トヨタから12月15日より発売が開始される、新型燃料電池自動車(FCV)『MIRAI(ミライ)』。そのデザインの狙いは“一目でわかる新たな価値”だという。
そう話すのは、トヨタ自動車デザイン本部トヨタデザイン部グループ長の西友康さん。「エクステリアでは、新たな価値としてFCスタックの特殊性に注目した。つまり、空気を吸って水を出すということだ。それを形にすることが、エクステリアの狙いだ」という。
そのFCスタックは発熱量が大きいため冷却が問題になる。西さんによるとMIRAIには『タンドラー』(北米向けフルサイズピックアップ)クラスの大型ラジエーターをフロント中央に装備しただけでなく、サイドにもひとつ追加した。「この特徴を活かして、バンパー左右のグリルを強調するデザインとした。通常はフロントのセンターに様々なグラフィックやメッキ処理を用いてデザインするが、サイドのラジエーターを強調するためにメッキを施すなど、こちらに価値を置き変えたのだ」と話す。
サイドデザインは、「キャビンとフードを合わせてウォータードロップをイメージしている」と西さん。「MIRAIは、水素タンクやFCスタックが下部にあるので、そうしたアンダーユニットの上に水滴が乗ったというモチーフを取り入れてサイドビューの立体を構成した」と述べる。つまり、サイドシルからリアドアに向けて徐々に駆け上がり、テールランプに抜けるプレスラインの上側が水滴。下側がアンダーユニットというイメージだ。
リアについては、「マフラーがないので、それを活かして、船底をイメージしたデザインとしている。下向きの面を多くして、カヌーが排気も何も出さずに滑っていくようなイメージだ」と説明した。