報道資料



平成17年3月2日
総務省

放送事業者の「マスメディア集中排除原則」違反事例への対応について


  電波法第7条第2項第4号に基づく総務省令(放送局の開設の根本的基準第9条)に規定するマスメディア集中排除原則に定める出資制限の上限を超えて放送局に対する出資が行われてきたとされる事例について、放送事業者に対する点検・調査を実施してきた結果、別紙1のとおり、自ら出資する側で18社、出資される側で54社に違反の事実があることが判明いたしました。
  今回の事態は、健全な民主主義の発達上重要な意義を有する同原則に対する違反であって、言論報道機関としての放送事業の高い公共性や社会的使命の大きさにかんがみ、国民・視聴者からの信頼を損なう憂慮すべき事態であり、下記の理由により、別紙2のとおり、放送事業者71社に対し、このような事態を再度引き起こすことがないよう厳重に注意するとともに、社内における株式管理体制の見直しなど再発防止に向けて必要な具体的措置を講じ、第三者名義株式の解消結果を含めその措置状況を3か月以内に報告するとともに、その旨を公表することを求めました。
  また、出資する側で違反していた社のうち第三者名義株式を原因としていたものに対しては、今後かかる再発防止のための取組が十分でなく、同様の事態が繰り返し生ずることとなった場合には、電波法第76条に基づく行政処分もあり得る旨の警告も併せて行ったところです。
  なお、社団法人日本民間放送連盟及び有限責任中間法人日本コミュニティ放送協会に対し、本事案を機に加盟各社に対し改めてマスメディア集中排除原則の遵守について、周知徹底を図るよう要請するとともに、社団法人日本新聞協会に対しても同様に要請を行いました。
  総務省としては、これを機に、放送局再免許等に係る審査体制を強化することを目的に、別紙3のとおり、必要な制度整備を進めてまいります。


  出資する側の18社については、自らが第三者名義株式を長年にわたり保有すること等を通じて、直近の一斉再免許時点において、マスメディア集中排除原則に定める出資の上限を超えて他の放送事業者に対する出資を行っているにもかかわらず、同原則に対する正しい理解と認識を欠いた結果として、当該事実が適切に申請書類に反映されず、当該他の放送事業者に対する再免許審査の基礎となる重要な情報の記載に誤りを生じさせたと認められること。
  出資される側の54社については、特定の者による第三者名義株式の長年にわたる保有等を通じて、直近の一斉再免許時点において、マスメディア集中排除原則に定める出資の上限を超えた出資が行われているにもかかわらず、株式事務等の管理体制の遺漏により、あるいは、当該超過の事実を確認すべき義務を怠ったことにより、その事実が申請書類に適切に反映されず、再免許審査の基礎となる情報の記載に重大な誤りを生じさせたと認められること。


連絡先
地上放送:情報通信政策局地上放送課
(担当 伊藤課長補佐、中屋敷第二業務係長)
TEL:03−5253−5793
コミュニティ放送:情報通信政策局地域放送課
(担当 桜庭課長補佐、柄澤係長)
TEL:03−5253−5806




別紙1

1 複数の違反事例があったケース
  (1)出資する側
  出資者 出資先 超過比率 長期所有 解消の有無
1 東海テレビ放送株式会社 三重テレビ放送株式会社 25.97%
石川テレビ放送株式会社 3.45% 規制緩和により解消
富山テレビ放送株式会社 1.00%
2 鹿児島テレビ放送株式会社 鹿児島シティエフエム株式会社 ※1 12.87%
株式会社エフエム鹿児島 8.40%


  (2)出資する側及び出資される側
  出資者 出資先 超過比率 長期所有 解消の有無
  株式会社テレビ大分 株式会社エフエム大分 1.00%

  出資先 出資者 超過比率 長期所有 解消の有無
  株式会社テレビ大分 株式会社読売新聞大阪本社 0.30%


  (3)出資される側
    ア 解消の目途がたっていないもの
  出資先 出資者 超過比率 長期所有 解消の有無
  岐阜エフエム放送株式会社 株式会社中日新聞社 13.29% ×
株式会社岐阜新聞社 9.25% ×


    イ 解消済み又は3月までに解消の目途がたっているもの
      (ア)超過比率10%以上のもの
  出資先 出資者 超過比率 長期所有 解消の有無
1 株式会社エフエム北海道 株式会社北海道新聞社 37.50%
北海道テレビ放送株式会社 4.00%
2 三重テレビ放送株式会社 東海テレビ放送株式会社 25.97%
株式会社中日新聞社 6.82%
3 株式会社ZIP−FM 株式会社中日新聞社 20.58%
名古屋鉄道株式会社 0.15%
4 株式会社エフエム福島 株式会社ラジオ福島 12.50%
株式会社読売新聞東京本社 4.00%


      (イ)超過比率10%未満のもの
  出資先 出資者 超過比率 長期所有 解消の有無
1 株式会社エフエム石川 株式会社中日新聞社 7.00%
株式会社北國新聞社 7.00%
2 株式会社テレビ岩手 株式会社読売新聞東京本社 8.13%
株式会社朝日新聞社 5.38%
3 株式会社エフエム鹿児島 鹿児島テレビ放送株式会社 8.40%
株式会社鹿児島放送 0.20%
4 石川テレビ放送株式会社 株式会社中日新聞社 3.45% 規制緩和により解消
東海テレビ放送株式会社 3.45%
5 株式会社エフエム山陰 山陰中央テレビジョン放送株式会社 3.62%
日本海テレビジョン放送株式会社 3.06%
6 株式会社エフエム大分 株式会社大分放送 5.00%
株式会社テレビ大分 1.00%


2 違反事例が一のケース
  (1)出資する側
  出資者 出資先 超過比率 長期所有 解消の有無
1 株式会社ラジオ福島 株式会社エフエム福島 12.50%
2 琉球放送株式会社 琉球朝日放送株式会社 8.00%
3 株式会社テレビ山梨 株式会社エフエム富士 7.25%
4 秋田テレビ株式会社 株式会社エフエム秋田 7.00%
5 信越放送株式会社 株式会社ながのコミュニティ放送※1 6.45%
6 株式会社テレビ宮崎 株式会社エフエム宮崎 6.40%
7 株式会社大分放送 株式会社エフエム大分 5.00%
8 株式会社青森テレビ 株式会社エフエム青森 5.95%
9 株式会社東京放送 ※2 株式会社テレビユー福島 4.35%
10 北海道テレビ放送株式会社 株式会社エフエム北海道 4.00%
11 山陰中央テレビジョン放送株式会社 株式会社エフエム山陰 3.62%
12 静岡放送株式会社 株式会社山梨放送 3.30%
13 日本海テレビジョン放送株式会社 株式会社エフエム山陰 3.06%
14 株式会社サガテレビ 株式会社エフエム佐賀 0.70%
15 株式会社鹿児島放送 株式会社エフエム鹿児島 0.20%


  (2) 出資される側
    ア 超過比率が10%以上のもの
  出資先 出資者 超過比率 長期所有 解消の有無
1 株式会社高知放送 株式会社高知新聞社 30.80%
2 株式会社エフエム中九州 株式会社熊本日日新聞社 30.32%
3 三重エフエム放送株式会社 株式会社中日新聞社 30.00%
4 エフエム・サン株式会社 ※1 香川テレビ放送網株式会社 26.67%
5 株式会社エフエムとなみ ※1 株式会社北日本新聞社 20.00%
6 株式会社中国放送 株式会社中国新聞社 17.57%
7 株式会社山形テレビ 株式会社山形新聞社 16.81%
8 テレビ愛知株式会社 株式会社中日新聞社 14.30%
9 鹿児島シティエフエム株式会社 ※1 鹿児島テレビ放送株式会社 12.87%
10 株式会社エフエム大阪 前田富夫 10.00%
11 株式会社熊本シティエフエム ※1 株式会社熊本日日新聞社 10.00%


    イ 超過比率が10%未満のもの
  出資先 出資者 超過比率 長期所有 解消の有無
1 琉球朝日放送株式会社 琉球放送株式会社 8.00%
2 長野朝日放送株式会社 信濃毎日新聞株式会社 7.50%
3 株式会社エフエム富士 株式会社テレビ山梨 7.25%
4 株式会社エフエム秋田 秋田テレビ株式会社 7.00%
5 株式会社宮城テレビ放送 株式会社読売新聞東京本社 6.80%
6 株式会社ながのコミュニティ放送 ※1 信越放送株式会社 6.45%
7 株式会社福島中央テレビ 株式会社読売新聞東京本社 6.40%
8 株式会社エフエム宮崎 株式会社テレビ宮崎 6.40%
9 株式会社テレビ新潟放送網 株式会社読売新聞東京本社 6.10%
10 株式会社エフエム青森 株式会社青森テレビ 5.95%
11 山形放送株式会社 株式会社山形新聞社 5.43%
12 広島テレビ放送株式会社 株式会社読売新聞大阪本社 4.975%
13 株式会社静岡第一テレビ 株式会社読売新聞東京本社 4.50%
14 株式会社テレビユー福島 ※2 株式会社東京放送 4.35%
15 株式会社エフエム高知 株式会社高知新聞社 4.00%
16 中部日本放送株式会社 株式会社中日新聞社 3.99%
17 株式会社テレビ北海道 株式会社北海道新聞社 3.34%
18 株式会社山梨放送 静岡放送株式会社 3.30%
19 株式会社テレビ長崎 株式会社読売新聞大阪本社 3.00%
20 株式会社エフエム岩手 株式会社読売新聞東京本社 2.54%
21 株式会社熊本放送 株式会社熊本日日新聞社 2.50%
22 株式会社テレビユー山形 株式会社山形新聞社 2.50%
23 株式会社福岡放送 株式会社読売新聞東京本社 2.33%
24 株式会社エフエム山形 株式会社山形新聞社 1.20%
25 株式会社エフエムナックファイブ 株式会社読売新聞東京本社 1.13%
26 富山テレビ放送株式会社 東海テレビ放送株式会社 1.00% 規制緩和により解消
27 株式会社エフエムラジオ新潟 株式会社読売新聞東京本社 0.75%
28 株式会社エフエム佐賀 株式会社サガテレビ 0.70%
29 株式会社栃木放送 株式会社読売新聞東京本社 0.60%
30 株式会社エフエム仙台 株式会社河北新報社 0.50%
31 テレビ大阪株式会社 ※2 株式会社日本経済新聞社 0.40%

※1 コミュニティ放送事業者
※2 子会社合算漏れ

(注)出資する側
1. 「解消の有無」の欄は、基準超過の状態を解消済の場合は「◎」、3月末までに解消が確定している場合は「○」と記入。

2. 「長期保有」の欄は、名義株分の合算を制度化する以前から所有していた場合、又は開局時から所有していた場合に「○」を記入。

(注)出資される側
1. 「長期保有」の欄は、名義株分の合算を制度化する以前から所有していた場合、又は開局時から所有していた場合に「○」を記入。

2. 「解消の有無」の欄は、基準超過の状態を解消済の場合は「◎」、3月末までに解消が確定している場合は「○」と記入。





別紙2

.名義株を原因とする違反事例であって、放送事業者自らが他の放送事業者に出資し、かつ、複数の違反をした社の合計3社(総務大臣からの警告)

   東海テレビ放送株式会社、鹿児島テレビ放送株式会社、株式会社テレビ大分
.名義株を原因とする違反事例であって、放送事業者自らが他の放送事業者に出資していた社の合計14社(情報通信政策局長からの警告)

   北海道テレビ放送株式会社、株式会社青森テレビ、秋田テレビ株式会社、株式会社ラジオ福島、信越放送株式会社、株式会社テレビ山梨、静岡放送株式会社、山陰中央テレビジョン放送株式会社、日本海テレビジョン放送株式会社、株式会社サガテレビ、株式会社大分放送、株式会社テレビ宮崎、株式会社鹿児島放送、琉球放送株式会社
.名義株を原因とする違反事例であって、複数の違反があった社及び超過比率が相当程度高いと認められる社の合計22社(情報通信政策局長からの厳重注意)

   株式会社エフエム北海道、株式会社テレビ岩手、株式会社山形テレビ、株式会社エフエム福島、テレビ愛知株式会社、株式会社ZIPFM、三重テレビ放送株式会社、三重エフエム放送株式会社、岐阜エフエム放送株式会社、石川テレビ放送株式会社、株式会社エフエム石川、株式会社エフエムとなみ、株式会社エフエム大阪、株式会社エフエム山陰、株式会社中国放送、株式会社高知放送、エフエム・サン株式会社、株式会社エフエム中九州、株式会社エフエム大分、株式会社熊本シティエフエム、株式会社エフエム鹿児島、鹿児島シティエフエム株式会社
.名義株を原因とする違反事例であって、3に該当する社以外の社及び子会社分の合算漏れを原因とする社の合計32社(地方総合通信局長からの厳重注意)

   株式会社テレビ北海道、株式会社エフエム青森、株式会社エフエム岩手、株式会社宮城テレビ放送、株式会社エフエム仙台、株式会社エフエム秋田、山形放送株式会社、株式会社テレビユー山形、株式会社エフエム山形、株式会社福島中央テレビ、株式会社テレビユー福島、株式会社東京放送、株式会社栃木放送、株式会社エフエムナックファイブ、株式会社山梨放送、株式会社エフエム富士、株式会社テレビ新潟放送網、株式会社エフエムラジオ新潟、長野朝日放送株式会社、株式会社ながのコミュニティ放送、株式会社静岡第一テレビ、中部日本放送株式会社、富山テレビ放送株式会社、テレビ大阪株式会社、広島テレビ放送株式会社、株式会社エフエム高知、株式会社福岡放送、株式会社エフエム佐賀、株式会社テレビ長崎、株式会社熊本放送、株式会社エフエム宮崎、琉球朝日放送株式会社





別紙3

今後とるべき措置


 名義株割合を合算した出資状況変更届出

 10%を超える出資者に関する状況の公表

 純粋持株会社における議決権算定方法の明確化

 公益法人を合算して計算する場合の基準の明確化 等



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