2010年7月、nana's green tea(ナナズ グリーンティー)というカフェレストランが上海に新しく出来た地下街「五番街」にオープンしました。

 オープン直後、同店のうわさは上海のOLさんの間であっという間に広まり、数週間も経たないうちに長い行列が出来るほどの大人気店となりました。

 激戦を極める上海飲食店業界において、なぜnana's green teaはこれほど短い間に上海人消費者の支持を得ることが出来たのでしょうか。今回はその成功要因について考えてみたいと思います。

<OLさん専用地下街「五番街」> まず初めに、nana's green teaが出店している場所「五番街」についてご紹介します。

 「五番街」は2010年8月6日、徐家匯にオープンしたばかりの地下街です。五番街の最大の特徴は、出店しているお店のほとんどが日本のブランドである点です。そこはまるで、日本の駅ナカをそのまま上海に持ち込んだような雰囲気です。

 出店しているお店を挙げてみますと、・nana's green tea(抹茶を使ったドリンク、スウィーツ、フードが特徴のお店)・ドンク(明治38年に神戸で生まれたパン屋さん)・神戸六甲牧場(ソフトクリームが有名な洋菓子屋さん)・City Roll(いろいろな巻き寿司を売るお店。オーナーは日本人で、アメリカでも店舗展開)・日比谷花壇(フラワーギフトのお店)・RamenPlayラーメンプレイ(日本新潟“三宝亭”の海外店)・tutuannaチュチュアンナ(レディースアパレル。5番街ではおしゃれな靴下専門店)・セガミ(ドラッグストア)・無印良品・Francfrancフランフラン(インテリア、雑貨のショップ)・BeauBeauビュービュー(コスメショップ)・Zoff(眼鏡屋さん)・Peach Johnピーチジョン(女性の下着屋さん)・ビアード・パパ(シュークリーム専門店)・摩提工房 モチスイーツ(大福アイス屋さん)・ROYAN SHEN(デザート屋さん)

 全体的に、20代〜30代の女性をターゲットにしたお店が目立つことから、この地下街のコンセプトが「OLさんにウケる場所を作ること」であることが透けて見えてきます。8月6日のオープンからまだ2カ月半ほどしか経っていませんが、すでに人通りは多く、通路が人で埋め尽くされるほどの人気スポットになるのは時間の問題でしょう。

<抹茶専門カフェレストラン「nana's green tea」とは>

 nana's green tea(ナナズ グリーンティー)は、抹茶を使ったドリンク、スイーツが特徴のお店です。同店のウェブサイトによれば、お店のコンセプトは「抹茶・緑茶を中心に、日本の素晴らしい食文化や伝統を現代人のライフスタイルに合った『新しい日本のカタチ』としてお客様に提案すること」。本社は自由が丘にあり、お店は関東圏を中心に、東海、関西、四国、九州に出店しています。

 上海の「五番街」にオープンしたお店は、中国第一号店です。同店の中国語名は「七葉和茶」です。

 同店のオープン発表会の様子が動画サイトで公開されています。

 私が上海のnana's green teaに初めて訪れたのは、9月18日(土曜日)の夜7時頃ことでした。同店がオープンしてから2カ月ほどしか経っていないにもかかわらず、入り口にはすでに行列が出来ていました。

 行列の様子はこちらのサイトのMETROERの記事で見ることが出来ます。

 上の動画でも確認することができるのですが、お店の内装は斬新かつ静謐といった印象です。全体に温かい印象の間接照明が使われていて、心がとても落ち着く空間に仕上がっていました。同店の空間デザインのコンセプトは「現代の茶室」ということですが、まさにそのような雰囲気の空間です。

 店内を見渡すと、お客さんの80%以上が女性客でした。年齢は10代後半〜30代前半。お客さんの組み合わせは、ほとんどが「2〜4人づれの女性客」または「男女カップル」でした。どうやらこのお店は、女性が先導して来店する傾向が強いようです。

 メニューは主に「デザート」「ドリンク」「フード」の3種類。デザート類とドリンク類には、同店の最大の強みである抹茶関連商品がずらりと並んでおり、価格は「抹茶ラテ(25元)」や「抹茶アイスクリーム(15元)」をはじめ、15元〜40元ほどに設定されています。フードメニューには北海道海鮮カレーや海鮮トマトラーメン、まぐろどんぶりなど、非常に個性的な商品が用意されていて、25〜45元ほどの価格帯で販売されています。

 メニューについては、この動画でも紹介されています。

 nana's green teaの価格は、決して安いわけではありません。それにも関わらず、行列が出来るほどたくさんのお客さんが訪れています。

 それはなぜでしょうか。

 次回は、上海のnana's green teaが短期間で大人気店になっている成功要因について考えてみたいと思います。(執筆者:森川慎一郎 筆者略歴:森川慎一郎。2002年から上海在住。広告会社に勤務。ブログ「上海ももの中国市場研究レポート」で消費現場のレポートを公開中)



■最新記事
【台湾ブログ】若者たちが注目!台湾ユニクロ本日オープン
ミニスカ・黒ストッキング…最も「そそられる制服」は河南の高校
若者たちが主役!新たな発展をとげる「日中友好」
【特集】「80後」「90後」世代が開く消費関連株に注目=岩井証券・有沢氏
劉暁波氏にノーベル平和賞、「適切」9%、「不適切」27%=中国アンケ