高田別院だより 2008年9月5日 第17号
『「恵信尼特別展』 に寄せて
第五組 善正寺 大 場 厚 順

最近発見された恵信尼坐像 (大分県別府市永福寺蔵)
この恵信尼坐像は杉材を用いた一木造りの彫眼像、像高32.5cm、室町時代の作。頭巾を被り、両手で珠数を持ち安座するお姿を示している。茨城県笠間市稲田にある西念寺に存在した二体の内一体が大正四年、時宗の永福寺へ譲渡された。近年、今井雅晴氏(筑波大学名誉教授)によって、その存在が確認された。


 親鷲聖人の妻恵信尼公が、晩年に京都から板倉に帰り、子供たちの近くに暮らしました。子供の栗沢信蓮房は栗沢に、益方は関田の近くの玄藤寺地内の「マスカタ」に、高野禅尼は近くの高野山(たかのやま)に住んでいました。弘長三年(1262)、恵信尼公が八十三才から飢饉(ききん)に会い、益方の子供ら、尼公の孫たちの世話をし、知人に念仏をすすめ、84才の時に、五重の石塔の建立を熱望しました。

 恵信尼公は飢饉のため、住所を変えました。86才の時に「とひたのまきより」京都の娘覚信尼に手紙を出しました。尼公の終焉(しゅうえん)の地と思われます。この地と石塔をめぐって研究家が激しい論争を展開し、諸説があらわれました。その一つが米増(よねます)の「とよ田」と石塔であります。

 その米増に「ゑしんの里記念館」があります。今年、「恵信尼特別展」が計画され、実行委員会を組織し、顧問は松野純孝・今井雅晴の両博士をお願いしました。その特別展の内容の概要を紹介いたします。

 特別展示室は多目的ホールがあてられ、隣室の「ミュージアム」は常設の親鸞聖人・恵信尼公の関係資料が展示されています。今回の特別展はその重要部分をわかりやすく解説したものです。展示物を列挙いたします。

 安城御影(あんじょうのみえい) 熊皮御影(みまがわのみえい) 恵信尼坐像(木像) 恵信尼文書 文書発見者鷲尾教導(写真) 親鷲・恵信尼の足跡図 子供たちゆかりの地紹介などであります。
(展示物はいずれも複製と写真)
右の展示物の中で特に注目されるのは恵信尼坐像であり、今回はじめて公開されるものです。

 特別展は小規模でありますが、恵信尼公ゆかりの地、板倉でなければ不可能な催しであります。特に男女共同参画がさけばれている現今、恵信尼公を学ぶ絶好の機会です。

恵信尼特別展
ところ: ゑしんの里記念館
開催期間: 9月21日〜11月30日(日曜日は休館)
開館時聞: 午前9時〜午後5時
入館料: 中学生以上 300円  小学生以下 無料
問い合せ: ゑしんの里記念館
  電話: 025−581−4541

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