発行日 : 2010年05月02日

地球環境・気候変動の新たな交信、共創の場を目指して

SHIRASEが船橋港にて一般公開スタート

~ 先代・南極観測船「しらせ」を、環境のシンボル「SHIRASE」へ新生 ~

株式会社ウェザーニューズ(所在地:東京都港区、代表取締役社長:草開千仁)は、長年にわたり南極観測、地球環境の観測に貢献してきた南極観測船・先代「しらせ」を、地球環境・気候変動という未来に脈々とつながるテーマを実践的に共創していく、環境のシンボル“SHIRASE”へと新生し、本日5月2日、船橋港にて一般公開をスタートしました。“SHIRASE”は、地球環境・気候変動を考える上で、様々な角度から地球で起こる変化をモニタリングし、多くの関心のある方々の知恵と参加を集め、グローバルに広く情報を交信・共創する実践的な場を目指していきます。
SHIRASEサイトURL http://shirase.info/
SHIRASE

環境のシンボル「SHIRASE」

SHIRASEの取り組み

当社は、民間気象会社として、地球の「今」を見続け、気象を通じた価値をサポーター(企業、個人)とともに創造し、サービスをグローバルに展開してきました。ここ数年、当社の多くのサポーターが気象はもちろん気候変動、環境問題に関心を広げていく中、これまで蓄積した気象サービスをベースに、それらへの取り組みを始めているところです。一方で、気候変動・環境問題はまだ未知・未踏のことが多く、また国、企業、個人が主体的に、かつ連動して全体最適化を求め、参加、実践が必要な時期であると考えています。こうした中で、当社では先代「しらせ」を、単に過去を展示・保存する発想を超え、気候変動、環境という未来に脈々とつながるテーマを実践的に共創していく、新しく生きた存在(シンボル)として、再生を実現していきます。折しも、日本はCO2削減25%を目標に、環境問題をグローバルにリードし始めた時期です。SHIRASEが、こうした活動に貢献できるシンボルの一つとなるよう、多くの関心のある方々の知恵と参加を集め、共創を進めていきたいと考えています。

SHIRASEの乗船方法

SHIRASEサイト

SHIRASEに乗船を希望する際は、ウェザーニューズのインターネットサイト(http://shirase.info/)からのみ申し込み(無料)ができます。

  1. 乗船申し込み

    ・インターネットサイト(http://shirase.info/)にアクセス
    ・SHIRASE乗船スケジュールより、申し込みが可能な日と時間を選択(※1)
    ・必要事項(名前、住所、電話番号、メールアドレス、職業、年齢、性別)の入力(※2)
  2. 乗船当日

    ・JR京葉線新習志野駅に集合(1日3回、10:00、12:30、15:00)
    ・受付を済ませ、バスにてSHIRASEへ(※3)
  3. 乗船から下船まで

    ・船内で、最初の30~40分間で説明付きの案内
    ・案内後は自由時間(※4)
  4. 下船後

    ・バスにて新習志野駅へ(全体で約2時間弱の見込み)

※1)SHIRASE の乗船に危険を及ぼすような気象状況や、その他緊急時には安全を第一に判断し、乗船できない場合があります。

※2)団体での参加希望の場合も、一人ずつお申込、登録が必要です。一度に乗船できる人数は10数名程度で、それより多い場合はいくつかのグループに別れて申し込みが必要です。

※3)SHIRASEのある船橋港周辺は駐車禁止となっています。見学目的での車の乗り入れはできません。

※4)SHIRASE船内は当時の姿を多く残しており、足下や頭上に突起物が多く、階段も狭いため、貸し出すヘルメットの着用をしていただき、動きやすい服装での参加が望まれます。

環境のシンボル“SHIRASE”

新生“SHIRASE”では、先代「しらせ」当時の姿をそのまま残しています。25年にわたり南極観測、地球環境の観測に貢献してきた南極観測船・先代「しらせ」の船内では、観測室や操舵室、艦長席、図面置き場など、航行当時の現場に直接触れることができ、気象観測の要とも言える地球の極点に向かい、調査を行っていた当時を想像できます。当時の姿をそのまま残した“SHIRASE”では、先代「しらせ」が残した地球環境の観測への思いをそのまま引継ぎながら、未来へ繋がる環境をテーマに、地球環境・気候変動をモニタリングし、情報の発信・交流・共創を行なっていきます。

地球の「今」をモニタリング・感測する拠点“SHIRASE”

地球環境・気候変動を考える上で、地球で起こっている変化をモニタリングし、まず現状を把握することが重要です。そこでSHIRASEでは、SHIRASEそのものが観測の拠点として機能するよう、様々な観測機を設置することでリアルタイムに情報を把握し、環境や気象の変化を追う上で重要な鍵を握るデータの入手を試みます。ここから得られた情報をもとに、地球環境のモニタリングを実践していき、日本だけでなく、世界に向けて情報を発信していきます。

・世界中の氷をモニタリングする「グローバルアイスセンター」
グローバルアイスセンターでは、極域をはじめ世界中の氷をモニタリングし、その情報をグローバルに発信します。現在、地球規模で温暖化の進行を抑制していく一方で、中・長期的な視点でその変化に対応していくことも重要となっています。一例として、北極海の氷の減少は近年著しく、北極海航路の航行の可能性が見出されてきました。北極海航路が実現すれば、これまでの航路の2/3程度に航路短縮が可能です。航路が可能になれば燃料消費も少なくなり、CO2の排出も減少します。世界中の氷をリアルタイムにモニタリング、予測することによって、氷海を航行する船舶への支援サービスなど、気候変動・環境問題に対処していくための実践的なコンテンツを発信していきます。

・世界の“揺れ”をモニタリングする「地象センター」
地象センターでは、世界で発生した地震の揺れや東京湾の海底で発生した地震の状況について観測をしていきます。ウェザーニューズ独自で開発した揺れの大きさを測る機器「Yureステーション」は、現在、日本国内に1000台設置しており、地震発生時などの揺れの大きさを測り、その影響等を検証しています。今後は、まだ実施されていない海底や世界へと地震の検証を展開していき、その結果を地象センターで公開、発信していきます。

・宇宙から地球をモニタリングする「WNI衛星管制センター」
ウェザーニューズが2010年の打上げを予定している独自小型衛星の「WNI衛星」では、温暖化によって減少し続けている北極海をはじめ世界の氷やCO2をサポーターと協力して観測し、モニタリング、評価の実施を試みます。

・首都圏のゲリラ雷雨や突風を捕捉する「WITHレーダー」
SHIRASEに設置予定の小型レーダー「WITHレーダー」は、従来のレーダーでは捉えられない対流圏下層(上空2km以下)の現象を、6秒毎に半径50kmの範囲を超高頻度観測し、首都圏の雨の強さ、移動速度、移動方向をいち早く捉えることができます。近年多発している異常気象とも言われているゲリラ雷雨や強風などをリアルタイムに観測し、その情報を公開、発信していきます。

・触りながら地球環境を考える「触れる地球」
マルチメディア地球儀の「触れる地球」では、今現在の地球の様子をリアルタイムにモニタリングすることができます。実際の雲の動きや温度上昇地域を確認することができ、地球の今のデータに手で触れながら体感することで、極域をはじめとした地球環境を考えるきかっけとしていきます。

地球環境・気候変動の交流、共創の場“SHIRASE”

気候変動、環境問題をより深く理解し、行動していくためには「科学的無知からの解放」を進める必要があります。SHIRASEでは、気候変動や環境問題に関する科学的な知識、知見を広げ、具体的な行動を起こすきっかけとなる場として、展示やディスカッション、体験の場として様々な企画を展開していく予定です。気候変動・環境問題をテーマに、国内外の専門家、企業、個人が参加する会議やディスカッションや子どもたちを対象とした催しも実施していく予定です。

・環境予報志道場
環境予報志道場では、子供たちを対象に、地球環境・気候変動と向き合うきっかけを作っていくことを目指します。子供たち一人ひとりが地球の変化に関心を持つことは、未来に脈々とつながるテーマにおいて、重要な鍵を握ると考えています。今現在地球で起こっている環境の変化を目で見て感じてもらうと共に、自ら考え、行動していくためのきっかけとしていきます。

・(財)気象文化創造センター
(財)WNI気象文化創造センターは、アジア・太平洋地域における気象の実用・実践を振興し、気象文化の向上に寄与することを目的に、昨年12月1日に設立しました。同センターでは、気象の実用・実践の振興と気象文化の発展を目的に、アジア・太平洋地域における気象の実用・実践研究に対する表彰および助成事業、生活インフラとしての気象情報・気象文化の創造・普及を展開していきます。

情報・コンテンツ発信の場“SHIRASE”

SHIRASEでは、気候変動・環境問題を多くの方とともに共有、共創していくために、SHIRASEで展開する情報・コンテンツを、インターネットをはじめ様々なメディアを通じて展開します。ネットワーク時代のメリットを最大限活用して、実際に来られない方にもSHIRASEが目指す気候変動・環境問題を共有できるようにします。

SHIRASEの運営について

SHIRASEの運営主体はウェザーニューズですが、国や自治体、港湾関係者はもちろん、気候変動・環境問題に関連する企業・団体、有識者、個人等のたくさんの方の参加・協力を得て、共創していきます。KANCHOは当社代表取締役副社長の宮部二朗、副KANCHOには、75歳でエベレストに登頂した冒険家の三浦雄一郎さんを迎えています。

SHIRASE再生までの経緯

当社では、一昨年10月、退役するまで日本の極地観測に貢献してきた先代「しらせ」が、スクラップになる決定がされたことを知り、日本の財産とも言える同船を「環境のシンボル」として新しく生かしたいと考えていました。その後、スクラップ市場価格が下がり、存続を求める声が高まったことから、先代「しらせ」の後利用に関する再公募があり、当社が提案した内容を評価いただき、当社に決定した次第です。

株式会社ウェザーニューズ(東証1部 <4825>)について

世界主要国 / 地域に31の営業拠点を持つ、世界最大の民間気象情報会社。
海、空、陸のあらゆる気象現象の世界最大規模のデータベースを有し、独自の予報により、航空、海運、流通、自治体などの各業務の問題解決情報を提供している。
一般個人に対しては、携帯電話、インターネット、BSデジタル放送等のメディアを通じて、個人の生活を支援する各種情報を提供。