日本の広告のモデルが「細すぎ」と話題に、米有名ブランドが修正を謝罪。

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見事なプロポーションで服を着こなし、見る人を魅了させるモデル。しかし、最近はモデル本人やその体型に憧れる女性に摂食障害を助長させると、ファッション関係者の間で細さを追求する動きに警鐘を鳴らす声も聞かれる。とはいえ、特別なスタイルだからこそ多くの人に注目されるとの側面もあり、この問題がファッション業界で共有され、全体の方向性が定まるまでには、まだまだ時間がかかりそうだ。

そうした中、米有名ブランドのラルフ・ローレンが日本の広告に起用したモデルを、あるブログが「ウエストが細すぎる」と紹介したのをきっかけに、欧米メディアの間で大きな話題になるという一件があった。

英紙デイリー・メールによると、この細すぎるモデルを最初に取り上げたのは「Photoshop Disasters」というサイト。「“本当にひどい”写真修正例の歴史を紹介する」(デイリー・メール紙より)として、該当する広告のモデルの写真を掲載した。

続いてブログ「Boing Boing」が、この写真を大きく掲載し、「彼女の頭は骨盤より大きい」と紹介。このエントリーには、ユーザーからも「本当に女性がそう見えると思って、フォトショップ使ったのか?」「これが本物の人間なら、ジョークにもならない」と多くのコメントが寄せられ、“細いモデル”に見せるために、異常な修正をしていることへの批判が殺到、現在も多くのコメントが寄せられている。

この反響を知ったラルフ・ローレン側は2つのブログに削除を要請。しかし、「Photoshop Disasters」はこれを受け入れて削除したものの、「Boing Boing」は警告を受け付けなかった。結局、ラルフ・ローレン側は「女性の体型に対する歪んだイメージで写真を修正し、責任を感じる」と、この写真について謝罪。モデルを細く見せるために加工していたことを認めるという、異例の対応を見せている。

なお、ラルフ・ローレンは「この写真は米国内では承認されず使用されなかったが、間違ってリリースされ日本のデパートで使われた」(米紙ニューヨーク・デイリーニュースより)と説明しているという。

こうした一連の騒動を受け、ニューヨーク・デイリーニュース紙では、問題の渦中に置かれたモデルのフィリッパ・ハミルトンさんのインタビューを掲載。この中で、彼女は「太すぎる」との理由で、4月にラルフ・ローレンから契約を解除されたことを明かしている。23歳の彼女の体型は、公表されているプロフィールでは身長約173センチ、体重54キロで、スリーサイズは84−61−89。このプロポーションではラルフ・ローレンは納得できなかったらしい。

16歳の時からラルフ・ローレンと契約を結んでいたというハミルトンさんは、「彼らは私が太り過ぎで、もうラルフ・ローレンの服を着こなせないからと言ってクビにしたの」(ニューヨーク・デイリーニュースより)と話している。そして、問題の写真については「自分と同じ顔で、とても痩せている女の子を見てショックを受けたわ」(同)とも語り、同時に人々への悪い影響を懸念しているという。