15万枚を突破した綾小路きみまろの「爆笑スーパーライブ」

　中高年をネタにした毒舌ギャグが売りの漫談家・綾小路きみまろ（52）のライブＣＤ「爆笑スーパーライブ第１集！　中高年に愛をこめて…」が、オリコンの最新デイリーチャートで８位にランクインした。週明けに発表される週間チャートでベスト20入りするのは確実で、演芸作品では史上初の快挙。音楽以外の作品がランクインするのも1974年の長嶋茂雄引退記念盤以来29年ぶり。10位入りも射程距離内で、今年の「紅白」出演もありそうだ。

　30年間まったくの無名だった中年漫談師が、Ｂ’ｚや浜崎あゆみの名前が並ぶＣＤヒットチャートに突然登場。慢性不況にくたびれた中高年たちに勇気を与える“珍現象”が起きている。

　綾小路の漫談ライブＣＤ「中高年に愛を込めて…」は昨年９月に発売された。ＣＤは昨夏に埼玉県本庄市で行ったライブを収録したもので「中高年！夢はある、暇もあるけど、気力がない」「上りつめてもいないのに、もう下り坂。ツヤのない上半身、用のない下半身」と次々と飛び出す毒舌で中高年をこき下ろした異色作。

　皮肉たっぷりの亭主＆女房ネタが、毒舌のターゲットにされている側の中高年にバカウケし、口コミで浸透。特に年末年始に「笑点」「メレンゲの気持ち」など人気テレビ番組をはじめ、ニッポン放送の特別番組に出演し、一気に火が付いた。

　全国のレコード店の１日あたりの売り上げを調査したオリコン・デイリーチャートでは今月６日に15位にランクイン。９日には８位に急上昇。週明けに発表される週間売り上げチャートでベスト20入りするのは確実で、場合によってはベスト10入りも射程圏内に入ったといえる。オリコンによれば、音楽以外のトップ20入りは74年「ミスターＧ　栄光の背番号３　長嶋茂雄・その球跡」以来の快挙。演芸ものでは初めてだ。

　また、20代以上の来店者が多い東京・銀座山野楽器本店では最新売り上げチャートで５位にランクイン。発売元のテイチクには追加注文が殺到し、総売り上げも15万枚を突破。完売する店すらも出てきており、山野楽器本店では「友達にもあげるからと何枚かまとめて購入するお客さまもいます」と話している。

　森進一、小林幸子、伍代夏子の専属司会など30年のキャリアを経ての大ブレークに、綾小路は「うれしいですが、正直戸惑っています」と感想。長い下積み時代を経験した芸人ならではの謙虚さとユニークな視点が、毒舌を中高年への“応援歌”に昇華させた秘訣かもしれない。