日本の調査捕鯨船が南極海で反捕鯨団体「シー・シェパード(SS)」に妨害を受けている問題で、農林水産省は16日、調査捕鯨を中断していることを明らかにし、例年3月まで実施される調査捕鯨船団を帰国させる検討を始めた。

 シー・シェパードのウェブサイト上では、「農林水産省は捕鯨を停止せざるを得なかった。調査妨害は1月には7割、2月はすべての捕鯨を妨害した。南極海でこれ以上捕鯨を許さない」とSS代表ポール・ワトソン容疑者は声明を出している。

 また同サイトでは、SSのほかの船のキャプテンらは、捕鯨船の動きを報告するためチリ海軍に接触しているとし、チリ政府は同国内を捕鯨中の調査捕鯨船「日新丸」の動きを監視し追跡していると述べている。チリは反捕鯨の立場で、チリ沖で日本の捕鯨船員が違法な鯨肉の輸送をしていたことを明らかにしたと記している。

 このニュースはオーストラリアでも報じられており、豪オーストラリアン紙は、連邦政府のトニー・バーク環境大臣が、「日本側が捕鯨を一時的に停止しても、オーストラリア政府が捕鯨に対して国際訴訟を取り下げることはないと警告した。正式に捕鯨が終了しない限り、日本に対して法的措置を取る」と述べたと報じている。

 日本の調査捕鯨は、オーストラリア連邦野党の政権批判の切り札にもなっており、野党・自由党のグレッグ・ハント氏は、同紙のインタビューで「日本の調査捕鯨船が活動を停止したことを歓迎している」と語っている。(編集担当:田島波留・山口幸治)



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