴え、ベンチ入り全員に一律で支給されることになった。また日本サッカー協会はクラブに対しても「クラブペイメント」を設定している。こちらは選手の日当よりやや高く、選手1人につき1日、1万5000円支払っている。クラブとしては数千万円という年棒を払って抱えている選手を出すことに対する見返りだ。
このほか、海外組の場合はビジネスクラスでの移動費が出る。中田はファーストクラスを利用しているが、差額は自己負担。勝利給などは協会から選手の銀行口座に直接振り込まれる。また、故障などに備えて協会は選手に保険をかけている。
今夏にW杯切符を獲得し、東アジア選手権でも優勝したとすると、勝利給の総計は1620万円。これを高いと見るか安いと見るかは人それぞれだろうが、やはり選手からは「金じゃない」という声が多い。代表はプライスレスの名誉なのだ。(金額は推定)
◆総額年々アップ
日本代表の報酬総額は年々アップしている。94年W杯米国大会予選の際には、日本協会は2億円を用意。しかし、ドーハの悲劇で本大会出場権を逃したため、予算を使い切ることはなかった。98年W杯フランス大会予選のときには一気に倍増の4億円(出場時間に応じて配分、1人最高1000万円)を計上し、見事に初出場を果たした。ホスト国だったため、予選のなかった02年W杯日韓大会では、本大会のボーナスとして総額6億9000万円の予算を組んでいた。
◆過密日程…世界では銭闘も
W杯のボーナスは各国とも年々増加の傾向にある。各国ともW杯本大会出場を決めた場合のボーナスのほか、本大会での成績に応じてプレミア給を決める。ところが近年、選手は過密日程が続いており、プライベートな時間を削って代表活動を続けているのが現状。そのため報酬をめぐって選手と各国協会との対立が目立っている。
例えば米国はまだ本大会出場を決めていない段階で、来年6月のボーナスをめぐって大混乱。労使で丁々発止のやりとりが交わされており、今年1月にはストライキの可能性もあった。選手の要求はなんと総額14億円。
ホスト国のドイツはコンフェデレーションズ杯のボイコット騒ぎが起こったこともあって、W杯優勝の場合1人4000万円のボーナスを出すことを決めた。欧州各国の場合、選手がクラブからもらっている金額が多いため、金銭闘争も激しい。
◆本大会全敗でも6億円
国際サッカー連盟(FIFA)は4月、W杯ドイツ大会に出場する32チームへの賞金総額を3億3200スイスフラン(約298億円)にすると発表。配分は1次リーグ敗退チームの700万スイスフラン(約6億3000万円)から優勝チームの2550万スイスフラン(約23億円)までとなっている。W杯本大会に出場すればたとえ全敗でも当該協会に6億円が入る計算だ。
[ 2005年05月13日付 紙面記事「五つ星」]
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